市長は3月市議会定例会冒頭の施政方針で「最低制限価格の引き上げとともに、公契約条例に関し研究組織を立ち上げ、具体的に検討していく」と初めて公契約条例に言及しました。
施政方針に具体的な検討着手を盛り込んだ意義と責任は大きいものと受け止めています。
ようやく一歩前進!
公契約条例の制定は、私自身、長年にわたって提案してきた課題で、ようやくここまで漕ぎつけることができた!との想いです。今後、いかなる内容の条例案の検討がなされるのか、いよいよ正念場です。
市ではこれまで、条例制定を求める私の質問に対し、「一定水準以上の賃金の支払いなどを義務付けるような条例は難しいが、公権力的な規制を規定せず、基本理念や市・事業者などの責務をより明確にするような条例は検討する必要がある。引き続き調査研究する」と答弁してきました。
「調査研究する」との答弁を繰り返してきた経過を顧みると、ようやくですが、市の条例制定に向けた具体的な検討着手の姿勢を評価しつつ、検討する公契約条例の基本について注文するとともに、今後の具体的な取り組みを質問しました。
適正賃金の支払いが下請け・孫請けまで行き渡る仕組みを求める
めざす条例が、例え、公権力的な規制を規定しない理念条例であっても、公共工事における適正賃金の支払いが担保できる仕組みが構築されることが重要であることを質しながら、早期の制定を求めました。併せて研究組織の具体、今後の取り組み方針を問いました。
市長…「公契約条例は有益」と初めて評価
市長は「公共事業を通じて、市内事業者の健全な発展や市内経済の活性化を図るためには、適正な価格で受注してもらうこと、それにより労働者への適正な対価の支払いなど労働環境が向上していくこと、さらに事業者の安定的な経営と事業の継続性を高めていくといった流れを、より家具質なものにしていく必要がある」との認識を示したうえで、「公契約条例を制定している他自治体においては、発注者と受注者がそれぞれの役割を担いながら、より良い労働環境づくりなどを総合的に推進しており、こうした取り組みは本市においても有益であると考え。今回、具体的に検討することにした」と条例制定検討の意義を述べました。
市長…「適正賃金の支払いを担保する仕組みの構築は重要」との認識示す
提案した「公共工事における適正賃金の支払いを担保する仕組みの構築」に関しては、労働環境の向上につなげるための最低制限価格の引き上げ(新年度から実施)の趣旨からも、「重要なこと」と述べ、「そうした観点も含め公契約条例の在り方について検討する」としました。
公契約条例の肝の部分について「重要」との認識を示したことは大きいと感じています。
問題は、元請け段階から下請け・孫請けの事業所の労働者に適正な賃金払いが行き渡ることです。
「研究組織立ち上げ、今年中を目途に一定の方向性を示したい」
条例の研究・検討は、公共事業を受注する事業者の代表や労働団体の代表のほか、学識計経験者など様々な立場の方で構成する研究組織を新年度に立ち上げ、幅広く意見をもらいたいとし、「今年中を目途に一定の方向性を示したい」と答弁しました。
今後の取り組みを注視しつつ、具体的な提案を続けていきたいと考えます。
総合評価落札方式を拡大、価格以外の評価加点もプラスに
市では、入札・契約制度の見直しについて、新年度から総合評価落札方式を拡大するとともに、最低制限価格の設定範囲を引き上げ、県と同率にします。
公契約条例の検討着手に先立ち、2月の政策説明会で報告されました。
総合評価落札方式では、事後審査型一般競争入札による発注工事から約100件程度拡大し、適用工種を土木・建築・管・電気・舗装・水道施設の6工種から、「とび・土木・コンクリート」を新規に追加します。
また、総合評価落札方式では、2人以上の学識経験者からの意見聴取が必要で、これまで県の「総合評価技術委員会」に代行依頼してきましたが、市独自に「長野市総合評価技術委員会」を設置することにもなりました。
さらに、価格以外の評価項目の見直しで、これまで最大で16.5点であったものが1.5ポイント上昇し18.0点に拡大されます。
最低制限価格の設定範囲2%引き上げ、県と同率に
最低制限価格の見直しでは、これまで2億円未満の発注工事入札では87.5~92.5%、2億円以上では82.5~897.5%であったものを、2億円を境とする区分を廃止し、一律89.5~94.5%に引き上げられます。新年度から適用です。
長野市内では、競争が激しいため、県内他市と比較しても、落札率が低く、適切・適正な工事経費の確保という観点から課題が指摘されていました。
2月に行われた市議会建設企業委員会と市建設業協会との懇談会でも、強く見直しを求められていた課題です。
総合評価落札方式の拡大、本格実施と併せて、さらに見直しを進めていきたいと考えます。