11月14日から16日、長野市議会・議会運営委員会で議会活性化をテーマに、茨城県守谷市、岩手県盛岡市、青森県青森市の市議会を訪問、視察・調査して来ました。
16日の青森では、なんと初雪を体験してきました。
3市議会の視察・調査テーマ
守谷市(人口64753人。議員定数20人)では、全議員による決算予算特別委員会と事業評価(事業仕分け)、通年議会の取り組みについて。
盛岡市(人口297631人、議員定数38人)では、主権者教育を狙いの一つとした市立盛岡高校の生徒を対象にしての高校生議会の取り組み、災害時の議会対応指針の制定と市議会災害対策会議の設置、年2回8地区での議会報告会について。
青森市(人口287648人、議員定数35人)では、当初予算案及び補正予算案を専門に審査する予算特別委員会(3月・6月・12月定例会は25人、9月定例会は20人で構成)と決算特別委員会(20人で構成)における審査方法、年2回4会場でテーマを絞ったワールドカフェ方式による議員とカダる会(議会報告会・意見交換会)の取り組みと大学生とのカダる会の取り組み、議会基本条例の達成度合いと今後の取り組みの検証、本会議及び委員会のペーパーレス会議を本格実施しているタブレット端末の活用などについて。
長野市議会における議会活性化の取り組み状況
長野市議会では、議会運営委員会の下に「議会活性化検討委員会2016」を設置し、継続的に議会活性化を進める検討を行っており、私も改革ネット選出で委員を務めています。
7月に開いた長野市議会の「市民と議会の意見交換会」は、これまでの一方通行的な議会報告会を改め、4つの特別委員会毎にテーマを絞り、分科会方式で市民の皆さんとの意見交換にウェイトを置いた内容に変えて実施し、市民の皆さんが参加しやすく、また議会の政策立案につなげていけるよう、工夫しながら試行錯誤しているところです。
テーマの設定方法や年複数回の開催をはじめ、地区に出向いて開催する方法などをさらに検討するとともに、若者や女性の参加が課題となっています。
➡長野市議会「市民と議会の意見交換会」報告書のページ(市議会HP)
また、現在は、予算・決算審査の在り方、タブレット端末の導入と活用を中心に検討を行っています。
さらに、議員定数の検証も優先順位を上げて検討していくことも問われているところです。
長野市議会として学びたい点・活かしたい点…まずは所感として
議会報告会の取り組みでは、「地域に出向くことが出発点」と位置づけ、年2回複数会場で実施する盛岡・青森両市議会の取り組み、高校生議会の盛岡の取り組み、ワークショップ方式からワールドカフェ方式へと「進化」させるとともに大学生を対象とした議会報告会に新たに取り組む青森の事例は、さらに検証を深めながら学びたいところです。
因みに、長野市では小中高生を対象とした「子ども議会」が市の取り組みとして行われています。議会としては学校教育を所管する経済文教委員会との懇談会という形で接点を作っています。
市議会として、主権者教育の観点からも、高校生や大学生にアプローチし、若い世代の声を市政に反映していく仕組み・手法は要検討です。
予算・決算の審査の在り方の検討では、改革ネットとして「まずは、決算審査の第一段階として、予算編成に確実に反映するため、決算特別委員会による審査の前倒し(可能な限り)、短期集中審査、臨時会による委員長報告の採択という方法を検討できないか。第二段階として、予算審査と決算審査の総合的・一体的審査を可能とする方法を検討する。9月議会での議会人事という制約があるが、予算決算常任委員会(全体会)の設置、既設の常任委員会を分科会と位置づけ、詳細審査を行ったうえで、分科会委員長報告を全体会で総括質疑を行い、とりまとめを行う方法を検討できないか」と問題提起している段階です。
予算・決算審査の方法は、今回視察した守谷市議会や青森市議会をはじめ、いろんな視点からの改善・改革が進んでいます。予算決算常任委員会という手法もその一つです。守谷市議会の市単独事業(国・県の補助金がない市の単独事業)である施策の評価を事業仕分け方式で行う取り組みは、民主党政権下の国会で事業仕分けが行われたことを機に、地方議会にも広がったものと認識していますが、決算審査を通して市単独事業を洗い直すことは重要な視点です。さらに調査したいと思います。
タブレット端末の導入と活用では、議会内に「タブレット検討委員会」(私が委員長を務めています)を6人の委員で設置し、導入と活用に向けた検討を進めています。
議会・議員の調査能力等の向上と会議の効率化や活性化、ペーパーレス化を主な理由として導入を検討しているところですが、タブレット端末の導入には、大きなイニシャルコストとランニングコストがかかることから、市民の皆さんの理解が得られるような財政負担の在り方、市民益につながる活用という視点を忘れずに導入に向けた原案作りを進めています。
電子会議システムやグループウェアの選定基準と選定方法、タブレット端末の運用基準等々、導入議会の活用方法等もしっかり学びながら、対応を進めたいと考えます。
使い方もさることながら、端末の大きさも議論のあるところ…。端末はほぼ、アップル社のipad-proでまとまってきていますが、12.9インチか10.5インチか、各議会によっても対応が違います。
因みに守谷市議会は12.9インチのipad pro、青森市議会は9.7インチのipad airでした。また、電子会議システムやグループウェアなど導入しているシステムも異なります。う~ん、悩ましいところです!!
また、盛岡市議会の災害時における議会の対応指針のまとめ(長野市議会では初動時の対応を要項の形でまとめていたと思います…?)や、青森市議会の達成度に点数をつけ評価する議会基本条例の検証の手法(長野市議会も制定後、一度、検証し、できていない事柄に優先順位をつけて検討するため議会活性化検討委員会2016に引き継がれてはいます)なども、しっかりと受け止め、長野市議会の取り組みを改めてチェックしながら活かしていくことが重要です。
議会活性化の目標は、市民の負託に応えられる議員の資質の向上と市民に開かれた信頼される市議会の体現にあります。
完成形のない永遠のテーマです。
目標を忘れず切磋琢磨したいものです。
取り急ぎ、議会運営委員会の視察報告、第一報です。
意見をまとめる必要があることから、詳細は長野市議会への応用を含め、追ってまとめたいと思います。
視察を受け入れていただいた各議会の議会事務局の皆さんには、大変お世話になりました。ありがとうございました。