19日、市議会災害対策等調査研究特別委員会で、グリーピア千曲や浅川排水機場など台風19号災害の被災施設の復旧状況を調査、また、穂保地区と災害連携協定を締結し避難所を提供するヤマト運輸や、社会福祉法人「富竹の里」の施設長や長沼地区住民自治協議会の会長らと避難行動等の教訓について意見交換しました。
2回に分けて報告します。
浸水で機能停止のグリーピア千曲…復旧は3割程度
千曲川の堤防決壊により5m浸水し機能停止となった千曲川流域下水道下流処理区終末処理場「グリーピア千曲」(県施設)を視察。
被災直後の豊野地区では、グリーピア千曲の機能停止により、マンホールから汚水が溢れ、一帯に臭気が広がっていましたが、バキュームーカーによる汚水処理と、長野市の東部浄化センターと下水道管を接続し処理する応急復旧措置が講じられてきました。
今日現在で施設復旧は3割程度とされ、R3年4月には水処理施設5系列の稼働を予定、汚泥焼却炉を含む全施設の本稼働R4年4月とされます。入札不調のため、全面再稼働はずれ込む可能性もあるとされました。
施設内には流入した土砂の跡が至る所に残り、被災から1年たってもなお被災の深刻さを伺え知ることができます。
今年の9月には、長野幹線側揚水ポンプの復旧再稼働、10月には小布施幹線側揚水ポンプを再稼働させるとともに、汚泥脱水機も一部復旧しています。
汚水を浄化する重要な水処理工程では、5系列の内3系列で生物処理できるようになっていますが、あと2系列は沈殿と塩素消毒による簡易処理が続き、この2系統を混ぜて千曲川に放流しているそうです。環境への影響はないものとされています。
施設復旧には専門的な技術が不可欠です。入札が順調に進捗し、本格再稼働が予定通り進むことを願います。
浅川第一・第二排水機場の復旧
浅川の内水氾濫を抑止するため、千曲川との合流地点に長野市の浅川第一・第二排水機場が配備されています。内、第一排水機場が2.7mの浸水で機能停止となった施設です。
浅川の排水機場は市の2施設で毎秒44トン、隣接する県の第三排水機場で14トン、毎秒58トン排水できる計画ですが、県が浅川第四排水機場、毎秒7トンを5年以内に増設させる計画で、浅川総合内水対策計画(県策定)の毎秒65トンを排水するできることになります。
第二排水機場に隣接する箇所で約3m盛土する形で進む第一排水機場の再建工事はR3年度末の完成予定です。
千曲川本川の堤防強化・河道掘削、特に立ヶ花狭窄部の改良を早急に進めるとともに、浅川の排水機施設は県の第四排水機場の早期建設、流域での遊水地の早期確定を求めていくことが重要です。
災害応援協定で避難場所を提供するヤマト運輸
水害に度々見舞われてきた長野市長沼・穂保地区(堤防決壊地点)では、自主避難を住民に呼びかける防災訓練を実施してきていますが、一方で、災害発生時の住民の避難場所の確保が課題でした。
そこで、H26年に国道18号沿いのヤマト運輸長野主管支店と穂保地区の間でヤマト運輸の敷地を住民の避難場所に指定・活用する協定を締結。年1回の地域防災訓練にも積極的に参加しています。避難に備え、水や非常食等の備蓄も社独自に行われています。
ヤマト運輸・安全推進課の山田課長さんらにご案内いただきました。
発災時には穂保地区の30人を超える穂保地区住民が避難し、4階の会議室を避難場所として使うことができました。社屋屋上から自衛隊ヘリコプターで救助される場面は今でも記憶に残ります。
また、避難する際に使用した自家用車を1.5m高い倉庫・荷捌き所に誘導し、車の浸水を逃れることができたともされます。10日午後の段階で台風災害に備え、集荷業務を全面停止する措置が取られていたため、集荷場に荷物がなかったことから、駐車スペースに活用できたとのことでした。事業継続計画(BCP)が徹底されていたことが伺えます。
山田課長によると、苦慮した点として、災害ゴミの排出、業務再開にあたっての清掃(消火栓を開けてもらい対応)、電源確保のために発電機を4台レンタルして対応したことなどがあげられました。物流の確保は災害時の喫緊の課題ともなる中、行政との連携が一層問われる問題だと受け止めました。
災害に備え、民間事業者の協力、応援は欠かせません。ヤマト運輸は全国各地で避難場所を提供する災害時応援協定や物資輸送の連携協定を結んでいます。有難いことです。中高層のビル社屋を持つ民間事業者との連携を強め、災害に強いまちづくりに資したいものです。
「長野市復興だより第6号」にヤマト運輸の防災の取り組みが特集されています。紹介します。