長野市は19日、2019(H31)年度予算案を発表しました。
2月27日から始まる3月議会定例会に提案され、審議することになります。
1,505億円…「YOBOU(予防・呼ぼう)予算」と命名
2019年度一般会計予算案は、第五次長野市総合計画が目指す、幸せ実感都市「ながの」の実現に向け、人口減少・少子高齢化の加速、増大する社会保障関係経費への対応、市民の生命財産を守る防災対策、公共施設マネジメントなどの重要・困難な行政課題に対し、事が起きてからの対処療法ではなく、あらかじめ備え、対策を図る「YOBOU(予防・呼ぼう)」をテーマとしたとされます。民生費や教育費の増額で、前年度予算より5億5千万円増の1,505億円を計上したとします。
景気回復に伴う市税や地方消費税交付金の増収を見込みつつ、YOBOU事業に予算の重点配分を行い、社会保障関係経費や地域要望に応える土木事業費などをしっかり確保したと強調。
また、将来の世代に負担を先送りすることのないよう、公共施設等総合管理基金の積み増しを行った一方で、財政調整等基金からの繰り入れや市債の借り入れを最小限にとどめたほか、長野駅前立体駐車場の廃止をはじめ、49事業の事務事業の見直しによる財源の確保を図るなど、財政健全化にも努めたとされます。
そのほか、国のH30年度補正予算を活用し、小・中学校への空調設備整備や国民宿舎松代荘改修など、当初、H31年度に予定していた35億円の事業費の前倒しが図られています。
歳入予算においては、景気回復に伴う個人・法人市民税や新増築家屋分の固定資産税の増収などにより、市税全体では前年度対比13億8,100万円増の590億4千万円を見込み、国・県支出金は、積極的な確保に努め、前年度対比3億1,100万円余り増の296億9,600万円余りを見込んでいます。
財源不足を補うための財政調整等基金からの取り崩しは、前年度対比1億3千万円減の26億5千万円。
歳出予算においては、民生費では、障害者給付費や生活保護費など、前年度対比14億8,400万円余り増の551億2,400万円余りを計上。
土木費では、地域要望に応える道路・河川などの維持改良事業費を3億5,100万円余り増の13億8,300万円余り盛り込むなど、全体では前年度対比1億6,300万円余り増の187億200万円余りを計上。
そのほか、総務費、教育費、環境衛生費、商工観光費など歳出全般にわたり、事業のスクラップ・アンド・ビルドと「選択と集中」により財源を確保し、健康寿命延伸に向けた施策や子育て支援施策など、さまざまなYOBOU事業費を新たに盛り込んだとされています。
また、特別会計では10会計総額で759億3,700万円余り、企業会計では4会計総額で364億6,200万円余りを計上しています。
「市民総元気予算」から「YOBOU(予防・呼ぼう)予算」へ
振り返って2018(H30)年度予算案は、「市民総元気予算」と命名され、予算編成のキーワードとして、「予防」「呼ぼう」「輿望」の三つがあげられました。
「予防」は健康づくり「ベジライフ宣言」、「呼ぼう」は「カムバックtoながの」につながるキーワードで、「輿望」とは市民の声を聴く、いろいろな意見を聴くという意味で、行政だけでなく市民と共に、市民の声を聴きながら一緒に進めていくという意味あいを込めて、三つの「よぼう」にしたと説明されたものでした。
「輿望」は極めて分かりづらい言葉で、当時、いかがなものかと受け止めた一人ですが、その意味するところは、予算編成・執行にとって重要なテーマです。新年度予算案では、「予防」と「呼ぼう」のキーワードが継続された一方、「輿望」が消滅した背景が何なのか、気になるところです。市民と共に、市民の声を聴きながら一緒に進めていくことを軽んじるということではないと信じますが…。
一年前、「市民総元気予算」が掛け声倒れにならないことを指摘してきましたが、新しい命名となった「YOBOU(予防・呼ぼう)予算」が、人口減少・少子高齢化が加速する中で、厳しい財政状況が強調され、市民生活に「我慢」を強いることにならないよう厳しくチェックしていくことが重要です。
新規事業や拡大事業、新たな市民負担の問題などを吟味し、随時報告するとともに、3月議会の予算案審議に臨む所存です。