12月議会では、「選択的夫婦別姓 陳情アクション信州」(代表=中村栞穂)から提出された「選択夫婦別姓制度について法制化を求める意見書の提出を要望する請願」を全会一致で採択し、意見書を国に提出することになりました。私も請願の紹介議員に名を連ねてきました。
上田市議会に続く快挙です。懸案の課題の一つにしてきた一人として、請願、そして意見書の可決に、「ようやくここまでたどり着いた」との想いが募ります。請願者の皆さんの熱意に心から敬意を表したいと思います。
請願採択にあたり、改革ネットとして鎌倉希旭議員が賛成討論を行いました。請願採択の意義をしっかりアピールしたいとの狙いからです。
ここに鎌倉議員の賛成討論を紹介します。とても感慨深く聴きました。
16番、改革ながの市民ネット、鎌倉希旭です。
請願第16号、選択的夫婦別姓について法制化を求める意見書の提出を要望する請願を採択すべきものと決定した、委員長報告に賛成の立場で討論をさせていただきます。
現在、選択的夫婦別姓の議論は大きく動きを見せています。政府の第5次男女共同参画基本計画が今週中にも閣議決定されるのを前に、自民党の特別委員会内でも制度についての議論が活発化しています。計画案には導入に前向きな表現が盛り込まれ、推進派が「(実家の姓が絶えることを心配し)一人っ子同士が結婚を踏みとどまるケースがある」などと主張する一方、高市早苗前総務相ら慎重派が反発しています。計画案の内容は、実質「後退」を余儀なくされているのが実情であります。
慎重派の多くの意見として、日本の伝統的な戸籍制度の廃止等制度の崩壊を生み出す、家族の絆がなくなる、名前の違う子供がかわいそうだという意見があります。
11月26日に選択的夫婦別姓についての勉強会を開いた自民党の保守系有志議員でつくる「保守団結の会」代表世話人の城内実衆院議員が、「祖父が山本で、父が鈴木で、孫が田中みたいなことになる。混乱を生じさせないことが大事だ」と発言したと産経新聞が報じています。
しかし実際には、婚姻による氏の変更などで、親や子どもと氏が異なることは現行制度でも一般的なことであり、そういう家族はすでに山ほどいます。嫁いだ子供が、旧姓の親との仲良くなくなることはあるでしょうか。そんなことはないでしょう。苗字が同じだから絆が深いというのは何か違うのではないでしょうか。友人にも外国の方と結婚し、夫婦別姓でいる家族もいますが、一家全員幸せに過ごしています。
数年前この議論が市内の女性議員との懇談会でのテーマになったことがありましたが、「変わるのが当たり前だから、不便だと思ったことがない」という方がほとんどで、関心が薄いというのが正直なところでした。日本人がこうしなきゃいけない、こうすべきだということが世界では別の運用が当たり前になっていたりして、自分が固執してきた考え以外にも選択肢があることは、気持ちが楽になりすべての人が豊かに生きるきっかけを与えてくれる気がします。
この問題に関心があるのは、私自身が一人っ子で育ったからでもあります。跡取りだからと言われて育ってきたので、婿取りしろと言われ、それが普通だと思っていました。
私もこだわりがあるのかもしれませんが、私の苗字は平安時代末期にもらったと聞いています。自分のルーツや家の歴史に思い入れがあり、大切に思うからこそ選択できればいいのに、とずっと思ってきました。
もっと言うならば、結婚する相手の苗字にも自分とは全然違うストーリーがあり、そのルーツからその人が作られていると思うと、その苗字も同じく尊重したいという思いです。ミドルネームの使用ができればもっといいのに、と思っています。
お互いを尊重することが憲法13条前段に規定された趣旨にも合致し、家を守ること、伝統を守る手段は、必ずしも同姓を名乗ることで果たせるものではないと考えます。
ただ、立法されないと制度の実現はできないわけで、いくら声を上げても国が動かなければ、成果はゼロになってしまいます。
そんな中で、本件請願が長野県内で2例目の採択がなされれば、県都長野市として、多様な家族観を認める先進都市として評価されることと思います。すでに総務委員会の委員長報告は、全国的にもカッコいい都市と話題となっています。
長年この問題について思い入れのあった私も誇りに思います。国を動かす力となるためにも、ぜひ全会一致で採択されることをお願い申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。