8月10日、戦時中の松代大本営地下壕工事で犠牲となった朝鮮人労働者を追悼し平和を祈念する集いが象山地下壕入口に建立された追悼碑の前で開かれました。追悼碑建立から26周年です。
追悼碑を守る会の会員や在日団体の代表ら60人が集い、犠牲者に祈りを捧げました。
守る会の表秀隆会長(長野大学名誉教授)は、「日朝・日韓関係に改善の兆しが見られないが、だからこそ、過去の歴史を正視し、学びながらどう行動するかが問われている」とあいさつ、松代大本営地下壕工事を通して、植民地支配、朝鮮人強制連行、強制労働の加害の歴史に向き合い、平和な未来を創っていくことの大切さを強調しました。
在日団体を代表して、民団県本部の金龍洙(キム・ヨンス)団長、朝鮮総連・朝鮮初中級学校の河舜昊(ハ・スノ)校長から挨拶をいただきました。
➡信濃毎日新聞、朝日新聞の報道記事より
◆信濃毎日新聞より | ◆朝日新聞より |
地下壕前での祈念の集いに続き、サンホール松代で追悼碑を守る会第27回総会を開き、2021年度の事業計画を確認しました。
事業計画は、見学者向け独自パンフの更新・増刷をすすめ松代大本営地下壕跡の案内活動に取り組むとともに長野市の松代大本営・説明文の修正問題について、史実を正確に記すよう求める活動を継続すること、さらに、在新潟大韓民国総領事からの守る会への支援の申出を受け、朝鮮半島をめぐる歴史認識を共有しあう企画を準備するプロジェクトを発足させることなどが柱です。
松代大本営地下壕の工事は、東京大空襲に襲われ、敗戦が色濃くなる中、本土決戦に備え、天皇をはじめとする皇族や大本営、政府機関など日本の中枢を避難・移転させるため、1944年の11月11日から1945年8月15日の敗戦まで行われました。工事では合わせて6,000人の朝鮮人労働者が中心的な役割を果たし、事故や栄養失調などによる死者は300人とも言われていますが、全容は今なお解明できていません。
集いに参加した長野朝鮮初中級学校3年の趙利奈さんは取材に応え「この場所を忘れてはいけないし、歴史がなかったかのようにならないように守っていきたいなと思います」と話していました。
追悼碑は、日本の侵略戦争、植民地支配の加害の歴史を忘却せず継承するためのモニュメントです。
戦後76年、素掘りの岩肌が残る地下壕と追悼碑を通して、かつての戦争の実相を学び、加害の負の歴史を共有しあう「生きた教科書」として、語り続けたいと思います。埋もれさせてはならない史実として…。