遂に閉鎖
全国から注目された青木島遊園地の存廃問題…最終的な「廃止決定」を受け、4月17日から始まった原状回復工事が20日に終了し、植栽や遊具が撤去、整地されました。
「借地」であったことから、暫定的であれ「継続利用」の可能性を探る協議は、廃止決定を受けて新たな土地利用の展開を考える地権者さんや開発事業者さんとの間でまとまらず(交渉経過は全く明らかではありませんが)、最終的に「廃止・閉鎖」となったものです。
住民本位の市政運営、こども真ん中社会の実現、市行政の説明責任、市民との合意形成に極めて大きな禍根を残した問題です。何よりも子どもたちに寄り添えなかったことが心底悔やまれます。
子どもの感謝の気持ち封じる暴挙
しかも、17日の遊園地閉鎖に先立ち、隣接の青木島児童センターの児童らの「遊び納め」となった14日、感謝の気持ちを込めた模造紙を掲げての記念撮影が、センターを管理する市社協の指導主事の「思想・信条の押し付けになる」との「横やり」で阻まれてしまうという、とんでもない事態が発生しました。
センターが子どもたちと準備した感謝のメッセージは「ずっとわすれない あおきじまゆうえんち だいすき♡ ありがとう♡」。
これが「押し付け」となる道理は全くありません。子どもたちの素直な感謝の気持ちを踏みにじり、子どもの人権、子どもの意見表明権を否定する暴挙といわなければなりません。
報道で明らかになった事態を重く受け止めた市社協と市は、翌15日に、「陳謝」のコメントを発表し、17日には市社協事務局長がセンターを訪れ、子ども達に謝罪しましたが、子ども達の心の痛みを察するに、いたたまれない想いです。
下記の引用の下線は筆者。
市社会福祉協議会・寺田会長のコメント【4月15日】
青木島児童センターに関する報道等について
今回の模造紙の掲示を制限した報道について、子どもたちの気持ちに十分に寄り添えずに対応いたしましたことを、深くお詫び申し上げます。
青木島児童センターは、社会福祉法人長野市社会福祉協議会が管理運営を長野市から受託しており、青木島遊園地を同児童センターの遊び場として活用してまいりました。
受託者の本会としては、どの児童センター等においても与えられた施設・設備を適切に活用することを前提として、児童に対し、安全で安心な遊び場、生活の場を提供できるように運営しております。
本会としましては、児童には遊園地の存廃についてはかかわらせたくないという思いから、今回のような対応となってしまいました。
今後は、職員同士の意思疎通や連携を十分に図りながら、子どもたちに寄り添った支援がさらに充実するよう、全職員が一丸となって取り組んでまいります。
なお、このことにより本会の事業運営に関し、多くの皆様に御心配をお掛けしましたことについても、深くお詫び申し上げます。
荻原市長のコメント【4月15日】
青木島児童センターにおける長野市社会福祉協議会の対応に関する報道について
4月 14 日の青木島児童センターにおける記念撮影時の長野市社会福祉協議会職員の対応につきましては、児童や保護者の皆様に不快な思いを与えてしまいましたことに、事業委託者としてお詫び申し上げます。
青木島遊園地の廃止を前に、一人ひとりの児童への配慮から指導方法への考え方はあったにせよ、子どもたちの主体性を尊重することを第一に考えるべきであったと考えております。
今後、市といたしましても、引き続き子どもたちが放課後の時間を安全・安心に、楽しく過ごせるよう、市社会福祉協議会とともに取り組んでまいります。
撤去工事中には、フェンスにブルーシートをかけて子ども達が直接目に触れないよう対応されたものの、子ども達への心理的負担、心痛が心配されます。
市行政の決定への心ない「忖度」なのか、大人の身勝手な論理と対応には言葉を失います。新法人に移行する児童センター・こどもぷらざの運営、3月議会でこれまでと一転して子どもの権利条例制定に一定前向きな姿勢を示した荻原市長の子どもファーストの市政運営は前途多難といわなければなりません。
急がれる「安心な遊び場」の確保
遊園地にあった”雲梯”は児童センターの庭に移設されるとのことですが、遊園地の閉鎖により、児童センター・保育園の子ども達の遊び場の確保が待ったなしとなります。次なる重要な課題です。しかし、隣接する青木島小学校グランドの使用は支援員の十分な確保ができないことから実現していません。グランドに遊具を設置し地域の子どもの遊びスペースを確保するとした策も見通しが定かではありません。
ビジョン、プランについて、3月初めのブログ記事から引用・再掲します。
「荻原ビジョン」は現実的な解決策となるのか
「荻原ビジョン」なるものは、放課後子ども総合プランを進めるにあたり、学校施設を活用し児童センターをこどもプラザに統合していくとともに地域に開放していくこと、市内の公園・遊園地を親子そろってくつろげる空間に見直すこと、この二つを掲げ、青木島遊園地廃止後の「解決策」として関係する施設整備の方向性を5点示しました。
➊青木島児童センターを青木島小学校内の「子どもプラザ」に統合し、放課後も学校外に移動することなくのびのびと過ごせるようにする。
➋統合に伴い、青木島小学校の敷地内に遊具などを増やして子どもたちが毎日、自由に遊べる環境を整える。
➌現在、送迎用の車両が狭い道路に入り込んでいることから、保護者の送迎用の駐車スペースを確保し、車の動線を大きく変える。
➍学校の機能を充実させて社会とのつながりを深める。
➎老朽化した青木島保育園や児童センターの活用について考える。
現実的で実効性のあるビジョンとなりうるのかが問われます。
青木島小学校施設を子どもの遊び場に…実行性があるのか
市長が「解決策」として示した青木島児童センターの小学校敷地内・こどもぷらざへの統合を柱とする「荻原ビジョン」の現実性が問われます。いつまでに事業を完結できるのか、その目途さえ示されていません。
青木島小学校の空き教室の状況をどこまで踏まえたものなのか、現状の校舎活用で新たな放課後子ども総合プランを実施する施設整備計画はどこまで煮詰まっているのか、グランドの敷地が他の小学校に比べ7割程度という狭いグランドに、子ども達の安全確保を前提に遊具等の設置が十分に行えるのか、送迎用の駐車スペースは何処に整備できるのか、3月春休み中のグランド使用は可能なのか、4月以降の児童センター利用児童の遊び場はどのように確保されるのか(支援員確保の目途が立っていない)、何一つ明確になっていません。すべてがこれからです。
「課題の提起」「市長の問題意識」という限りにおいては、理解できる部分もありますが、「解決策」というには程遠く、まだまだでしょう。
青木島遊園地の廃止に伴う「おぎわらビジョン」「プラン」の具体化は、発表から2カ月が経ようとしていますが、何も見えてこないのです。市長は「できるだけ早く」と繰り返すばかりです。
子ども達の「今」に、最善策を講じる責任は市議会にもあります。まずは、グランド利用を可能にする十分な人的配置を市職員の緊急応援体制を含め市行政の責任で速やかに進めることです。強く求めます。