女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求める請願…長野市議会、全会一致で可決

県憲法擁護連合及び長野地区憲法擁護連合が連名で長野市議会に提出した「女性差別撤廃条約の選択議定書の速やかな批准を求める請願」が全会一致で採択され、国宛に意見書が提出されました。原ようこ市議をはじめ改革ネットの議員の皆さんに骨を折ってもらいました。

護憲連合による請願・陳情のほか議員提案による取り組みで、6月定例会において県議会をはじめ6市6町9村の議会で選択議定書の早期批准を求める内容の意見書が採択されました。9月定例会に向け、取り組みをさらに広げたいものです。

長野市議会では6月25日に請願を審議した総務委員会に参考人として意見陳述しました。

女性差別撤廃条約(女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約)は1979年に国連で採択された条約で、日本は1985年、条約に批准しました。現在189カ国が批准しています。

1999年には女性差別撤廃条約の実効性を強化し女性が抱える問題を解決するため、「選択議定書」を国連総会で決議・採択し、現在、115カ国が批准しています。しかし、日本政府はいまだ批准していません。

「選択議定書」は、国連女性差別撤廃委員会による個人通報制度と調査制度を設けており、議定書を批准することによって、締約国は被害者救済に向け具体的な措置をとるよう同委員会から要請されるため、国際的な人権基準に基づき女性の人権侵害の救済や、性別による不平等をなくすための効力が強まることが期待されます。

日本は、世界のジェンダー・ギャップ指数ランキング(世界経済フォーラム2023年版「ジェンダー・ギャップ報告書」より)で世界146ヵ国中125位、G7で最下位と遅れをとっています。

2020年12月に閣議決定された国の第5次男女共同参画基本計画では、「諸外国のジェンダー平等に向けた取り組みのスピード感は速く、我が国は国際的にも大きく差を広げられており、まずは諸外国の水準に追いつけるよう、これまでの延長線上にとどまらない取り組みを進め、法制度・慣行を含め見直す必要があり、選択議定書については、諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進める」と明記されています。

女性差別撤廃条約の締約国は、「女性に対する差別を撤廃する政策をすべての適当な手段により、かつ、遅滞なく追求することに合意」しており、国連が定めた国際的な人権基準の適用を積極的に国内で進めることが、条約締約国である日本政府の役割です。選択議定書の批准は女性の人権保障、女性差別撤廃の取り組みを強化し、ジェンダー平等社会の形成を促進することにつながります。

しかしながら、1999年に選択議定書が国連で採択されて以降、国は国連女性差別撤廃委員会の再三にわたる選択議定書の批准勧告にも関わらず、25年間もの間、「検討中」との姿勢を崩していません。第5次男女共同参画基本計画では「選択議定書について、諸課題の整理を含め早期締結について真剣な検討を進める」とされているところであり、国の選択議定書の早期批准を後押しするため、国への意見書の採択を請願したものです。

全国的には223議会で、選択議定書の批准等を求める意見書が採択されてきていますが、長野県内はゼロでした。この6月議会定例会において、県内の女性を中心とする市民運動の高まりもあり、県護憲連合としても集中的な取り組みを各地区にお願いしてきました。

本年10月には国連女性差別撤廃委員会による6回目の報告審議が行われます。選択議定書の批准には国会の承認が必要ですが、期限を区切っての早期批准の姿勢が示されることにつながるよう、県都長野市の議会において、ジェンダー平等社会の実現に向け、請願を採択し国に意見書を送付されることを求めることを意見陳述で強調してきたところです。

【県内議会の意見書採択状況…県護憲連合事務局調べ(7月3日現在)】

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