4月12日~13日、私鉄総連の主催で「交通政策フォーラム2022」が富山市で開催され、私鉄総連自治体議員団の幹事として参加しました。久々の富山訪問です。市内にある実家はほぼ「空家」状態で、いささか寂しい訪問となりました…。
17回目の「交通政策フォーラム」はコロナの影響で3年ぶりのフルスペック開催となりました。かなり「密」でしたが…。
コロナ禍で、輸送人員・営業収入が大幅に減少し、事業そのものの存続が問われる中、地域インフラでありライフラインである地域公共交通をいかに再生・活性化させるか、国の交通政策基本法の改正と第二次交通政策基本計画、社会資本整備第五次重点計画等の策定を受けて、私鉄総連としての交通政策実現に向けて経験交流を深めることが狙いです。
12日午前、まずは議員団と私鉄総連交通政策委員による合同学習会で、富山市活力都市創造部・鉄道整備事業安全統括管理官の高森長仁さんから「富山市の公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり~コンパクトシティ戦略による富山市型都市経営の構築」と題した講演をお聴きしました。
富山市といえば、公設民営・上下分離方式によるライトレールの整備と、東西南北に走る鉄道を基軸に鉄軌動の駅と路線バス等の停留所の徒歩圏(500m程度の範囲)にまちなか居住と市民生活に必要な機能を集積させるコンパクトなまちづくりで知られる都市です。公共交通の活性化をまちづくりの基本としているところがミソです。
詳細は省きますが、65歳以上の高齢者を対象に市内各地から中心市街地に出かける際に公共交通機関を1乗車100円で利用できる「おでかけ定期券事業」(年負担金1,000円で申込)や、歩くライフスタイルを推進するためスマートフォンアプリ「とほ活」(歩数や公共交通利用でポイントがたまり、取得したポイントで年2回、商品抽選に応募できる事業)を開発するなど、健康増進と連携した公共交通利用促進策が展開されています。
長野市の「おでかけパスポート事業」をさらに進化させる糸口にしたいものです。また、コンパクトなまちづくりの効果について、中心市街地の再開発事業への投資を地価調査や固定資産税・都市計画税の推移、転入人口の増加などの観点から検証する手法がとられている点も、長野市の中心市街地活性化の取り組みを検証する視点として学びたいところです。
12日午後には、交通政策フォーラムに先立ち、日本民営鉄道協会や日本バス協会、全国ハイヤー・タクシー連合会など協賛団体の代表も参加する中、「公共交通利用促進運動キックオフ集会」が開かれました。
フォーラムでは、国土交通省の交通政策審議会委員等を務める名古屋大学大学院の加藤博和教授が基調講演。「地域公共交通がコロナ禍を乗り越え、新たな時代に対応し、再び輝くために~今こそ、正しく決起する時!」が演題、なかなか刺激的なテーマです。
加藤教授は、「使いやすく頼りになる、それ故に多くの方に乗り合って『おでかけ』していただける暮らしの足は、人もインフラも超高齢化する今後の日本を支える、とても重要なもの。それを何とかしようとする人たちは重要なミッションを背負っている。その尊い行動を後押しできるよう、私は戦い続けます」と宣言。公共交通の担い手である交通労働者と労働組合への力強いエールです。
コロナ禍で「移動が必然でない社会」に、ここへの対応が急務として、「仕方なく使う」から「選ばれる」へ、「選んでもらうためには公共交通に付加価値が必要」。「乗って楽しい」「降りても楽しい」公共交通へ。「公共交通づくり」は「集まりたい場所づくり」とセットであるべきとの持論を、広い視野から展開。加藤教授の講演はこれまでに何回となくお聴きしていますが、改めて刺激と示唆に富んだ講演で大変興味深くお聴きしました。
長野市では地域公共交通活性化再生法の改正を受け、新たな「地域公共交通計画」を策定中です。議会の公共交通対策特別委員会における調査と合わせ、「使いやすく頼れる『おでかけ』の足として公共交通を活性化するため。新たな提案ができるよう、「頭脳」を磨きたいと思います。