現在、市営住宅の入居には連帯保証人が必要です。しかし、核家族化の進行などにより家族関係や血縁関係が希薄化し、連帯保証人を確保できないことによって市営住宅の入居を辞退せざるを得ないという状況が少なからず生まれています。
身寄りの無い生活困窮者や高齢者にとっては深刻な問題、課題となっています。
【参考】「長野市営住宅の設置及び管理に関する条例」の「第11条・住宅入居の手続き」において「入居決定者と同程度以上の収入を有するもので、市長が適当と認める連帯保証人と連署する誓約書を提出すること」と規定し、連帯保証人を必要としています。
生活就労支援センター「まいさぽ長野市」では、住居の確保が必要で、かつ連帯保証人が確保できない場合は、多くは民間の賃貸住宅に入居できるように支援しているところであり、市営住宅への入居はハードルが高いままとなっています。
県社協…連帯保証人がなくても県営住宅に入居できる仕組みをスタート
こうした課題に風穴を開けたのが、県社会福祉協議会の「長野県あんしん創造ネット」の「入居保証・生活支援事業」です。長野県と県社協が契約を結び、連帯保証人に代わる債務保証を県社協が行うことで、連帯保証人がなくても県営住宅への入居が可能になりました。今年1月から始まった取り組みです。生活就労支援センター「まいさぽ」の支援プランと一体で、県社協が行う債務保証は、滞納家賃の保証、退去時の原状回復費用の負担、及び入居生活支援(日常生活の見守り)を行うというものです。
県社協の新しいスキームで市営住宅も入居可能に
重要な点は、県社協の新しいスキームが、県社協と市の契約により県社協が債務保証を引き受け市営住宅への入居も可能にするスキームであるということです。
県社協に確認しました。県社協と長野市が協定・契約を結べば可能となります。
この県社協のスキームにより、まいさぽ長野市に相談に訪れる生活困窮者の方に対し、まずは住居の確保が必要な場合、連帯保証人が確保できない場合でも、市内の県営住宅及び市営住宅への入居が可能になるのです。
市も連帯保証人無しで市営住宅への入居を斡旋すべき
そこで、新しい県社協の入居保証事業を活用し、連帯保証人が確保できずとも市営住宅への入居を積極的に斡旋していくことが重要であると強調し、一つに制度活用の認識状況、二つに市営住宅への入居を斡旋し受け入れられるよう、空き室に向けた課題、三つに「連帯保証人と連署する誓約書の提出」を入居の条件とする市条例との整合性を図る必要があるのか、例外を規定する要項対応でよいのかを質しました。
市…「早期に実施に向けた検討を行う」と答弁
建設部長は、「保証人が見つからない場合、県営住宅への入居は県社協の『長野県あんしん創造ネット』・『入居保証・生活支援事業』の支援プランを紹介し入居をサポートしている」とする一方、「市営住宅については、生活保護受給世帯の中でも特別な事情がある場合を除き、連帯保証人が必要とされていることから『長野県あんしん創造ネット』を活用した入居は、現在認めていない」と現状を述べました。
その上で、「『長野県あんしん創造ネット』の活用は、家賃債務の回収問題や緊急時の連絡先の確保に対応できるものの、契約時に保証料負担が生じることや契約期間が2年間と短いことなどが課題として考えられるが、市営住宅のこれまでの入居募集において、連帯保証人が確保できないために辞退したケースが散見されることから、長野県あんしん創造ネットの活用について、連帯保証人が確保できない、市営住宅への応募者をまいさぽ長野市に斡旋することも含め、早急に検討する必要がある」との認識を示しました。
また、市条例との整合性については、長野市営住宅の設置及び管理に関する条例では、特別な事情がある者には、連帯保証人の除外規定を適用しているが、「長野県あんしん創造ネットの活用が除外規定にあたるかは、県社協との協議を踏まえ、検討する」と答弁し、「市営住宅入居にあたっての『長野県あんしん創造ネット』の活用については、本年1月から実施している県営住宅の実施状況や課題を整理したうえで、できるだけ早期に、実施に向けた検討を行う」と締めくくりました。
なお、市営住宅の空き室確保については、入居募集が可能な空き室は252戸で、今年度、修繕した上で123戸の募集をしたところ443件の応募で平均倍率は3.6倍となっていること、浴槽やエレベーターの設置がない住宅への応募倍率は1.2倍で、居住環境の宵市営住宅に応募が偏るなどの課題があることから、入居募集に当たっては浴槽の設置等の居住環境の改善をさらに進めていく必要があるとの考え方を示すにとどまりました。
市営住宅で生活困窮者の受け入れができるかどうかということに絞って現状と課題を質問したつもりですが、答弁は総論的な空き室の現状と課題ということになりました。時間がなくて再質問はできませんでした。
再質問で「検討」ではなく「速やかな制度活用」を迫る
答弁では、「課題を整理したうえで、できるだけ早期に、実施に向けた検討を行う」との一定前向きな考え方が示されたものの、県社協の制度の活用は「検討段階」でなく「実施段階」であることを強調し、改めて答弁を求めました。
建設部長は、条例上の除外適用を含め、「県社協との協議をしながら前向きに検討するということで理解願いたい」と答弁、まいさぽを所管する保健福祉部長は「長野県あんしん創造ネットの入居保証・生活支援事業に市営住宅も入れてもらえば、まいさぽ長野市としても紹介する物件が増えることから、ぜひとも早急に検討し、市営住宅も入れていきたい」と答弁しました。
私からは、保健福祉部、建設部で連携し、県社協としっかり協議して、生活困窮者の皆さんや身寄りのない高齢者の皆さんが連帯保証人がいなくても市営住宅に入居できるよう、制度の活用を進めるよう強く求めたところです。
検討状況をしっかりと追跡し、早期実現を図りたいと考えます。
➡長野市議会の「録画中継」サイトに質問がアップされていますので、ご覧ください。