9月市議会定例会、個人質問の2日目となった13日、質問に立ちました。
取り急ぎ、「こんな質問をしました」ということで質問内容を掲載します。
市側の答弁は「期待する内容」に至らないテーマもありますが、今後、それぞれの質問の答弁を含め、まとめて報告します。
質問時間20分ですが、毎度のことながら、再質問補することで、時間が足らなくなり、はしょった質問になった部分もあります。
長いですが、報告です。
市立公民館のコミュニティセンター化、交流センターの設置について
(1)この議会に、直営の柳原、小田切公民館、指定管理の長沼、篠ノ井公民館、計4つの公民館についてモデル的に社会教育法の適用を除外し、地方自治法に基づく公共施設、市立交流センターとして運営を抜本的に見直す条例案が提案されている。モデル事業期間は指定管理期間の3年間とするとされる。
私は3月議会において、市立公民館が戦後長きにわたり、社会教育、生涯教育に果たしてきた役割をしっかり評価・検証したうえで慎重に進めるべきと指摘したうえで、地域づくりにつながる物販や放課後の子どもの学習の場を求める地域住民の意向等も踏まえ、学びを通したまちづくりの拠点としての役割を重視した施設の在り方・運営の転換は時代が求める新たな役割であるとの認識も示してきた。
その上で、いわゆるコミセン化による「営利目的事業」の制限緩和について、営利目的を含む民間開放により、地域の団体利用が弾き飛ばされてしまい、地域コミュニティの拠点としての機能が損なわれてしまうことが極めて危惧されることから、住自協や地域の団体のまちづくりに資する営利活動への利用開放は「是」とするが、原則的に民間事業者による営利目的事業の利用を明確に制限すべきと質してきた。
教育次長は、「条例・規則において施設利用の目的を明確に示すとともに、地域づくり、市民福祉の向上、生涯学習の推進を最優先とし、営利活動のための施設利用や販売行為などについて制限を設けていく」「併せて、運営審議会や運営委員会を引き続き設置し、住民本位の運営を原則とする」と答弁してきた。
(2)こうした答弁を踏まえ、提案されている「長野市交流センターの設置及び管理に関する条例」について、2点質問する。
一つは、条例案第10条「利用の制限」について。
交流センターは地方自治法を根拠法とすることから、公共施設一般の禁止事項、いわゆる「公序良俗に反しないこと」「施設の破壊・滅失行為を行わないこと」の2つがポイントとなる。
教育次長は「条例・規則において…営利活動のための施設利用や販売行為などについて制限を設けていく」と答弁してきているが、条例案には反映されていない。
作成中とされる「運営施行規則」の中で「販売行為等の禁止」の項目を設け「何人も、市長の許可がなければセンターの建物および敷地内において、売店その他の設備を設け、または販売してはならない」と規定する考えを示しているが、これは販売行為の制限であって、民間事業者のセンター利用の制限ではない。
私は、条例に地域のまちづくり等に貢献する民間事業者の利用を除き、原則、民間事業者の利用に供さないことを明文化すべきであると考える。
理由は、答弁の一貫性ということもさることながら、時間制利用となるセンターでは、民間事業者への貸し出しは通常料金180円の3倍、540円に設定され、一般的な民間施設の貸館料金に比べ格安となっていることから、研修会等をはじめ民間のセンター利用に拍車がかかり、結果として地域住民の利用が制限される事態に拍車がかかることが十分に予想されるからである。通常の貸館は民間に委ね、公共施設であるセンター利用は地域住民に開かれた施設、地域のまちづくりに資する施設として一貫させることが重要であると考えるからである。
コミセン化にあたり、長野モデルとなるような施設の在り方を追求すべき。
二つは、市立公民館で実施されている「成人学校」について。条例案では、第13条で「教養講座」として、成人学校と区別している点である。「教養講座」は「成人学校」と全く同一のものであり、センター化に伴い、異なる呼称は、市民、受講者の間に混乱を引き起こす何物でもない。
成人学校は改めて言うまでもなく、市民の生涯にわたる学習意欲の受け皿として、日々の暮らしに活力と潤いを保持する「大人のための学習講座」で、歴史と伝統を持っているもの。単なる呼称で片づける性格の問題ではない。
法令規上の整合性にとらわれ、同一の事業を使い分けることは、行政側の判断、都合でしかなく、受講者ファースト、市民ファーストではない。
同一呼称として条例上位置づけることを強く求めたい。見解を伺う。
消費者行政及び消費者教育の推進について
(1)消費者を取り巻く環境はインターネットの普及等により高度化・グローバル化し、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)における「持続可能な生産消費形態の確保」に資する消費生活、消費者教育が問われる時代となっている。
