11月26日、12月市議会定例会が始まりました。会期は19日間で12月4日までです。
総額13億9,990万円の長野市一般会計補正予算案をはじめ、公契約等基本条例案、太陽光発電設備の設置及び地域環境との調和に関する条例案、市長ら特別職の期末手当を5%から10%削減する条例案など市側から48議案が提案されました。
市長…残り1年、一層のスピード感をもって全力で取り組む
市長に就任して7年が経過し、2期目の任期も残すところ11か月余りとなる中、「昨年の4東日本台風災害に引き続き、新型コロナ感染症の流行によるダブルパンチの状況の中、感染拡大防止を図りながら、社会経済の回復に向け、残り1年、一層のスピード感をもって全力で取り組む」と3期目の意欲には触れず、淡々と市政に臨む決意?を述べました。
いずれにせよ、国のように後手後手に回ることなく、的確にスピード感を持って対応してもらいたいものです。
新型コロナ対策…厳しい状況認識が希薄では?踏み込み不足?
新型コロナ感染の拡大状況の認識と感染拡大防止策の具体について、市長は「冬季に入り油断できない状況が続いている。市民の生命と生活を守ることがまさに正念場を迎えている」との認識を示しつつ、「かかりつけ医等で受診・検査できる体制を整備してきた」ことを強調したうえで、「今後も、市保健所における積極的疫学調査により感染拡大に歯止めをかけるとともに、受診・検査が可能な医療機関が増え、市民の安全・安心につながるよう体制整備に努める」「医療機関と協力し、市民の不安を低減できるよう、医療・検査体制を確立していく」と述べるにとどまりました。
県下全域で感染警戒レベルが「レベル3」に引き上げられ、長野市を含む長野圏域が「レベル4」の特別警戒が問われる現況下にあって、Go ToトラベルやGo To イートの中断を含む構え、飲食店等の営業時間の短縮要請、年末年始に向けての移動の自粛などに向けての考えには言及しませんでした。感染状況に対する認識に危機感が希薄なのでないか、踏み込み不足を禁じえません。
県の判断が優先されるマターとはいえ、問題意識の表明があるべきだと考えます。
今に至ってもなお、経済再生重点の市長の姿勢が問われます。「正念場」と認識するのであれば、市民の健康と命を守るために、まずは万全な感染拡大防止に集中し具体策を講じたうえで、安心して経済再生に取り組める社会環境・生活環境の再構築に取り組むべきではないでしょうか。
全国屈指の「クリエィティブ・シティ」を目指す?
また、市長は、若者たちによるIT関連の起業を支える環境構築を目指す「長野市スタートアップ成長支援事業」を開始したことを踏まえ、「コロナ禍で、リモート化やデジタル化が急速に進み、働き方も大きく変わろうとしている中、地方都市ならではの利点を生かし、長野に起業文化を醸成し、全国から起業したい若者が善行寺界隈にどんどん集まる『全国屈指の「クリエィティブ・シティ」』を目指し取り組む」との決意を表明。
大きな風呂敷を広げたな…という印象です。
11月には、「長野市スタートアップ成長支援事業」を実施するため、「NAGANOスタートアップタウンコンソーシアム」(共同企業体)と業務委託契約を結びました。
「長野市スタートアップ成長支援事業」は、「善光寺門前イノベーションタウン構想(ZIT構想)」の推進を図るため、起業家(新規事業の創出を含む)を発掘し、事業化や事業の成長を支援し、成長した起業家が新たな起業家を支援することで起業家を次々に生み出していく仕組み(スタートアップ・エコシステム)の構築を推進することを目的に実施するものとされます。
問題意識はわからないではありませんが、「全国屈指」としうる条件・根拠をもっと具体的に論じてもらいたいところです。これからです。
市議会議員の期末手当5%減額決める
台風災害や新型コロナで市民生活や地域経済が疲弊する中、市民の皆さんに寄り添うため、市議会議員の期末手当を5%減額(議長は10%減額)し、微々たる原資ですが市財政に資することを初日に決めました。
この件について、改革ネットでは、3月議会段階から、月額歳費や夏一時金の減額の実施を会派代表者会議に提案してきました。しかし、最大会派・新友会からは、中核市における減額の実施状況や理事者側の対応を見極める必要があるとして、棚上げ、先送りされてきた経過があります。
今議会にあたり、理事者側が市長の期末手当10%減額、副市長や教育長などの他の特別職は5%減額の条例改定案を提出するに至り、会派代表者会議の議を経て、ようやく重い腰を上げたというのが実情です。
議会提出の条例改定になるのですが、新友会の議員が賛成討論を行い、いかにも新友会が提案し実現にこぎつけたかのような趣旨で発言。自らの不作為を棚に上げ「我田引水」も極まりけり!といったところです。
それはそれとして、個人的には議員全員が10%減額で臨むことが妥当であると考えていますが、市議会全体の合意にまでは至らず、胸を張れるような?結末ではないといった感じです。
なお、長野市職員及び学校職員の期末手当を0.05月減額する条例改定案も初日に議決しました。
12月補正予算案など12月定例会の課題・論点は続報で
【追記】11月27日付で続報をまとめました。