12月市議会定例会は、付託議案の委員会審査を終え、来週20日最終日に議案等の議決が行われます。
12月8日に改革ネットを代表して質問に立ちました。代表質問は一括質問・一括答弁のため、即応的なやり取りには限界がありますが、荻原市長の市政運営への基本姿勢、コロナ感染対策や子育て支援策の具体などについて質しました。
公約に掲げた「子育て総合支援センター」や「感染症対策チーム」について、その目的や仕組みの概要が示されるとともに、気候非常事態宣言を連携中枢都市圏9市町村の共同宣言としては発出することや同性パートナーシップ証明制度をR4年中を目途に導入することが表明されるなど、一歩前進の考えが示されたものの、こども権利条例の制定や子育て支援の拡充策の提案等に対しては、加藤前市長の姿勢を踏襲する答弁が繰り返されました。
「市政をアップデートする」との表現は、穏やかな変化への期待感を誘う効果があるのかもしれませんが、その全体像はまだまだといった感じです。若いだけに「言語明瞭」で多弁ですが「中身がないな、前市政と同じ」との印象です。辛口ですが…。
また、「イエスかノーか」明確な答弁を避け、「予定はない」とか「慎重な判断が必要」との表現が多用されていることも特徴でしょうか。市政運営を進める中での再検討を予見させるものなのか、単なる判断の先送りなのか、見極めも重要となりそうです。
➡12月9日付信濃毎日新聞より。因みに「いじめ重大事態」の記事は私の質問に答えたものです。
シリーズで代表質問のやり取りをダイジェスト版で報告します。
市民が求める施策優先度に応える市民主役の市政運営を
まちづくりアンケートの「市民が求める施策優先度」結果を真摯に受け止め、市民の施策優先度にマッチしたメリハリの利いた重点的な政策・施策展開こそが市政への信頼度を高め、幸せを実感できるまちづくりの支えとなると考える。「市民に一番近い市長を目指す」と述べた市長の問題意識を問う。
市長…できるだけ多くの市民と直接触れ合い、声をしっかり聴き、一番距離感の近い市長になりたいと述べたもの。まちづくりアンケートをはじめとする市民の声を丁寧に拾い上げることを大事にしていきたい。
具体的に何をどのようにアップデートするのか
課題解決のための具体的な方策が希薄。加藤市政の何を引き継ぎ、何をアップデートするのか、「アップデート・バージョンアップ」には市民の必要度、満足度に照らし市民益を高めるための仕組み・施策の転換も必要になるのではないか。
市長…市民サービスと市民負担についての基本的な考え方を大きく変えることなく、健全財政の維持を継承する。市政運営を進める中で、市民益の向上のために改善の余地があるものについては、適宜アップデートしていく。
公約の新しい仕組み…屋上屋にならず、市民に分かりやすい制度設計を
公約した「感染症対策チームの編成」や「子育て総合支援センターの開設」は屋上屋にならないことが重要。目的・役割は何か。いかなる市民益に応えようとするものなのか。
市長…「感染症対策チーム」は、感染対策と市民・社会経済活動の両立を目指すことが目的。保健所が行う感染防止策や保健医療体制の整備に加え、イベントや行事、集団生活等における対策の方法などについて、医療・公衆衛生・社会経済分野の有識者から専門的な知見や意見をいただき、市の対策や事業に活かすため、「新型コロナ感染症有識者会議」を設置する。
「子育て総合支援センター」は、育児の悩み、発達、貧困、教育など、どこに相談しても、集約された相談・支援につながるワンストップの仕組みをめざすもの。個別の支援会議を開き、連携してチームで対応する総合的・包括的な機能を発揮する仕組みにしたい。
転換を求める声、声なき声に配慮した施策展開を
市長選挙における荻原氏の得票率は53%。他候補に投じられた市政の転換を求める声にどう向き合うのか。
市長…市民の声を丁寧に拾い上げることを大事にしながら、様々な考え方をしっかり受け止めていきたい。将来世代へ負担を先送りしないため、健全財政の維持を前提に市政を進める必要があることに市民の理解が得られるよう努める。
副市長、女性登用による2名体制を…「熟慮中」と市長
市長…市政課題は多岐にわたり、的確に対応するためには、安定した体制の構築が不可欠。新しい副市長については、女性の登用も含め、現在、熟慮しているところ。
市独自の子ども権利条例の制定を…「県条例で子どもの最善の利益が実現」と市長
子どもの権利条例の制定を求める。コロナ禍のもと、子どもたちの発達や学びだけでなく、精神面や虐待など深刻度が増している時だけになおさらのこと、市独自の条例により、子ども達に「意見表明することができるよ。守られているよ」というメッセージを届け、権利の主体としての子どもの育ちを支えていくことが大きな課題である。加藤市長は制定する考えがない姿勢を明確にしてきたが、新しい市長の感性に期待する。見解は。
国連子どもの権利条約にある4つの「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」権利は、日々の生活の中に活かしていくことが大切であると考える。県条例により、子どもの人権救済のための調整機能がすでに確立されており、県全体での子ども支援を総合的に推進し、子どもの最善の利益を実現できていると捉えている。開設予定の「子育て総合支援センター」でも子どもの権利に関する相談を聞くとともに、人権侵害が懸念される相談や悩みは「県子ども支援センター」につなぎ救済を図るなど、県条例を実質的に活用し、子ども達の権利を守っていく。
ゼロ回答…0歳児おむつ支援は「予定なし」、子ども医療費無償化の18歳までの拡大には「慎重に検討」
子育て世帯の経済的負担の軽減を求める声に応えたい。ゼロ歳児のおむつ代を支援する赤ちゃんおむつ事業の創設、子ども医療費無償化の18歳までの拡充、学校給食費の段階的軽減あるいは軽減措置の拡大を提案する。見解は。
乳児のおむつ代支援は、長期的な支援になることが想定されることから、必要性や財源等について慎重に考える必要がある。現在のところ、実施する予定はないが、今後、コロナの感染状況や他市町村の状況等を注視していきたい。
子どもの医療費無償化を高校3年生まで拡大した場合には、現行の受給者負担金500円の場合で年額約1億5千万円の経費増が見込まれ、増額分は県の補助対象外となることから、市の一般財源に大きな影響を及ぼす。対象範囲の拡大は市の財政負担や同じ医療圏域の自治体の動向等も勘案しながら慎重に検討していく必要がある。
学校給食費については、就学援助制度により給食費相当額を支援しているが、その実績は全児童生徒の1割以上の3,277人に対し約1億7千万円に上る。段階的軽減等については、限られた財源の中で慎重に判断しなければならない。
子どもの権利条例の制定や赤ちゃんおむつ事業、医療費無償化の18歳までの拡大など、子育て支援に関わる提案・再提案には、加藤市長同様「ゼロ回答」答弁でした。荻原市長は所信表明で「子どもを大切にするまち長野をめざす」と強調しましたが、新たな財政負担を伴う施策展開には極めて後ろ向きな姿勢が浮き彫りになったと受け止めます。市民に必要であれば実行するリーダーシップに手腕を発揮をしてもらいたいと思うのですが…。
「子育て総合支援センター」の開設にはワンストップの相談・迅速な支援につながる仕組みとして期待するものの、経済的負担の軽減につなげる支援メニューをさらに拡大し、長野に生まれ育つ子どもたちを応援していきたいものです。