市民要望、市民感覚とズレはないのか!?【12月議会の質問より➋】

代表質問で最初に取り上げた課題は、「市長の市政運営の基本姿勢について」です。

まちづくりアンケートから伺える市民が求める施策優先度に応えているのか、さらに、この国の形・あり方について、市長の考えを質しました。

かなり長いまとめになりますが、興味のある目次で拾い読みいただければ幸いです。

市民の施策優先度に応えられているのか

改革ネットの予算要望の受け止めと予算案への反映は?

新年度予算編成に向けて、改革ネットでは11月2日に市長に対し予算要望を行いました。その受け止めと新年度予算案への反映について質問しました。

市長は、「人口減少・少子高齢化社会を見据え、喫緊の課題について様々な視点から課題解決に結びつけるための提案をいただいたものと受け止める」とし、「医療・介護の充実、子育て支援、公共施設マネジメントの推進などの重要性は強く共感するところであり、新年度、重点的に取り組む『YOBOU事業』を大きなテーマとし、できる限り予算に反映していく」と答弁しました。

まちづくりアンケートから読み取る施策優先度

市民の皆さんが長野市政に求める施策実現の優先度を推し量るものとして、市が毎年実施する「まちづくりアンケート」があります。

H29年度のまちづくりアンケートでは「住みよい長野市をつくるために、特に力を入れるべきと思う施策は何か」の設問に対し、「バス・鉄道など利用しやすい公共交通の構築」が33.6%で1位に。次いで、「介護などの高齢者福祉サービスの充実」32.4%「結婚、妊娠、出産、育児への継続的支援」26.2%「子供が安心して学べる支援体制の充実」21.2%「市民ニーズを踏まえた行政サービスの提供」18.3%と続きました。

すなわち、公共交通を軸としたまちづくり、高齢者に温かいまちづくり、子育ち・子育てを大切にし応援するまちづくり、市民が主役となるまちづくりの推進です。

市民感覚とズレがないのか

このアンケート結果を、市民の皆さんの行政施策に対する不満或いは不安の裏返しとして真摯に受け止め、市民の施策優先度にマッチしたメリハリの利いた施策展開こそが市政への信頼度を高め、幸せを実感できるまちづくりの支えとなると考えています。

市民の皆さんからは、加藤市政に対して、「イベントや祭りなど賑わいづくりには熱心だが、市民の厳しい暮らし向きにもっと目を向け応えてもらいたい」との声が聞こえてきます。

第五次総合計画の具体化及び新年度予算編成において、市民の求める施策展開、市民感覚とズレがないのか検証し、市民の求める施策優先度にメリハリをもって応えるべきと質しました。

市長は、「アンケート結果は注目している」としたうえで、新年度予算編成に向け、「介護などの高齢者福祉サービスの充実では、加齢に伴う身体機能の低下や健康障害を防ぐ『フレイル予防』に向けた取り組み」や「結婚・妊娠・出産・育児への継続的支援と子どもが安心して学べる支援体制の充実では、児童虐待防止や小中学校クール化事業など子どもたちの安全を守る取り組み」が各部局から提案され、「アンケート結果を全庁的に共有し、各部局の予算編成に活かすとともに、年明けの予算の市長査定では、アンケート結果を念頭において査定を行い、新年度に予算に市民の声を反映していく」と答弁ました。

遠回しに「市民感覚とのズレはない」とする答弁です。

この問題については再質問ができませんでした。

アンケート結果に基づき、公共交通を軸としたまちづくり、健康寿命延伸・高齢者に温かいまちづくり、子育ち・子育てを大切にし応援するまちづくり、市民が主役となるまちづくりの推進にどれだけ重点的に予算が配分されるのか、3月市議会定例会に提案される新年度予算案に注目したいと考えます。

平和と暮らしを守る市民世論にいかに応えるのか

9条改憲反対は市民世論…憲法9条を守り抜く意思を問う

安倍首相が執念を燃やす憲法「改正」、9条改憲に対する市長の見解を質しました。私はいうまでもなく、改憲反対論者の一人です。

安倍首相が主導する改憲案は、自衛隊を憲法に書き込む加憲案です。戦争放棄を定める憲法9条1項、戦力不保持、交戦権の否認を定める2項はそのままにして「9条の2」を新設し、自衛隊の存在を書き込むという案です。
書き込まれる自衛隊は、憲法が禁ずる集団的自衛権を行使でき、「専守防衛」「必要最小限度の実力」の域を超えた自衛隊に変質しています。世論調査では、反対が賛成を上回る世論が大勢です。

立憲主義に立ち、かつ、憲法を尊重し擁護する義務を負う市長として、憲法9条は守るべきであるとのメッセージを市民に発信するよう求めました。

市長は「将来の日本の平和を見据え、安全保障に支障がないよう議論が進められるべき」とし「(9条の)ほかの条項なども含め、国民の幅広く慎重な議論も経たうえで、改憲の必要があると判断されたときは、適正な手続きを経るものと考える」と答弁。

他人事的な答弁ですが、首長としての憲法尊重擁護義務への言及はありませんでした。

基本的に保守層をよって立つ基盤とする市長としては、隠された本音があるものと思います。真正面から論陣を張ってもらいたいものです。

オスプレイの飛行訓練中止を求める

米軍のオスプレイは安全飛行が制御されない欠陥機です。米軍横田基地に配備されたCV-22オスプレイは、長野市上空を含むエリアを訓練空域とし、傍若無人な低空飛行訓練がいつ強行されるのか、予断を許さない状況にあります。

