松代大本営工事から80年…朝鮮人労働者を追悼、非戦・平和の誓い新たに

太平洋戦争末期、本土決戦に備え、天皇御座所や大本営など国の中枢機関を移転するため市内松代町に造られた松代大本営地下壕工事の開始から80年の節目となる11月11日、象山地下壕入口に建立された朝鮮人犠牲者追悼平和祈念碑の前で、「追悼の集い」を開き、不戦・非戦・平和の誓いを新たにしました。

「松代大本営追悼碑を守る会」が主催したもので、会員をはじめ在日団体の代表ら約20名が参加しました。私は追悼碑建立以来、事務局を担っています。

地下壕の工事には植民地支配していた朝鮮半島からおよそ6,000人の朝鮮人が強制動員され、発破事故や栄養失調などによる死者は300人以上ともされていますが、その全容・実態はいまだ解明されていません。

集いでは、東京朝鮮歌舞団の安理沙さんが「鎮魂の舞」を捧げ、一発目の発破(ダイナマイト)が仕掛けられた午前11時11分に合わせ黙とうを行いました。

追悼碑を守る会の表秀孝会長(長野大学名誉教授)は、国策として極秘で進められた松代大本営工事に強制連行・強制動員された朝鮮人労働者の過酷な労働と犠牲を振り返り、いまだ工事の全容、犠牲者の実態が明らかにされていない状況に「日本政府の実態解明に非協力的な態度を強く糾弾しなければならない」と指摘、「ここで起きたことを心に刻み、歴史を忘れることなく、平和を築く歩みを緩めることなく歩んでいく決意」を強調し、松代大本営を起点にして平和への歩みをともに進めることを呼びかけました。

朝鮮総連長野県本部の李明宏(リ・ミョンガン)委員長は、「工事の真相が解明され、犠牲者の無念が晴れる日を訪れることを願う」と述べ、行事が重なり欠席となった民団県本部からは「松代大本営地下壕は戦争を知らない世代が戦争と向き合える遺跡であり、保存公開がさらに進むことを願う」とするメッセージが寄せられました。

追悼碑を守る会は、戦後50年の1995年8月10日に追悼碑が建立されて以来、毎年8月10日に追悼の集いを催してきていますが、工事開始日の集いは10年前に開いて以来となります。

戦後80年の節目となる来年8月10日の平和祈念・追悼の集いには、近現代史・軍事史を研究し平和教育登戸研究所資料館長を務める明治大学の山田朗(あきら)教授を招き、公開講座を計画しています。

戦後80年…改めて加害の歴史に真摯に向き合い、非戦・平和の「この国のかたち」をとりもどしたいものです。

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