12月6日、12月市議会定例会の一般質問が行われました。
長野市はすでに12月1日付けで「復興局」を設置し、災害復興本部を立ち上げ、「復旧・復興方針」に基づき、中長期的な具体策をまとめる「復興計画」を策定するとしています。
12月議会の質問は、災害対応最優先のもと、市側の負担を軽減するため、質問日程を1日のみにし、会派は30分(複数議員の質問可)、無所属議員は5分の質問時間で行いました。
改革ネットは松木代表一本の質問としました。
甚大な台風災害からの復旧の途上にある中、まさに復旧・復興議会となっています。
しかしながら、復興にかかわる課題は、策定する「復興計画の中で検討する」との答弁が多く、これからが正念場です。
質問・答弁からポイント(一部ですが)を紹介します。
堤防決壊情報、市民に伝わらず…情報共有の連携を強化
千曲川の堤防決壊の情報が国土交通省から市に知らされず、市民にも伝わらなかったことについて、市長は「国や県と情報共有に関する連携強化を図り、市民への情報伝達の在り方を考える」と強調。
決壊時点で、「決壊のおそれあり」との状況判断のもと、「レベル5の避難指示を出し、命を守る行動を強く呼びかけていたことを踏まえ、人命救助優先にシフトしていた」とする。
想定を超える災害…ハード・ソフト両面の整備で二度と犠牲者を出さない
市長は教訓として「完成堤防でも決壊するという想定を超える災害となった。ハード整備を急ぐとともに、避難行動を徹底するため、「私の避難計画」「マイ・タイムライン」の周知・徹底を図り、二度と犠牲者を出さないようにすることが重要」と強調。
本格的復興を見据え大幅な財源不足に
市では災害の復旧・復興のため既に260億円の補正予算を組んでいるが、今後の本格的な復興を見据えると「事業見直しなどで歳出を抑制しても財源は大幅に不足する見込み」とし、国・県に一層の財政支援を要請するとともに、「(貯金である)財政調整基金などの取り崩しで確保する」考えを示す。
被災者台帳作成し、運用
「住家の家屋調査、罹災証明の発行、避難所における聞き取りを通じ、世帯ごとに被災者台帳を作成し、生活支援の向け運用する」と現状を報告。いわゆる被災者データベースの作成・運用は被災者一人一人の復旧・復興に向けた支援の基礎となるもの。さらに詳細を把握したい。
市営住宅の入居期限…期間延長などに柔軟に対応
被災者の仮住まい先として斡旋されている市営住宅や県営住宅は入居期限が1年間とされていることについて「被災家屋の再建には相当の期間を要することが想定され、被災者の意向を確認して期間延長などに柔軟に対応する」と答弁。
市営住宅・豊野沖団地の再建…「現在地を含め候補地を検討」
67世帯が居住していた市営住宅・豊野沖団地は1階天井まで浸水し、「全壊」で既に取り壊す方針を示すとともに、「再建できれば優先入居が可能」と住民に説明してきていたが、住民の意向調査で約7割の世帯が「豊野に戻りたい」としていることから、「現在地を含め候補地を検討」と再建方針の考え方を示す。
公共施設建物の水害基準なし
公共施設について、洪水ハザードマップに対応し水害被害を抑止する基礎の高さなどの基準がないことから、「今後、検討する」答弁。
仮設住宅は860戸確保し700戸に入居
市は応急仮設住宅として500戸が必要としてきた。市営住宅123戸、建設型住宅115戸、県営住宅等143戸のほか、民間アパート等のみなし仮設住宅には12月4日現在500戸となり、860戸確保され700戸が既に入居済みとした。民間では市内に空きアパートが200戸存在するとし、あと360戸分の提供が可能との見通しを示した。
長沼地区の交流拠点、トレーラーハウス2台で15日開設へ
堤防決壊による濁流の直撃を受けた長沼支所・交流センターに代わり、支所に隣接する体育館の南にトレーラーハウス2台を設置し、被災者の交流拠点として「長沼地域交流センター」を15日から開設。
生活支援地域支えあいセンターを年内に開設し、生活支援相談員が巡回訪問
18人態勢で年内に設置。仮設住宅や在宅の被災者を巡回訪問し、生活相談、健康相談などにあたる。
市外に仮住まいを求めた世帯もあることから、広域的な連携のもと、すべての被災者の生活支援のフォローアップが問われる。
中小事業者の生業再建に向けた借入金について利子補給を検討
中小事業者の生業再建に向けた支援は「融資と補助」が柱とし、事業再建に向けた借入金に対する利子補給を検討すると答弁。
長沼小学校、仮設校舎で3学期から
被災した長沼小学校は、近隣の柳原小学校を借りて授業を再開してきているが、校庭に仮設校舎を建てるとともに、浸水を免れた2階・3階を利用して3学期からの授業再開をめざす。
3階を使用し授業を再開している豊野中学校も3学期から仮設校舎を使用する予定。東北中学校、松代中学校は2階・3階を使用し授業再開してきている。本格復旧は来年秋ごろをめざす。一日も早い本格復旧を図りたいものだ。
アスベスト対策…県の協定活用せず市独自に調査
建築指導課で作成している「アスベスト台帳」に基づき、長沼地区では吹き付けアスベストなど7つの事業所を調査し、「損壊なし」と判断。また、台帳にない300㎡未満の事業所を調査し損壊がないことを確認しているとする。
県が昨年9月に締結した「災害時における被災建築物のアスベスト調査に関する協定」に基づき一般社団法人建築物石綿含有建材調査者協会等の専門的技術者団体等の調査を活用することについては、既に市単独で調査していることから県に申請していないとした。
一般住家におけるアスベスト調査は未実施である。住家等の公費解体が始まる前に、アスベストの全調査を実施し、的確な飛散防止策を講じた解体作業が求められる。