持続可能な消防団組織の構築を図る観点から長野市消防団が地域防災の要である消防団員の活動実態に合わせた定数の適正規模化、大規模災害団員制度の創設、消防団員の処遇改善などを市に対して要望していた懸案の課題について、このほど、消防委員会の審議等を踏まえ、市消防局は団員定数の見直しや処遇改善の方針を明らかにしました。
報酬は国の標準額に引き上げに
団員の年報酬など処遇改善は、議会も強く求めてきた課題で、消防庁長官通知に基づき、国が示す標準額に合わせることになりました。12月議会で条例改正の議決を経て、R4年度から実施されます。
年報酬は団員階級で現行年額19,000円を36,500円に、災害出動報酬は現行出動手当1回2,000円を日額で8,000円に引き上げられます。部長職は国標準に1,000円上増しします。
災害出動報酬は一律8,000円の標準を半日・2時間単位に細分化します。
R3年4月の調査では、中核市平均が32,834円、県下19市平均は19,400円でした。県内19市の報酬レベルは極めて低く、消防庁通知により是正されることが求められるところです。
ようやくですが、歓迎すべき決定です。
しかしながら課題が残っています。
年報酬を国標準額に合わせることに伴い、個人への直接支給に改められます。これまで長野市消防団では分団に一括支給し、分団では報酬金をプール管理し、分団としての活動の維持運営費に充ててきました。一部に「飲み代」になっているといった揶揄がありますが、決してそんなことはありません。飲食費がゼロというつもりはありませんが、火災予防運動やポンプ操法訓練の際の活動費・団運営費に充てられています。
消防庁の通知では、報酬の個人直接支給に伴い、団員個人に対し直接支給すべき経費(報酬等)と、団・分団の運営に必要な経費(維持管理費等)は適切に区別し、各市町村において適切に予算措置すべきである旨が明記されています。
消防局からの説明の際に、私から、消防庁通知に基づいた団運営費の支給について質問したところ、「指摘は承知しており、検討中である」と述べました。
12月議会での条例改正までに、一定の方向性が示されることを期待します。
定数を3,050人に減員、大規模災害団員制度を100人で創設
現在の長野市消防団は74分団で構成され、条例定員3,430人に対し実数は3,190人で、担い手不足は大きな課題となっています。定員数を満たすため、退団後の再入団や役職辞任後も団員として在籍するなどの対応で凌いでいるのが現実です。
市消防局では、消防団が中長期的視野で主体的に検討した「3,050人」案を適当と判断し、R4年4月から基本団員の定足数を3,050人としました。局では、R5年度以降も分団統合や定員見直し等について引き続き検討を進めるとしています。
また、大規模災害団員制度の導入を決めました。
「大規模災害団員」は、大規模災害時に新たに業務が発生したり、人手不足となる場合に限り出動する団員で、大規模激甚化する自然災害が増加する中、制度の導入が必要と判断されたものです。
退団予定者を中心に、大規模災害団員を含む機能別団員として100人体制をつくり、基本団員3,050人と合わせ計3,150人体制を構築することになります。
折しも、東日本台風災害から2年。R元年東日本台風災害における経験と知見を、非常時・大規模災害団員として活かしていただきたいと願います。