子どもたちに戦闘場面を見せないで…松本・自衛隊祭りに抗議

4月20日(土)、陸上自衛隊松本駐屯地で創設74周年の記念祭(自衛隊祭)が行われ、県護憲連合や松本地区自衛隊祭反対連絡会議などのメンバーが駐屯地正門前で抗議行動を展開しました。この抗議活動の後、小諸市で開催された「長野県水平社創立100周年記念集会」に赴いたところです。

護憲連合では従前より、「駐屯地祭」は軍備増強の風潮をあおるものであり、あくまでも自衛隊組織内部における式典とし、武器・兵器の展示、操作の教示、模擬戦闘訓練の展示等について、社会的見地、教育的見地からこれらを中止するよう駐屯地に申し入れるとともに、県行政ならびに県教育委員会に対して、実態調査等を実施し、自衛隊に対して創設記念祭の在り方について是正等を勧告されるよう求めるとともに、模擬戦闘訓練展示など「軍隊」としての活動を披露する「駐屯地祭」の問題の重大さに鑑み、県知事等が出席されないよう求めてきました。

模擬戦闘に使用されたUH-60ブラックホーク。群馬県相馬原駐屯地から。

私たちの取り組みで、参加した子どもたちが銃器に触れ引き金を引くような行為は中止され、武器・銃器の展示ではロープを張り触れないようにする是正措置が取られていますが、ジープの試乗や戦車の上に乗ったりする行為は是正されてきていません。

自衛隊祭りに先立ち、駐屯地や松本市、県に申し入れをしました。

【駐屯地司令あての申し入れ事項】

①模擬戦闘訓練展示は実施しないこと。

②銃器・武器などの展示は中止すること。隊員による来場者への銃器の扱い方の指導などは一切行なわないこと。また、戦車や軍用ジープへの試乗などは中止すること。

③事前訓練や当日の訓練展示におけるヘリコプターの使用は、騒音による市民生活への影響が大きく、安全確保に重大な懸念があることから中止すること。

④今後「駐屯地祭り」は、あくまで駐屯地内部の式典として実施すること。

また、以下の点について情報開示を求めました。

①松本駐屯地の独自の日常的な訓練で国有林・民有林を使用しての山岳訓練や市街地における歩行訓練の計画。その際の銃器の携行の有無など計画を明らかにされたい。

②第12旅団や東部方面隊、全国の駐屯地と共同で実施する訓練計画を明らかにされたい。

③今後、米軍との共同訓練に松本駐屯地の部隊が参加する予定があるかどうか明らかにされたい。また、米軍基地からオスプレイを含むヘリコプター、戦闘機などが参加する予定があるかどうか明らかにされたい。

④中学生の職場体験学習を受け入れる場合、その実施要綱を明らかにされたい。

【県知事あての申し入れ事項】

①陸上自衛隊松本駐屯地における「軍隊」としての活動を披露する「駐屯地祭」について、平和・軍縮の時代に逆行するものであり、とりわけ、模擬戦闘訓練や武器類の展示・軍用車試乗はまだ十分な判断力のない子どもたちに好戦的な感覚を植え付けるだけのものであることから、教育的見地から、県代表が出席されないこと。

②県ではこれまで「駐屯地祭の内容にまで言及する立場にはない」としてきていますが、子どもたちへの平和教育の観点から、松本駐屯地に対し、次の事項を申し入れるとともに、模擬戦闘訓練展示等「駐屯地祭」の全容を把握し、今後の対応を再検討すること。

  *模擬戦闘訓練展示は実施しないこと。

  *銃器・武器などの展示、戦車や軍用ジープへの試乗などは中止すること。

  *今後「駐屯地祭」は、あくまで駐屯地内部の式典として実施すること。

③米軍機オスプレイの県内空域を含む低空飛行訓練の強行について、機体の安全性が確立されていないとの認識に立ち、県民の生命・財産を守り抜く観点から、訓練の中止を国及び米軍に求めること。

④「武力攻撃事態」や「緊急対処事態」を想定した国民保護訓練の実施を撤回し、国に対し武力攻撃等を回避するため対話と外交努力を徹底することを求めること。

駐屯地への申し入れで、「ジープ試乗はとりやめ戦車に乗せるようなこともしない」との対応が明らかになりました。企画の変更の理由は定かではありませんが、私たちの求めに応じたものと受け止めています。

当日は、災害派遣用に展示されたショベルカーへの乗車場面はありましたが、常設展示の戦車やヘリコプターにはロープが張られていました。今後の動向に注目です。

「駐屯地祭」にはまだ十分な判断力がない子どもたちが多く参加します。私たちは、戦争を賛美し軍備増大を鼓舞する「駐屯地祭」の企画内容が、子どもたちに好戦的な感覚を植えつけてしまうのではないかと危惧します。戦争・戦闘行為は人間の尊厳である命を奪う愚かな行為です。人の命を大切にし、平和な社会を維持していくことの大切さを教えなければならない大人の責任こそが問われるのではないでしょうか。

県では、これまで「災害派遣や災害時の連携にお礼を述べる」ためとし、県代表が出席してきています。今年は副知事と危機管理部長が出席しました。模擬戦闘訓練や武器展示の実情を把握し、今後の対応を見なおしてもらいたいものです。

オスプレイの墜落事故が相次ぎ、米軍当局の事故報告書では「墜落重大事故の原因が機体の問題による」とする見解が示され、米国では生産中止となることも明らかになっている中、事前の情報提供にとどまらず、訓練の運用中止に踏み込むべきと強く求めました。県は昨年10月に北関東防衛局に対しオスプレイ飛行訓練の事前情報提供を求めてきているとし、「基本的に国の問題だ」として従来の姿勢を繰り返すにとどまりました。

また、能登半島地震で中止となった国民保護実働訓練について、緊急対処事態を想定した実働訓練を今年度中に飯田市を会場にして実施する考えを明らかにしました。県知事が表明した武力攻撃事態を想定した訓練は今のところ検討していないと述べました。

実施時期にアンテナを高く監視するとともに、対応を検討していきたいと思います。

自衛隊祭りをj報道する信濃毎日新聞より 4月21日付

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