代表質問で取り上げた「LGBT、セクシュアルマイノリティの権利確立に向けた取り組みについて」の続報です。
12日に開かれた市議会総務委員会で、セクシュアルマイノリティに関する市民意識調査の結果が報告されました。
市民意識調査…LGBTの割合「8.6%」
今日12月11日の市議会総務委員会で、セクシュアルマイノリティに関する市民意識調査の結果が報告されました。
「男女共同参画に関する市民意識と実態調査」に合わせ、20歳以上75歳未満の市民を対象に無作為抽出した男女各1000人(計2000人)に郵送方式で行った調査で、回収数は766人、回収率は38.3%だったそうです。
回収数が少ないことから、統計として意味があるかは別にして、市民意識の傾向として捉えたいものです。
ポイントをまとめると…
➊「性的少数者」または「LGBT」という言葉を知っている市民の割合は約8割。
➋あなたの周りに性的少数者の方がいるかとの設問には「8.6%」が「いる」と回答。
➌「それは誰か」との設問で、「知人」「友人」が約9割。
➍回答者の内、3人が当事者と応え、カミングアウトや相談をしたことがあるのは2人で、ともに相談先は「家族」。
➎性的少数者に関する考えやイメージでは、「性の多様性として認めるべき」「理解に努めようと思う」が上位を占めているの対し、「個人の趣味・趣向の問題」「身近な問題ではない」「理解できない「関わりたくない」という否定的な回答も一定数あります。
➏性的少数者の人権を守るために必要なことの設問では、「教育や啓発」が最上位となっており、そのうち「子どものころから必要」という意見も多く示されました。また「相談や支援体制の充実」「社会制度や環境の整備」も必要とする意見が多く示されました。
注目すべき点は、「あなたの周りに性的少数者の方がいるか」との設問に、「いる」が8.6%、「わからない」が43.9%、「いない」が47.1%となっている点です。
電通ダイバーシティ・ラボの調査では「7.6%」、連合の調査では「8.0%」という結果で、LGBTの方の割合として一般的に使われている数字がありますが、長野市民を対象とした調査でも同じ傾向となっています。
なお、このアンケートで、性的少数者に関する考えやイメージを問う設問で、「治療すれば治る病気」といったLGBT当事者の尊厳を傷つける選択肢が設定されていることに対し、「間違った認識」を助長させる恐れがあり、実態と傾向を知るためとはいえ、より慎重な配慮を求めました。
市が独自にセクシュアルマイノリティに関する意識調査を実施したことの意義は評価したいと思います。
「人権意識を誰に対しても持つことが大切」「理解が広がりもっとカミングアウトできる社会であればよい」といった性の多様性を受容する肯定的な意見がある一方、「認めたい気持ちはあるが戸惑いや不安がある」「身近で存在したら戸惑い、受け入れるのに時間がかかるかもしれない」といった戸惑いの心情を率直に表明される意見があります。
また、「個人の趣味、趣向の問題」と考える傾向も顕著で、「セクシュアルマイノリティ自体を直すことはできないのか」との意見もあります。
いずれにせよ、意識調査を踏まえ、性の多様性を認め尊重する観点から正しい理解が広がる啓発の重要性を改めて指摘しました。
「性同一性障害」の表現を「性自認」に改めるよう提案
この総務委員会で、長野市が『人権施策推進基本方針』において、『性的指向及び性同一性障害』を様々な人権に関する問題の一つとして取り上げていることに対し、「性同一性障害」という表現は医療的ケア―の必要な場合の診断名であり、トランスジェンダーと同義語ではないことから、「性自認」と表現を改めるよう提案しました。
市側は、提案を受け止める姿勢を示したものの、「基本方針」の表現は方針の改定作業において整理したいとしたことから、市民に啓発する場合は「多様な性的指向、性自認を認め尊重する」といった具合で即対応することを重ねて求めました。