不燃ごみピットの火災により稼働が中止している長野市資源再生センターの完全復旧が11月下旬頃になる見通しが明らかにされました。
5月8日の政策説明会で説明報告されたもので、火災により自動火災報知設備やごみクレーン設備のケーブルやモーター、除じん機、スプリンクラー用火災検出装置等が損傷し、かなり大規模な復旧・改修工事が必要なためとされます。
建屋は鉄骨部材等の変形や高張力ボルトの損傷などがあり、現在、修理費用を調査中としました。
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5月23日の定例記者会見まで非公開とされた情報
実は、8日の報告説明の段階では、資源再生センターの復旧予定及び経費等については、5月23日の市長定例記者会見まで「非公開」とされていました。
しかしながら、9日付の信濃毎日新聞が報道したことにより、かかる議会とのいわゆる「紳士協定」による情報管理は意味がないと判断し、取り上げることにしました。
そもそも8日に説明し23日まで非公開という設定そのものに無理がありますし、市民生活に直結するごみ処理施設の火災・復旧に関する情報ですから、速やかに情報開示するのが基本でしょう。
23日まで非公開という判断の真意はどこにあるのでしょうか?
6月市議会定例会の議案等を23日の定例記者会見で発表する予定と思われ、補正予算との関連で「非公開」としたつもりなのでしょうが、後で触れる「情報開示に問題あり!」と合わせて考えると、穿った見方もできそうです。
設備の復旧費、不燃ごみ処理の外部委託費など4億円を6月議会補正で
建屋を除く復旧工事費は約2億8,300万円で、内、自動火災報知機等の復旧費3,240万円は既決予算で対応し、残り約2億5,000万円については、全国市有物件災害共済会の保険で補償(損傷額の20%が対象)されない約2億円をリサイクル基金から充当して対応するとしました。
設備の復旧工事は、施設の建設及び整備事業者である日立造船(㈱)、日立プラント㈱との随意契約となります。
また、4月中旬から外部委託している不燃ごみの処理経費は月額で約3,650万円と試算し、4カ月分の1億4,600万円を見込みます。外部委託により自営処理より1t当たり15,000円~20,000円経費が増すとの試算です。
6月市議会定例会に資源再生センターの復旧経費として約4億円の補正予算案を提出したいとしました。
施設での自営処理、7月再開めざす…完全復旧は11月
市では、完全復旧まで6カ月かかる見通しの下で、もともと9月から計画していたトロンメル(選別ふるい)の更新工事期間(1カ月半)をはさむことから、まずは自動火災報知設備などの安全設備を先行復旧し、施設の早期再稼働を目指す観点から、7月~8月には収集車からのコンベアへの直接投入方式により、施設での自営処理を再開したいとの考えを示しました。
また、再発防止に向け、安全対策に万全を期すため、監視カメラによる24時間監視通報体制の構築を検討するとしました。
最大の工事は、特注品となるピットの大型クレーンの交換でしょう。
復旧工事が順調に進むことを願います。
また、大豆島住民自治協議会からの安全対策要望である24時間監視通報体制の確立は、速やかに進めてもらいたいものです。
これあり!?「通報遅れで大規模化か」との報道
驚いたのが10日付の信濃毎日新聞の報道、「長野のごみ処理施設火災、通報遅れで大規模化か、報知機作動から1時間20分」との記事です。
9日の市長定例記者会見での取材が切っ掛けのようです。
➡長野市公式サイト「市長の定例記者会見」のページへ
これまで、資源再生センターでの火災発生を消防が認識した(消防覚知)時刻は午前2時28分とされ、8日の議会への説明でも同様の報告がされていました。
しかしながら、センターの自動火災報知機が出火を感知し、警備会社に警報を伝えたのは午前1時11分で、誤作動か否か、現場での確認が必要とされていることから、119番通報が午前2時28分になったというものです。
報道記事は「通報の遅れが火災の大規模化、長期化につながった可能性が大きいとし、対応手順を見直す考えを示した」というもので、「誤報でもいいから通報する体制にすべきだった」との市長コメントを紹介、「24時間監視体制を築き、二度とこうした火災が起きないようにする」と強調したと伝えています。
火災の大規模化、長期化の原因はこれまで「ピットの底部に排水溝があり、スプリンクラーからの水が排水されてしまいピット内に溜まらなかったこと。クレーンケーブルの損傷により、クレーンが作動せず、ごみを撹拌しながら消化できなかったこと」とされてきました。
マニュアル通りの手順とはいえ、通報の遅れがあったという事実、そして通報の遅れが火災の大規模化・長期化につながった要因の一つであるとの認識が、議会に、そして市民に全く明らかにされてきていないことは問題視せざるを得ません。
センターの自動火災報知機の作動が消防局への自動通報になっていなかったのか、不明な点も残ります。通常、消防局発表の火災情報では、自動火災報知機の作動により消防車が出動し、誤作動の場合は、「火災ではなかった旨」が追加発表されています。
何故、こうした展開になったのか。市行政の危機管理に関する情報開示の在り方が改めて問われます。
問題の性格は異なりますが、思い起こすのは、消防局の救急車の誤搬送や期限切れ薬剤の問題が発覚し「公表基準」を策定するに至った事案です。隠蔽を疑われるようなことがあってはなりません。
会派として、真相をはっきりさせるとともに、万全なる再発防止策につなげたいと考えています。
万全な再発防止策とごみの分別収集の再徹底へ
火災原因は不燃ごみピット内のごみを搬出しながら究明するとされています。
まずは、24時間監視通報体制の確立、隣接するごみ焼却施設の監視体制との連携・連動の確立、マニュアルの見直しなど、万全の再発防止策の確立が問われます。
さらに、市民の皆さんにごみ焼却施設やごみハッカー車での火災の要因となるスプレー缶などの発火物について、分別を徹底する取り組みを進めることが重要です。
また、資源再生センターの完全復旧にまで時間を要することから、処理を急がない不燃ごみは自宅にため置くような取り組みをお願いしてもよいのではと思います。環境部長にそうした提案もしましたが、「市民の理解が…」といった感じで消極的な感じです。