24日、屋代線沿線3市議会の議員有志でつくる「屋代線を考える議員連盟」の総会を開き、今年3月末で廃止される長野電鉄屋代線の後利用案のひとつとして急浮上しているLRT=次世代型路面電車の導入について、国土交通省から都市局の技術審議官や鉄道局の企画官らを招き、勉強会を開きました。
若穂支所で開いた勉強会には約100人が参加、沿線3市の議員を中心に、地元沿線住民にも大勢参加してもらいました。
国交省からは、海外事例を始め、国内における富山市ライトレールの取り組み等を紹介しながら、バリアフリー・低床式で乗り降りが楽なこと、排気ガスがなく環境に優しいこと、建設コストは地下鉄の10分の1以下、約15億円~25億円と安いこと、道路渋滞の緩和につながることなど、路面電車・LRTのメリットが再評価され、国として整備支援のスキームを準備していることなどが報告されました。
都市再生・まちづくりと一体で「衣・食・住・交(交通)」の総合的な交通・まちづくり戦略が時代の要請だと強調した点が印象的でした。
国土交通省としては、LRT整備のモデルをさらに拡大したい意向を強く抱いているようですが、新たにLRTを導入しようとすると、「軌道事業の特許にかかる審査基準」(軌道法第3条)をクリアしなければならず、交通体系全体における適切性、事業の安定性・継続性・採算性などが結構厳しいハードルとして横たわっているのが現実のようです。
全国では、19社の軌道事業者が路面電車やLRTを運営しています。新たにLRTの導入を検討している自治体や事業者が存在するのですが、事業化には至っていないようです。
屋代線のLRTの導入問題は、長野電鉄長野線(長野~湯田中)、しなの鉄道、長野以北の並行在来線を含め、広域的な視点を持ちつつ、地域住民の移動の自由度を高めるためには何が必要なのか、路線バスやコミュニティバス、デマンドバス、そしてタクシー等を含めた、総合的な公共交通ネットワークの観点からしっかり考えていくことが重要だと思います。
しかし、廃止される3月末が迫り、4月からの代替バスの運行計画が最終的にまとまりつつある今日、3月までに何を確保するのか、確保できるのか、その見通しが立っていないことが最大の難問です。長野電鉄に対し、「廃止」ではなく「休止」に方向転換させることはできないのか。多角的・多面的に検討したいとは思うのですが…。
議会の中においては、「LRT導入で屋代線跡地及び鉄路の活用の検討を求める請願」を全会一致で採択したものの、屋代線を含めたLRTの導入検討と長野市街地へのLRT導入検討といった異なるベクトルが交差していることも事実です。さらにはコストの問題が根っこに横たわります。全体的な雰囲気は、「LRTは面白い提案。けどキロ当たり最低でも20億円のコストは重い。まぁ、とにかく研究・検討してみよう」という段階です。ここにどう切り込んでいくのか、です。
議員連盟幹事長として、昨年6月の総会以降の活動を簡単に報告しましたが、今日の勉強会を踏まえた今後の活動・事業方針は残念ながら明確にできていません。代替バス交通における利便性の確保、屋代線の鉄路活用の検討を掲げるものの、正直、「同床異夢」の感が無きにしも非ず…。無償譲渡への対応問題をはじめ、統一的な対応方には課題を残しています。曖昧さをそぎ落とし、沿線住民に対する責任ある対応が必要であることを痛感します。
夕方から、議連三役を中心に、国土交通省の皆さんと懇親会。結構、忌憚のない意見交換ができました。さらに、岡山に本部を置く「NPO法人公共の交通ラクダ」の理事長で、全国路面電車ネットワークに参画する岡将男氏との懇親会にも合流。法定協に有識者として参画している古平氏や松代住民自治協の中嶋会長らを交えて、対策本部さながらの意見交換会に。
岡氏は公共交通をめぐる住民運動の中では、仕掛け人として名を馳せる人物。実は、松代住自協の中嶋会長にLRT化を示唆し火付け役となった経過があります。前日から長野入りし、屋代線沿線を視察されたようです。とてもバイタリティのある方で、示唆に富んだヒントを伺うことができました。
国交省の皆さん、そして岡さん、ありがとうございました。