12月議会の代表質問より第6弾の報告です。
” 公共交通を軸としたまちづくり”の推進について質しました。
まずは、利便性ある公共交通ネットワークを形成する観点から、BRTの導入としなの鉄道への新駅設置を質しました。
南北交通軸にBRTを
9月市議会定例会のまちづくり対策特別委員会の委員長報告においてBRT導入の可否の検討を求めました。
市内の基幹交通軸である南北交通軸へのBRTの導入は、利便性ある交通ネットワークの基軸となるものと考えています。棚上げにすることなく、前向きな検討を望むところです。見解を質しました。
➡BRTはBus Rapid Transitの略で、国土交通省では2両のバスをつないだ連節バスとバス専用レーン、専用道路などを組み合わせた交通システムと位置づけています。連節バスの輸送人員が通常のバスより多いうえ、専用レーンを走れば渋滞に巻き込まれず、高速で時間通りに目的地へ到着できるもので、輸送力と高速性、定時性という3つの機能を兼ね備えているとされます。近隣都市では岐阜市や新潟市で導入されています。
都市整備部長は、「H25年に新交通システムの導入可能性を調査し、公共交通ビジョンや地域公共交通網形成計画に新交通システム導入を検討することとしている。LRTに比べ費用対効果の高いBRTを現実的な選択肢と受け止め検討を進める」としたうえで「BRTに求められる機能と導入する目的や必要性を明確にするため、南北交通軸をも念頭に置き、将来の需要予測や実現可能なBRTの姿はどのようなものかについて検討を進めたい」と答弁しました。
しなの鉄道北しなの線の新駅設置は棚上げ
交通ネットワークの形成の観点から、市が発案してきた鉄道の新駅設置、しなの鉄道北しなの線における北長野駅、三才駅間の新駅設置の検討はどのようになっているのかを質しました。
新駅設置については、本市東部地域の交通ネットワークの充実が図られるという大きな利点を踏まえ、関係機関との協議や必要な調査を進めてきたが、H26年10月に北長野駅~三才駅間の沿線住民を対象にした需要予測調査では、新駅1日の推計乗車人数1160人が既存駅からの転換、他の公共交通機関からの転換と予測され、(新規利用者がなく、既存の)公共交通機関への影響が大きい結果となったこと、周辺道路整備の必要があること、生活環境等への影響なども課題となっている」とし、「北部幹線や高田若槻線といった道路の開通が予定され、将来的に人や車の流れが大きく変わることが予想される」ことから、「今後の交通環境の変化を見極めたうえで、改めて新駅設置について検討する」とし、事実上、棚上げしている現状を示しました。
なお、この方針については、「地元の期成同盟会を通じ全戸回覧し、地元では一定の理解を得ている」とされました。
その上で、「開業3年を迎えた北しなの線の活性化・維持存続のため利用促進に努めるとともに、北長野駅・三才駅のバリアフリー化などの利便性向上に向けた整備に取り組む」としました。
北部幹線の延長に伴い、しなの鉄道の線路と交差する地点での新駅が優先的に検討されていたものです。需要予測調査で、路線バスや既存駅の利用者の乗り換えとなるだけで、新規の利用者がなかなか見込めないとする結果は、残念ですが如何ともしがたいというところでしょうか。意見をください。
松本市に先を越されたノーマイカーデー
松本市で11月21日、平日ノーマイカーデーが実施されました。バス専用レーンの設置、臨時のパークアンドバスライド駐車場の設置、朝・夕の通勤・通学時間帯での路線バスの増便をパッケージにした取り組みです。
私は、この間、公共交通ビジョン及び地域公共交通網形成計画に盛り込まれた「公共交通の日」の設定や「もう2回バス乗車運動」、大型店舗駐車場を活用したパークアンドバスライドなどの具体化と合わせ、県の「県下一斉ノーマイカー通勤ウィーク」を市独自に拡充し、新たなノー マイカー通勤運動及び自動車利用規制を早期に具体化することを提案し続けてきただけに、「先を越された感」を強く抱くところです。
長野市版ノーマイカー通勤運動の早期具現化を
松本市の取り組み事例などを参考に、長野市版ノーマイカー通勤運動を早期に具現化することを改めて求めました。
都市整備部長は「来年4月から運用開始を予定するバスロケーションシステムの導入をきっかけとして、マイカー通勤から環境負荷の少ない電車やバス、自転車、徒歩などへ自主的に転換するエコ通勤運動の普及促進に取り組む」、「エコ通勤優良事業所認証制度をツールとして活用し、全市的に認証事業所を増やすことで、公共交通の利用促進につなげたい」と答弁、ようやく形が見えてきました。
また、「マイカー通勤を抑制することで、渋滞緩和にも効果が見込め、ひいてはBRTの導入に向けた環境整備にもつながってくることを視野に入れている」ともしました。
通勤者をターゲットにした「ノーマイカー・エコ通勤運動」の再構築には期待したいところです。
➡エコ通勤優良事業所認証制度とは、例えば、従業員への公共交通の情報提供、徒歩・自転車通勤の奨励、ノーマイカーデーの導入、時差出勤制度など、従業員の通勤手段をマイカーから鉄道・バス・自転車・徒歩などへの転換を促す取り組みを実施している事業所を対象に、公共交通利用推進等マネジメント協議会(事務局=国土交通省、交通エコロジー・モビリティ財団)が認証・登録し、国民に広く紹介する制度。
➡【参考】国土交通省「エコ通勤ポータルサイト」
しかしながら、エコ通勤優良事業所認証制度のメリットは、エコ通勤優良事業所としてのロゴマークが使用できることなどで、企業の姿勢をアピールするものとはなりますが、ノーマイカー通勤への転換の効果は限定的なものになるのではないかと懸念します。認証制度の活用には市として経費がかからないという財政的事情は分からないでもないですが、もう少し、企業側、そして市民である従業員にとってインセンティブとなる政策誘導が必要であると考えます。
引き続き、取り組みの具体をチェックしていきたいと考えます。
ノーマイカー運動を推進する市民組織の立ち上げを
また、市内事業者及び市民が参画するノーマイカー運動推進の市民組織の立ち上げを提案しました。市民理解を広げるとともに、公共交通への利用転換を確実にするプラットフォームとして役割を担う市民組織です。
都市整備部長は、「エコ通勤運動の推進体制は、公共交通活性化再生協議会に(仮称)エコ通勤推進部会を設置することを検討している。この部会に市内の経済団体や学識経験者に参加してもらい、市内企業への具体的な働きかけを検討したい」との考え方を示し、市民組織については、「エコ通勤運動には企業側の協力が不可欠であることから、まずは市内企業に対しエコ通勤への取り組みを働きかけ、公共交通で通勤しやすい環境づくりから進めることとし、これを発展させて市民組織へと育てていくことを視野に入れたい」と答弁しました。
まずは企業の協力体制を作るという問題意識は理解します。
バスロケーションシステムの導入をきっかけに、利便性の高い公共交通ネットワークを再構築していくことと合わせ、「乗って残す公共交通」「くらしを支える公共交通」を掛け声に、渋滞解消、環境負荷の低減、健康増進策とも連動した「ノーマイカー・エコ通勤運動」になるよう、他市の取り組みもさらに勉強し提案を続けたいと考えます。