昨年6月の子どもの貧困対策推進法の一部改正を踏まえ、昨年11月に5年ぶりに「子どもの貧困対策大綱」が改訂されました。
改定された子どもの貧困対策大綱のポイント
大綱は新たに「現在から将来にわたり、すべての子どもたちが夢や希望を持てる社会を目指す」「子育てや貧困を家庭のみの責任とせず、子どもを第一に考えた支援を包括的・早期に実施する」との理念・目的を掲げ、指標も25から39に増えたものの、児童手当や児童福祉手当など経済的支援の拡充は現状維持にとどまりました。
しかし、「支援が届かない又は届きにくい子ども・家庭への配慮」が盛り込まれるなど一定前進したものと受け止めています。
改定大綱の評価をはじめ、市独自の子ども貧困対策基本計画の早期策定を質しました。
「今を生きる子どもの支援に着目」…時宜を得た見直しと評価
こども未来部長は、「一人親家庭の貧困率は高い水準にあり、依然として支援を必要とする子供や家庭が存在するなど、5年前の大綱策定時点からの状況変化に合わせた見直しがされたもの」で、「貧困の連鎖を断ち切るために、子どもの将来を閉ざさないよう、今を生きる子どもへの支援に目を向けた点なども見直されるなど、時宜を得たものと認識する」との評価を示しました。
そのうえで、本市では庁内関係課による「子どもの貧困町内連絡会議」を設け、定期的に情報共有を図りながら、様々な施策を実施しているところであるが、「施策を効果的に取り組むためにも、子どもの貧困状況の把握と、その対応方法について検討することが課題」としました。
「子どもの貧困対策計画」の策定…「検討していく」と答弁
子どもの貧困対策推進法の改正、大綱の見直しにより、新たに市町村計画の策定が努力義務とされました。これまで、長野市は「子ども子育て支援事業計画」に子どもの貧困対策を一施策として位置付けてきているが、独立・独自の「子どもの貧困対策基本計画」を策定すべきと提案しました。
子どもの貧困対策の計画は全都道府県は策定済みですが、市町村ではまだまだ少ない実態にあります。内閣府によれば、昨年6月現在で策定済みは145市町村(特別区を含む)に過ぎません。本市でも、地域の実情を踏まえたキメ細かな貧困対策の計画推進が求められます。
こども未来部長は、「国が実施を予定している、子どもの貧困に関する全国的な実態調査を踏まえるとともに、他市における計画の見直し状況や新たな計画策定状況を参考にし、本市における『子供の貧困対策計画』の策定を、今後、検討していく」と前向きな姿勢を示しました。
➡現在から将来にわたり、すべての子どもたちが夢や希望を持てる社会を作り出すため、貧困の連鎖を断ち切ることのできる有効な施策展開の基本計画となるよう、引き続きチェック・提案していきたいと考えます。
ひとり親家庭の子どもの学習支援の拡大等を提案
子どもの貧困対策事業の一環とて実施されている、ひとり親家庭の子どもや生活困窮世帯の子どもに対する学習支援事業をさらに拡大することを求めつつ、現状と課題を質問しました。
ひとり親家庭の子どもの学習支援…小学生48人、中学生72人
ひとり親家庭の子どもへの学習支援は、児童扶養手当受給者等のひとり親家庭の小学4年生から中学3年生までの児童生徒を対象に、トライなどの民間事業者に委託して、市内14か所の会場で実施されています。
「R2年2月末現在で、小学生48人、中学生72人で、希望する全員が受講できている」とします。
生活困窮世帯の子ども…小学生17人、中学生16人、高校生12人
また、生活困窮世帯の子どもへの学習支援では、生活保護世帯や生活困窮世帯の小・中学生、高校生を対象にNPO法人等に委託し、対象世帯の自宅に講師を派遣し支援しているもので、R2年2月現在で、小学生17人、中学生16人、高校生12人とされます。
課題としては、「一人でも多くの子どもを支援することが大切であり、対象となる世帯への周知に力をいれ、この事業の活用につなげていくこと」と答弁しました。
ひとり親家庭の子どもの学習支援は、通うことのできる距離内での施設配備を図るため、個所数が拡大・改善されてきていますが、なお「もっと近い所にあれば」との声もいただきます。
必要とされるすべての子どもに学習支援が行き届くよう、チェックしていきます。
特に「支援が届かない又は届きにくい子ども・家庭への配慮」を忘れてはならないと思います。