2012年に制定・施行された消費者教育推進法では「消費者市民社会の構築・形成」を明確に位置付けた。「消費者が大量生産・大量消費・大量廃棄の経済の波に流されて漂流する存在から、持続可能な社会・経済の実現に向けたかじ取り役になること」を目標に、地方公共団体において消費者の自立を助ける消費者教育の総合的・一体的な政策・施策展開を求めている。
本市では、H29年度から5年計画の消費者施策推進計画に基づき、「消費者被害防止見守りネットワーク」をこの4月から立ち上げるとともに、連携中枢都市圏連携事業による「消費生活センターの広域的対応」も始まっている。また、消費生活センターにおいても複雑・多様化する消費者被害の解決と防止に向けた取り組みの充実が図られている。特に相談における「あっせん」件数が倍増し消費者に寄り添った相談事業が展開されていることは大いに評価したい。
そのうえで、消費生活センターを拠点とした市民を消費者被害から守る相談事業のさらなる拡充とともに、消費者市民社会の構築を目指し、消費者教育の総合的・一体的な展開へと進化させていくことが問われていると考える。
(2)そこで、まず市長に質問する。
消費者教育推進法に基づく「消費者市民社会」の構築に向けた取り組みは、問題意識を共有し全庁的に総合的・一体的に十分に取り組まれているのか。何が課題なのか。また、長野市版の計画においても「消費者施策推進計画・消費者教育推進計画」に改め明確に消費者教育を打ち出すことも含めて、市長の見解を問う。
(3)それでは、消費者施策の具体について質問する。
一つは、特殊詐欺被害の認知件数の半減や通信販売に関する被害認知件数の半減、高齢者見守りネットワークの構築など5つの重点目標を設定した「消費者施策推進計画」のH29年度・初年度の実績と評価について。
二つは、「消費者被害防止見守りネットワーク」の立ち上げから5カ月、どのような効果を上げているのか、有効性を示す事例を含めて。
三つは、相談業務の広域連携における近隣の高山村・信濃町・小川村・飯綱町からの相談状況と解決状況、効果について。
四つは、相談業務の広域化、さらに消費者教育の推進という視点から、中核施設である消費生活センターの人的拡充が必要であると考える。消費者庁の消費生活行政推進強化交付金(旧・活性化基金)をより積極的に活用し、相談員の処遇改善、国民生活センター主催のより専門的研修となる研修機会の保証、人員の拡大、消費者教育の教材の確保と活用を図ることを提案するが、所見を問う。
(4)市の消費者施策推進計画が、消費者教育推進法に基づき策定されたものであることを踏まえ、消費者教育の先進市を目指す観点から「消費者教育の充実」について質問する。
消費者教育は学校教育はもちろんのこと、環境教育、食育、賢い消費者の育成、出前講座の実施など多岐の分野にまたがる。問題は各担当課の取り組みが「消費者市民社会の構築」という共通の目標に向かっているのか、消費生活センターが消費者教育のセンター的な役割をも担いうるように拡充していくことが重要であろう。
1点目。消費者施策推進計画の初年度の事業評価では、各課の取り組みを並べ施策展開が進んでいるとしている。「学校における教育の充実」では、小学校家庭科、中学校社会科・技術家庭科、高校では公民科と家庭科で学習指導要領に基づき学習が行われているとされているが、このほど示された「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価報告書」の中では、「消費者教育」の観点からの点検・評価の記載はない。学校教育における消費者教育の重要性の認識が希薄であることの現れではないか。見解を伺う。
*中学校家庭科教員の国民生活センターの専門研修会への参加など
2点目。県内他市では、消費生活センターの職員・相談員がモデル事業として保育園、小・中・高に出向き、成長段階に応じた実践的かつ社会的な消費者教育に取り組まれている。職員・相談員の負担は大きいものと思われるが、具体的な消費トラブルの解決や環境教育・食育と連動した実践的な講座となっていることから、こうした取り組みも参考にしながら学校教育現場での消費者教育の展開を考えてもらいたいと考えるが如何か。
*消費生活センターの消費者教育の中軸的な役割を担うセクションへの進化
3点目。成人年齢の引き下げに伴う消費者教育の充実も問われている。特に高校生への対応が急務である。例えば、徳島県では、消費者庁が作成した「社会への扉」という教材を全県立高校で実施し成果を上げていると聞く。市立長野高校における対応はいかがか。
サウンディング型市場調査の効果と課題について
(1)本市では、小中学校へのエアコン整備を進めるクール化プロジェクトを皮切りに、「(仮称)山の駅・飯綱高原」の整備や市立南部図書館の整備方針の策定にあたり、サウンディング型市場調査を矢継ぎ早に取り入れている。
