28日、衆議院が解散され総選挙に突入です。
小池都知事が代表を務める「希望の党」設立が総選挙の構図を一変させたと思いきや、突如の民進党の希望への合流決定は衝撃です。
民進・社民・共産・自由による、これまで積み上げてきた野党共闘による候補者一本化の努力と構図を反故にするものです。
「改革保守」を掲げる希望の党は、安保法制賛成、改憲推進派の保守政党に他なりません。
二大保守政党の対決構図、政権選択という流れが急速に作られていくことにとても危機感を覚えます。
「希望の党」は野党共闘の対象となる政党であるとは到底考えられません。
社民党も一翼を担うリベラルな立憲政治勢力=政党再編を真剣に考えるべきだと思います。
民進の事実上の解党、希望への”身売り”にはあきれ果ててしまいますが、希望から選別・排除される民進議員(無所属で闘うことなります)を野党共闘の枠組みで支えることも考える必要があります。これからの状況次第ですが…。
社民党の「衆議院解散にあたっての声明」を掲載します。
社民党にとっては5議席以上を獲得することが至上命題。改憲発議に必要な3分の2の議席を改憲派に許さない闘いにしなければなりません。混沌とした政治状況において、小さくてもキラリと光る政治勢力足りえたいと思います。
2017年9月28日
衆議院の解散に当たって(声明)
社会民主党
安倍首相は、本日、衆議院を解散しました。消費税率10%の引上げ分を教育の無償化に回すことや北朝鮮情勢への対応を国民の信を問う「国難突破解散」であるとしていますが、それには全く大義がありません。教育の無償化の財源や北朝鮮情勢への対応について、国会でこそ与野党が論戦を闘わせ、一致点を見いだせばいいだけの話しです。しかし、安倍政権は野党の憲法53条に基づく臨時国会召集要求を3か月以上も棚ざらしにしたうえ、内外の重要課題に対応するためとして本日召集した途端、所信表明演説も代表質問も、予算委員会も、内閣改造で任命された「仕事人」の各大臣の所信表明や質疑も何も行わないまま、冒頭解散を断行しました。与野党の論戦で争点を明らかにすることもなく一切の議論を封じ込めるのは、よほど国民の前で議論したくないというやましさの表れです。北朝鮮対応を理由に挙げながら、与野党が合意していた北朝鮮の核・ミサイル問題への非難決議さえ、野党が質疑・討論を求めてくるからとして行わせませんでした。言論の府である国会をないがしろにするまさに前代未聞の暴挙であり、断固認められません。
今度の解散は、北朝鮮の核・ミサイル問題に便乗し、疑惑を隠蔽し、みそぎを果たし、政権の延命を図るための「究極の権力私物化解散」です。安倍首相自身に疑惑の目が向けられている森友学園や加計学園問題について、この間、様々な新たな事実が明らかになっていますが、臨時国会で野党から追及を受けダメージをおいかねず、さらに10月末の会計検査院の調査結果の報告や大学設置・学校法人審議会における獣医学部新設の判断が出される前に駆け込んでしまえと言わんばかりの敵前逃亡です。
これまでも憲法をないがしろにする政治を続けてきた安倍政権ですが、今回の解散自体、憲法上の疑義がぬぐえないものです。解散は、憲法69条に基づき、内閣不信任決議案が可決された場合や信任決議案が否決された場合の対抗的解散に限るという学説も有力です。また、首相が裁量的に解散できるという7条解散説に立っても、自己保身のための恣意的で「大義ない」解散は、「国民のために」行うものとされている趣旨に反するものです。
臨時国会では、安倍政権の看板政策である働き方改革やカジノ実施法案、受動喫煙防止法案、18歳成人法案、補正予算案などが予定されていました。社民党は、残業代ゼロ制度の創設や裁量労働の拡大、過労死水準の上限規制を問題視し、徹底審議を求めていました。さらに、森友学園・加計学園問題に加え、南スーダンPKO日報隠蔽問題、新しいエネルギー基本計画や日米原子力協定延長問題、質量ともに拡大する一方の防衛予算、年金支給漏れ問題など、追及すべき課題が山積していました。
また、北朝鮮の核実験と弾道ミサイル問題について、米朝間で激しい舌戦が繰り広げられ、偶発的な武力衝突の懸念など、一触即発の危険性も高まっています。小野寺防衛相がグアム島周辺に向けて発射された北朝鮮のミサイルを存立危機事態に該当し、迎撃できる見解を示しましたが、日本もアメリカも攻撃されていない段階で本当に武力行使をしてよいのか、慎重な議論が必要です。また、アメリカと一緒になって危機を煽り、緊張を激化させてきた安倍首相も国連総会で、対話ではなく圧力を強調し、あらゆる選択肢がテーブルの上にあるというアメリカを支持すると表明しました。「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とした憲法9条をないがしろにした暴言です。制裁と圧力一辺倒でこのまま戦争に行き着かせようとしているかのようですが、平和憲法の理念を活かしどのように解決し、国民の安全・安心を守るのかも大きな論議のテーマです。
こうした山積している問題を先送りし、安倍首相は解散しました。解散によって、事実上の選挙戦がスタートしますが、最大のテーマは、安倍政権の是非であり、暮らしや平和を破壊するアベ政治の暴走をこれからも続けさせるかです。一部の大企業・富裕層のためのアベノミクスによる格差と貧困の拡大、「年金カット法案」や医療・介護の改悪などの社会保障の切り捨て、「世界で一番企業が活動しやすい国」のための労働法制の改悪、沖縄県民の民意に反した辺野古新基地建設の強行、原発事故収束がなく避難者を切り捨てる一方での原発再稼働・原発輸出、特定秘密保護法や「戦争法」、「共謀罪」法の強行による「戦争できる国」づくりを許してはなりません。「こんな人たちに負けない」、「落とすなら落としてみろ」、「(国民の声に)耳を貸さないで頑張らなくてはいけない」、「(モリカケは)小さな問題」などと、国民を見下したアベ政治そのものが問われています。
安倍首相は今度の総選挙で国民の信を得たら、「みそぎを果たした」と強弁し、9条を死文化する「2020年改憲」に一気に突き進みかねません。「今なら勝てる」という安倍政権のおごり、権力の私物化を許してはなりません。平和と暮らしを壊してきた安倍政権の継続こそが「国難」です。10月10日公示、22日投開票の総選挙は、アベ政治の暴走を終わらせる好機です。社民党は、憲法をないがしろにし、国民に背を向けた暴走を続ける安倍政権を打倒するとともに、改憲勢力を3分の2割れに追い込むことを目指します。社民党は、社会民主主義の旗を高く掲げ、「憲法を活かす政治」、「国民生活最優先の政治」の実現を目指し、全力で戦い抜きます。多くの皆さんのご支持・ご支援をお願いいたします。
以 上