金田法務大臣の不信任決議案を否決した政府与党は、今日19日の衆院法務委員会で「共謀罪」(テロ等準備罪)法案の採決を強行しようとしています。
共謀罪法案は話し合うだけで処罰ができるという思想・言論処罰法です。電話やメールの盗聴、スパイや協力者による密告など市民への監視・管理も強められます。
「一般市民は大丈夫」と政府は言いますが、「組織的犯罪集団」の定義は捜査機関の恣意的な判断に委ねられます。
共謀罪の創設にはこうした問題や危険性が指摘され、国会では、これまでに3度も廃案になりました。
監視が強まり、権力が内心に踏み込んでくるのを黙って認めるわけにはいきません。
まさに21世紀の治安維持法、話し合うだけで罪になる法案は何としても廃案にしようではありませんか。
衆院法務委員会の強行採決に対し、平和フォーラムでは、19日全国同時アクションを呼びかけています。
長野地区護憲連合では、夕方、JR長野駅前で街頭行動を計画しています。
ココが危険!共謀罪法案
話し合うだけで罪に。一般市民も捜査機関の判断次第
政府は、共謀罪の取り締まり対象を277の犯罪に限定し、かつ、成立要件に「合意」に加えて実行のための「準備行為」も盛り込んだから、処罰対象は「組織的犯罪集団」に限定され、「一般人は対象にならない」と強弁しますが、全くのゴマカシです。
法案には、一般人と組織的犯罪集団を区別する規定はありません。
捜査機関が判断すれば一般人も組織的犯罪集団にされてしまいます。恣意的な運用の余地を際限なく残しているのです。
適用対象となる「合意」も全く規定がなく、SNSや目配せでも共謀が成立してしまうのです。
「準備行為」の判断も警察の判断に委ねられます。
「話し合うだけで罪になる」根本の問題は何一つ解消されていません。思想・信条の自由、内心の自由を蹂躙する思想・言論処罰法に他なりません。
日常の電話やメールも監視の対象に
この法案のもう一つの危険性は警察の捜査権限が際限なく拡大することです。
共謀罪は人と人との意思の合致によって成立します。従って、会話、電話、メールなど日常的に市民のプライバシーに立ち入って監視するような捜査が行われる可能性があり、監視社会をもたらすことになります。
また、スパイや協力者の密告も奨励されることになります。
金田法務大臣は、「共謀罪を通信傍受の対象とすることは将来の検討課題」と述べました。警察が市民生活のすべてを監視しようとする監視社会が目の前に来ているのです。
国際条約の締結やテロ対策はゴマカシ
政府は、国際組織犯罪防止条約の締結のために必要な立法措置を強調しますが、この国際条約は麻薬などマフィアによる経済犯罪への対策として作られたもので、しかも「自国の国内法の原則に従って、必要な措置をとる」とされていますから、日本国憲法の範囲で対応すればよいのです。
また、「テロ対策のために必要」としますが、法案の原案には「テロ」という言葉は一つも入っていませんでした。
慌てて「テロリズム集団その他」を入れ込みましたが、テロ対策のための条文は一つもありません。むしろ、「その他」の規定により適法な団体も犯罪集団とされる危険性を残しているのです。
テロ対策では13の主要テロ関連国際条約があり、これらに対応する国内法の整備はすべて終わっています。
テロ対策は市民の恐怖心をあおる方便で口実に過ぎません。
狙いは政府に異議申し立てをする市民を監視することにあるのです。