昨日11日の長野市議会経済文教委員会で、委員会に付託された議案第139号「長野市国民宿舎松代荘の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」と議案第 146号「松代藩文化施設条例の一部を改正する条例」に対し、改革ネットとして修正案をまとめ提出しました。
利用料金の引き上げ率等の修正を求める
議案第139号は、松代荘のリニューアルに伴い日帰り入湯料510円(中学生以上)を600円に引き上げるもので、市民の憩いと健康増進につながる日帰り入湯料510円を維持するよう修正する内容。
議案第146号は、真田宝物館や文武学校など松代藩文化施設の入場料を現行から一挙に2倍に引き上げるもので、例えば、真田宝物館は300円を600円に、文武学校は200円を400円に改訂しようとする内容です。激変緩和の観点から、当面1.5倍の引き上げにとどめるよう修正するものです。
委員会では、所属する鎌倉希旭議員からそれぞれ修正案を提出し、修正理由や修正内容を提案、審議されました。修正案は共産党の委員には賛成いただきましたが、新友会・公明党の委員からは賛同を得られず、賛成少数で否決となってしまいました。
事前に他会派等に問題提起してきたものの、実らせることができませんでした。
明確な反対理由ないまま否決に
修正案に対する討論では、反対委員から修正理由等に対する質問が出されたものの、修正案に反対する明確な理由が示されないまま、否決となりました。理事者の原案提案理由を単純に追認するものといえるでしょう。
改革ネットとしては、原案に反対するだけでは、それぞれの施設の市民益につながる有効活用の道筋についてしっかりとした討論ができないと考え、修正案を提出する中で、議会における討論をより深め、各施設の有効な活用の道筋を模索したいとの問題意識を持って取り組んだものです。
修正案の骨格を作成し、議会事務局の手助けを得ながら成案にまとめることができました。否決される修正案とはいえ、事務局にはお世話になりました。
原案に対する修正理由・修正内容
それぞれの議案原案に対する「修正理由・修正内容」を掲載します。
議案第139号長野市国民宿舎松代荘の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例に対する修正案
【修正理由】
原案は、建設から18年が経過し老朽化している松代荘について、市民及び観光客の保養と健康増進を図り、夫婦2人マイカー旅行のアクティブ層を取り込むとともに、落ち着いた食事時間の提供、少人数宴会への対応を図ることなどをコンセプトとした施設のリニューアルに伴い、シーズン料金を含めた宿泊料および日帰り入湯料など利用料金の見直しを図る改正案である。
松代荘のリニューアル事業は当初、指定管理者である長野市開発公社の「公益支出計画」による本市への寄附金を原資とし、総事業費8億円のうち長野市開発公社からの寄附金7億円を充当するものであった。つまり、一般財源は1億円の事業計画であった。
ところが、R元年度事業費は、国の地方創生拠点整備交付金及び補正予算債を活用することとなり、寄附金7億円のうち4億8千万円を充当する予定となり、R2年度事業においても、国の交付金を継続して申請する予定とする。国において事業が採択されれば、寄附金の充当が必要なくなるとの見通しが示された。
国の交付金を活用し寄附金を充当する財源を補正することに異論はないが、こうした事業財源の変更が議会側に開示、説明されてきていないことは問題点として指摘しなければならない。
そもそも、国民宿舎は「国民の健全なレクリエーションと健康の増進を図り、国民の誰もが低廉でしかも快適に利用できること」を目的とする。こうした「国民宿舎」の役割に照らし、利用料金の見直し、引き上げには抑制的であることが肝要である。ターゲット層を見直し交流人口を増加させたいとする問題意識は共有するし、また、国民宿舎の役割も時代の変遷により変化してきていることも理解するが、特に日帰り入浴及び入浴とセットの宴会利用は、長野市民の利用割合が高く、それこそ市民公益性の観点から、市民誰もの憩いの場として低廉なサービスを提供することが求められると考える。
なおかつ、利用料金見直し及びリニューアルによる収支見込では、4,022万円の利益をあげる見通しとされる。市民の憩いと健康増進につながる日帰り入湯料の引き上げを実施しなくとも、収益を上げられる収支見込にあることも強調したい。
以上のことから、中学生以上の大人の日帰り入湯料について、現行料金を維持するよう修正する。
【修正内容】
➊中学生以上の日帰り入湯料について
現行の510円を維持するよう修正(係る条文を削除)
➋施行期日について
➊に係る施行期日について、削除する。
議案第146号松代藩文化施設条例の一部を改正する条例に対する修正案
【修正理由】
原案は、松代藩文化施設条例において設置された施設のうち、入場料を徴収するものについて、旧松代藩文武学校のリニューアルに伴い入場料等を2倍等に大幅に増額する改正案である。
当該施設は、10年間にわたり入場料が据え置かれている。施設の老朽化が進み、十分な補修、改修ができない中での入場料の増額は説得力がないとの判断があったものと推察されるものの、行政サービスの利用者の負担に関する基準に基づく3年ごとの利用料金の見直しが必要であり、その検討経過について、説明責任が果たされていない。
文武学校等の施設のリニューアルに伴い入場料を改正することを否定するものではないが、原案は入場料等を倍にする引上げであり、利用者負担基準に照らしても、整合性がない。
市は、「市外住民を対象とする観光施設の側面を持ち、他市町村とも競合することから、類似施設の料金を踏まえて改定するもの」と説明するが、競合するのであれば、松代藩文化施設の入場料は他と比較して安いことを売りとして、誘客を図る方がメリットが大きい。また、施設の性質上、コスト面だけで考えるべきでない。
以上のことから、入場料等の改定額を見直した上で、3年後に料金改定を検討する旨の条項を加えるよう修正する。
【修正内容】
➊「個人一般」及び「団体一般」の入場料について 【別表1-1】
真田宝物館、真田邸、文武学校、旧横田住宅 → 現行の1.5倍に修正
象山記念館 → 改定案の比率の応じ減額の修正
なお、「個人一般」及び「団体一般」の「小・中学生」の入場料は、原案のとおり
➋共通券の区分及び入場料について 【別表1-2】
原案の入場料を勘案し、減額の修正
➌使用料について 【別表2】
原案の使用料を勘案し、減額の修正
➍検討の項目を追加
条例施行後、3年経過した場合、入場料等について検討を加え、必要に応じて所要の措置を講ずる附則を追加