8月10日、松代大本営地下壕工事で犠牲となった朝鮮人労働者を追悼する平和祈念の集いが象山地下壕前広場で催されました。松代大本営朝鮮人犠牲者追悼平和祈念碑を守る会(略称=松代大本営追悼碑を守る会)が開いたもので、追悼碑建立から25年目の節目の集いとなりました。
守る会の会員をはじめ、在日韓国・朝鮮人の団体など60人余りが参加し黙とうをささげ、追悼の花を手向けました。
松代大本営地下壕跡は、太平洋戦争の末期、本土決戦遂行と国体護持のために天皇や軍部、政府機関を移転するために、松代の山中に掘削された地下坑道です。
この地下壕工事には、地域の労務報国隊や勤労報国隊、学徒・児童まで動員されましたが、その主力は植民地支配下にあった朝鮮半島から強制連行された朝鮮人、既に日本に渡航し各地のダム建設工事などに強制労働させられていた朝鮮人労働者でした。
工事の犠牲者は100~300名ほどと推定されますが、特定できているのは4名にとどまります。真相の全容はいまだ解明されていません。
戦後50年の節目の1995年に、超党派の追悼碑建立運動により追悼碑が建立され、25年を迎えます。
集いには、駐新潟の大韓民国総領事館からジョン・ミエ総領事が初めて参加し、「歴史の現場を保存し、事実を知らせることはとても重要なこと。松代大本営と追悼碑がアジアの平和と共生のための歴史を学ぶ教育の場として、さらに活用されることを期待する」と挨拶しました。
松代大本営追悼碑を守る会の塩入隆会長(86)は、「追悼碑の建立から25年がたったが、朝鮮半島との関係はますます難しくなってきた。加害の歴史に真摯に向き合う活動を続けるとともに、もっと市民レベルで交流していくことが必要だ」と話しました。
また、塩入会長に代わり新しく会長に就任する表秀孝さんは(長野大学名誉教授)「現在両国の政治関係が最悪となっている時こそ過去の歴史を正視し、そこから学びながら、私たちはどう行動するべきか問われている」と呼びかけました。
追悼碑前での祈念の集いに続いて開いた追悼碑を守る会第26回総会で、事業計画等を決めるとともに、塩入隆会長が名誉会長となり、新会長に表秀孝氏が就く新たな役員体制を確認しました。
引き続き、私は事務局次長を務めます。
塩入氏には追悼碑建立運動から30年間、会長を務めてきていただき、守る会の運動をけん引してきていただきました。引き続き名誉会長としてサポートいただくことになりますが、心から深く感謝申し上げます。
戦後75年、侵略と加害の歴史を直視し、戦争責任を果たすとともに、恒久平和を願い、松代大本営地下壕を「戦争史跡」、生きた平和の教科書と語り継いでいきたいものです。