公民連携の一つの手法として、民間との対話により民間のアイデアを募り、採算性があり効率的な事業手法を見出すツールであるサウンディング調査が有効に作用することを期待している一人である。
(2)例えば、視察した盛岡市では、公民連携事業やサウンディング調査をコンサルタントに委託し、コンサルの知恵も借りつつ事業計画の策定に取り組んでいる。特に、民間事業者が扱う金融関係の専門用語に関する行政側の知識不足が対話の支障になることがあったことを踏まえて、行政と民間の双方の専門的知識をもつコンサルが入ることで、より正確かつ円滑に対話を実施することが可能になると強調する。
長野市では、コンサルを使わず、市独自にサウンディング調査を行っている。長野市には民間のノウハウにも秀でた優秀な職員がいるということなのだろうが、いささか不安を感じるところでもある。
コスト削減が主たる目的であるクール化プロジェクトの場合においても、ソフト的な取り組みの評価、そしてハードとソフトと連動連結する施策展開のまとめは第三者的な評価が必要なのではないかと考えるところである。
そういう観点から、クール化プロジェクトにおけるサウンディング調査の効果と課題について見解を伺う。
(2)サウンディング調査を取り入れる盛岡市には、公共施設マネジメント策定時から公民連携の取り組みの蓄積がある。H28年度には内閣府の地域プラットフォーム形成支援の採択・実施を経て、H29年度には、民間にとっての新たな事業機会の創出をはかることなどを目的に、市が主体となって地域企業や金融機関が参画する「もりおかPPPプラットフォーム」を設置。また、今年度では民間提案制度を始めている。
公民連携を進めるには、地元の企業、金融機関との連携の蓄積が重要であり、安定した信頼関係とともにウィンウィンの関係がシステムとして構築されていくことが重要であろう。
サウンディング調査を多用するにあたり、公民連携を確かなものにし、民間との共存共栄が図られるよう、長野市版のPPPプラットフォームの構築を見据えるべきと考えるが、見解を伺う。
合わせて、サウンディング調査を踏まえ事業計画を策定し、事業発注することになるが、地元企業の参画がしっかり担保されることが重要である。地元企業の参画の担保についての見解を伺う。
「減災の手引き」から「命を守る避難マニュアル」の策定へ
(1)7月、改革ネットで、東日本大震災から7年目を迎えた陸前高田市を訪問し、同市がまとめた「東日本大震災検証報告書」から災害の教訓を学んできた。「5つの教訓と反省」の紹介は割愛するが、大震災以前の訓練が実効性ある訓練でなかったとの反省から、言い伝えやハザードマップ等を過信せず、命を守るための的確な避難行動=率先避難~二度逃げ避難を確実に促すため、「避難マニュアル」を作成し直し、周知を図っている。
また、9月4日に催された安茂里地区の未来トークは、防災をテーマに、豪雨災害を想定したDIG訓練(災害図上訓練)を組み込んだワークショップ形式で行われた。90人の参加者の内、3分の1の皆さんがDIG訓練初体験で、自分の住んでいる地域の危険度を再発見・再認識するとともに、いざ災害時に身の安全を守り合うための知恵を出し合う良い機会になったものと受け止めている。
そこで3点質問する。
一点目は、「命を守る避難マニュアル」の作成と市民への周知である。本市では、各種ハザードマップや「減災の手引き」を作成、また、「防災・防犯タウンページ(地震災害編・土砂災害編)」が配布され、活用が期待されるところである。
一方、長野市では、災害の種別に応じ指定避難所の使い分けをする考えだが、市民への周知は十分ではない。
そこで、市内各地を土砂災害が懸念される中山間地域、洪水被害が想定される千曲川・犀川・浅川流域、土砂災害と洪水被害が重複する地域に3区分し、地域性に応じ、かつ、行政が発令する避難情報段階に応じた避難行動に特化したタイムライン的な「マニュアル」を作成し市民に周知することを提案したい。見解を伺う。
併せて、長野市人口の1%を占める3718人の外国人への対応について伺う。
二点目は、災害時要援護者の支援行動、個別プログラム作成の促進である。陸前高田市ですら「要援護者支援」は「公的な役割を持つ人の安全の確保」の教訓と表裏にあり「なかなか難しい」としている課題である。
西日本豪雨災害では、倉敷市真備町の死者51人の内、約8割に当たる42人が、障がい者や高齢者で自力で避難することが困難な「要支援者」だった。要援護者名簿が活用できない厳しい現実が浮き彫りになっている。
課題解決に向けた今後の取り組み、考え方を伺う。
三点目は要望を含めた質問。既に、防災無線の放送内容が聞き取れない場合に備え、NTT回線を利用したフリーダイヤルが6回線設定されている。しかし、このサービスを知る市民は少ない。先に提案した「避難マニュアル」の作成とともに周知を図ること、また、広報への毎回掲載を提案し、周知の徹底を図りたい。
併せて、自主防災会の訓練におけるDIG訓練等の積極的な導入も要望する。それぞれ見解を伺う。
以 上