屋代線の廃止等を踏まえ、市民の熱意で未来交通であるLRT(次世代型低床路面電車)の導入を実現しようとの狙いで、講演やパネルディスカッションが行われました。
講演では、「地域交通政策の潮流」との演題で大東文化大副学長の今城光英氏が、また「LRTで何ができるのか~海外と日本の事例から」と題して㈶運輸調査局・主任研究員の板谷和也氏(長野市出身だそうです)が、それぞれドイツやフランスにおけるLRTの導入事例を紹介しながら、西欧では整備費と運行費ともに公的資金が投入され鉄軌道が維持されていること、パークアンドライドにより、車の中心部への乗り入れを規制するとともに、郊外では高速で運行し中心部に直接乗り入れ、またバスへの乗り換えをスムーズにするなど、海外と日本ではLRTの使われ方が違うこと、総じて、マイカー・車の利用規制を通してLRTが地域公共交通の主流となっていることを指摘しました。
板谷氏が、長野市でも導入は可能としつつ、今ある公共交通の魅力を高める工夫が必要であること、皆で費用を負担する覚悟が必要であることを強調したことが印象に残ります。
清泉女学院大学・地域連携コーディネーターの古平浩氏が進行役を務めたパネルディスカッションでは、富山市の路面電車推進室の遠田修主査が「富山ライトレールの整備状況」を紹介、国内での取り組みを踏まえながら意見交換が行われました。
LRTという交通モードを地域活性化の鍵にしたいとの想いは共通にあるものの、全体的には、今あるバス交通(コミュニティを含む市内の生活バス路線網、旧屋代線代替バスなど)を中心とした公共交通の利便性をいかに高めるのかといった視点からの意見交換になったように思います。
例えば、JRの新幹線ネットダイヤ化(発車時刻の同一化)と二次交通への接続の利便性、15分間隔のバス交通のダイヤ化、バス専用レーンの終日化、信号の公共交通優先化、チケットキャンセラー方式(信用乗車方式といわれるシステムで、乗車前に運賃を精算する方法で、乗車口・降車口を問わず乗降でき、車内での移動が少なく使いやすくなるというもの。日本では普及していない)の導入検討などです。
識者的にも、BRT(バス・ラビット・トランジット)の検討が現実的ということなのでしょうか。私的には、BRT、LRTともに多面的・多角的に検討していきたいと思います。
それぞれ、行政や交通事業者だけでできるものではなく、国の補助制度の再構築も必要となると思われますが、長野市の公共交通ネットワークを考えると示唆に富んだ内容でした。
今回の集いは、住民が主体となって、未来に向かい持続可能な公共交通のあり方を考える有意義な企画です。連続企画で、2回目は11月25日午後1時半から更北地区・稲里のJAグリーンホールミナミで開かれます。
旧屋代線へのLRT導入困難を中間報告した交通対策審議会では、長野市内一円での新交通システム導入可能性調査検討に移行しています。審議の進捗状況を把握しながら、全体的な提言を考えていく必要があります。
夜には、長野タクシー労働組合の定期総会に招かれ、駅前整備に伴うタクシー仮設待機場問題やタクシー労働者の労働条件向上などについて、報告を兼ねながら挨拶させていただきました。