12月市議会定例会の代表質問で、公契約条例制定に向けた決意と自治基本条例の制定に向けた考えを改めて質しました。
公契約条例の早期制定を
公契約条例は、市の公共工事や委託事務の品質確保、ダンピング受注の排除、労働者への適正賃金の支払い等を担保しようとする条例です。
市長はこれまで、条例制定を求める私の質問に対し、「一定水準以上の賃金の支払いなどを義務付けるような条例は難しいが、公権力的な規制を規定せず、基本理念や市・事業者などの責務をより明確にするような条例は検討する必要がある。引き続き調査研究する」と答弁してきています。
昨年の市長選挙にあたり市長と連合長野・長野地域協議会との間で交わされた政策協定では「公契約条例の制定を目指す」ことで合意していることから、労働団体との政策協定の誠実な履行義務が問われるところであり、公契約条例の検討の進捗、制定に向けた決意を改めて問いました。
「条例制定している中核市における効果と課題を調査」
市長は、「今年度は、既に条例を制定している中核市における効果と課題について調査した」とし、「労働環境に関する受注者の意識が向上」「地域経済の活性化につながっている」といった効果がある一方、「条例の認知度が低い」「条例の実効性をどのように担保していくか」などの課題が指摘されているとしました。
「引き続き検討する」…本気度が問われる
公契約条例に基づき取り組まれている制定自治体の施策は、公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)の趣旨を踏まえたもので、本市においても、最低制限価格の引き上げや市内事業者への優先発注、総合評価落札方式など多様な入札・契約制度を運用している」としたうえで、「今後については、条例制定の中核市が1割程度と少ない状況もあるため、未制定の自治体の状況も含めてさらに調査を進め、条例を制定している自治体と本市の入札・契約制度を比較しながら、引き続き検討していきたい」と答弁するにとどまりました。
長野県建設労働組合連合会の昨年6月の賃金調査では、公共工事に従事すると回答した403人の平均賃金は13,403円となり、公共工事設計労務単価の63%にとどまっているとされます。
県では、H28年11月より建設工事における適正な労働賃金の支払を評価する取組の試行が行われています。県の取り組みなども参考に実態調査を進めることも必要でしょう。
市の検討は遅々たる歩みです。本気度が問われます。
住民自治協議会発足から10年…自治基本条例の制定を求める
区長会をはじめとする地区内各種団体を統合して発足させた住民自治協議会は、10年の歴史を刻み、着実に住民自治の代表組織として地区独自の色合いを保持しながら定着、発展してきています。
自治基本条例とは?
自治基本条例は、住民自治に基づいた住民主体の自治運営のための理念や原則、そしてそれを実現していくための仕組みや制度について定める条例であり、故に「自治体の憲法」あるいは「まちづくりのための基本ルール」等と称されている条例です。
自治基本条例は、市民が主役となってまちづくりに参画し、幸せをともに実感し享受することができる仕組みを構築しようとするものであって、住民自治協議会の自治活動によって培われてきた住民自治の仕組みを再構築し、より自律性を高めていくために不可欠な条例であると考えています。人口減少社会にあってまちづくりを再構築していくためにも必須でしょう。
「自治基本条例の制定によらず」との方針転換を質す
市はこれまで「自治基本条例の制定は、住民自治への市民意識の高まりを見極めながら検討していく」としてきていましたが、今年の3月議会では「市として統一した基準を示すことは、地区住民活動が定着し、地区として決定したことにかえって逆行することとなるおそれもあるため、自治基本条例の制定によるのではなく、自分たちの地域のことは自分たちでつくるべく、各住民自治協議会の自律性を尊重し、積極的にまちづくりに取り組めるよう支援していきたいと考える」と答弁し、事実上、条例制定の検討を打ち切るかのような姿勢を明確にしました。
自治基本条例の制定検討を打ち切るかのような方針転換は間違いであると強く指摘し、改めて条例制定への前向きな見解を問いました。
「自治基本条例の制定によらず」との答弁繰り返す
地域・市民生活部長は、「自治基本条例に制定によるものではなく、『自分たちの地域のことは自分たちで作る』べく、各住自協の主体性と自律性を尊重し、地区の特徴を活かしたまちづくりに積極的に取り組めるよう、今後も地区活動支援担当である支所長を中心に支援していく」との答弁を繰り返すにとどまりました。
総務委員会…「条例制定の検討をやめたものではない」と答弁
総務委員会で改めて、この問題を取り上げました。
私は、「住民自治に根差した住民自治協議会のまちづくり活動は大きな財産。住自協10年の節目を迎える中で、10年の取り組みを総括し、市と住自協の協働関係をより緊密で中身のあるものに再構築していくことが重要だ」と改めて指摘し自治基本条例制定に向けた検討をしっかり進めるよう求めました。
地域・市民生活部長は「条例制定の検討をやめたものではなく、住自協との協働の中身をより深めていくことを優先したいとするもの」と答弁、方針転換ではなく検討の優先順位を下げるものとの認識を示しました。
2年間開催されていない都市内分権審議会が再開されることから、自治基本条例の制定も視野に入れつつ、住自協との連携・協働をより深めていくために何が必要なのかといった問題意識をもって、しっかりと検討を進めるよう要望しました。
総務委員会の委員長報告では、自治基本条例の制定問題そのものには触れられていませんが、住自協への支援について「各地区に住民自治協議会が設立され、約10年が経過します。それぞれが独自の体制、 独自の運営を行っており、長野市にとって財産といえる住民主体の自治活動が進めら れています。一方で、役員のなり手不足など課題をかかえる地区も多いと聞きます。 次の10年を見据えて、市と住民自治協議会が更に深く、より良好な関係を築いていくことができるように、共通の課題を抱える地区同士が連携して解決策を検討したり、 取り組む仕事を効率化して減らしたりする支援を進めるよう要望いたしました」と盛り込まれました。