騒音、墜落の危険に不安が広がる中、市民の生命、財産を守り抜くため、オスプレイの飛行訓練の中止をより主体的に国及び米軍に働きかけるべきと質しました。

市長は、「この問題は県全体で取り組むべきものであり、県を通して情報の入手等に努めるとともに、目撃情報の収集に協力する体制をとっていく」と県頼みの姿勢を示すにとどまりました。

また、オスプレイの配備、米軍機の訓練等については「国が基本的に責任をもって対応すべき課題であり、今後も、市民の生命及び財産など安全への影響が懸念される場合は、県や県市長会と連携し、国に対してしっかりと要請していく」としました。

米軍横田基地にオスプレイが配備され、明日にも訓練が強行されるかもしれない情況においては、既に市民の安全への影響が懸念される重大な局面です。

国の安全保障に鑑み、米軍機の訓練はやむを得ないものと考えているのでしょうか。

それにしても、せめて、「市民の間に広がる切実な不安に応えるため、長野市長としても、機体の安全性の確認及び訓練事前の情報提供等、国に対ししっかりと求めていく」との答弁が求められるところでしょう。

消費税率10%への引き上げ凍結を求める

アベノミクスの効果が実感できない地方経済の現況から考えれば、消費税率の引き上げは、個人消費、内需拡大の決定的な低迷を生み出し、経済的混乱を引き起こすことになります。

税率引き上げに伴い、増税分の痛みを和らげようと還元策に躍起になるくらいであれば、引き上げそのものを見送るべきです。逆進性の強い税であることにしっかりと着目し、税率引き上げを凍結するよう国に働きかけるとともに、市民の暮らしに安心メッセージを発信することこそが必要であると質しました。

市長は、「消費税は逆進性の強い税ともいわれているが、今回の引き上げ分は社会保障費に充てられることから、この税の負担によって平等にサービスが提供されるものと考える」との認識を示すともに、「『社会保障・税一体改革』の実現に向け、10%への税率引き上げを確実に行うよう求めている全国市長化と連携していく」と、税率引き上げを容認する姿勢を改めて示した格好です。

消費税増税分が社会保障費に充てられる保障は全くありません。これまでも消費税の税収分が、法人税や所得税の減税分の穴埋め財源になってきた経過を見れば明らかです。税収が増えていないのですから、社会保障に特化した活用は「絵空事」に近いことに気付くべきでしょう。

市民が主役で、幸せ実感できるまちづくりへ

初めての代表質問

代表質問は初めてです。
代表質問は質問時間が40分間とたっぷりありますが、一括質問・一括答弁のため、質問と答弁に「間」があり、全体的にはわかりにくさが残ります。

実は再質問の時間を10分くらい想定してたのですが、原稿をいささかゆっくり読んだせいか、残り時間は5分程度しかなく、十分な再質問ができませんでした。

私は、加藤市長の市政運営や国の政策課題への対応には、市民感覚とのズレがあると考えています。

この程、第五次総合計画の進捗管理にかかるアンケート指標の実績値が、幸せ実感モニターの意見も含めてまとめられ、このアンケート結果からうかがえる今日的課題も併せて質問しました。ここでは報告を割愛しますが、関連して再質問で取り上げようと考えていた問題意識だけ、紹介しておきます。

依然として高い「安定した雇用の確保」の声にどう応えるのか

例えば、H28年度までのまちづくりアンケートの施策優先度では、8年連続で「安定した雇用の確保」がトップでした。H29年度のアンケートでは、設問が変わったため、施策優先度の上位ではなくなっていますが、総合計画のアンケートの「環境や体制に関する評価」では「仕事を見つけやすい環境が整っている」がワースト3位で評価が低いことに、依然として「雇用問題」は喫緊の課題となってていることが伺えます。

総合計画にかかる環境や体制に関する評価の「下位5位」は、「新たな雇用が生まれている」「仕事を見つけやすい環境が整っている」「不安やストレスを感じた時に相談できる体制が整っている」「市民の声が市政に反映されている」などです。

市では、「全部局において気軽に相談できる体制づくりや、市民の声の反映状況を分かりやすく伝達していく配慮が必要」としています。

配慮が足らないという問題ではないだろうと考えます。相談体制の再構築や施策優先順位の見直しが必要ということであり、そのために特化した施策展開が問われるということでもあろうと考えます。

公共交通のまちづくり、モビリティマネジメントの推進が喫緊の課題

また、市民の実践状況では、否定的な最下位が「公共交通を自らの暮らしや地域を維持するために必要なものであると理解し支えていこうと心掛けている」でH29年度に比べ▲7.5ポイント。モニターの意見等と合わせて考えると、モビリティマネジメントの施策展開と公共交通の利便性を高めることが求められるところです。

こうした問題にしっかりと応えてこそ、市民の施策優先度の声を活かす市政運営につながるものと考えます。

市議会で議決した国への意見書も重く受け止め、対応を求めたい

さらに、憲法論議に関し、市議会としてH28年12月議会で「慎重な憲法論議を求める意見書」を可決し、憲法審査会における慎重な憲法論議と拙速な憲法改正発議を行わないことを国会に求めてきています。また、過半の9月議会では「全国知事会の「米軍基地負担に関する提言」の実現を求める意見書」を可決し、米軍機による低空飛行訓練における事前情報提供や日米地位協定の抜本的見直し等を国に求めました。

市長としても市議会の意思を重く受け止め対応してもらいたいものです。

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