長野市議会3月定例会は昨日22日、1,487億4,000万円のH29年度当初予算案や、長野市の今後10年間のまちづくり計画の指針となる第5次長野市総合計画・基本構想など、市側から提案された57議案をすべて原案通り可決、また人権擁護委員の推薦について同意し、閉会しました。
最終日、本会議冒頭で、県消防防災ヘリコプターの墜落事故で殉職された9人の消防士、そしてご遺族の皆様に向け、黙とうを捧げました。長野市消防局職員2名が含まれます。
放課後子ども総合プランの有料化に反対
今議会の焦点の一つであった「放課後子ども総合プランの利用者負担導入」の条例改定案は、賛成22、反対14の賛成多数で残念ながら可決してしまいました。
私は一貫して有料化に反対してきました。
希望する児童をすべて受け入られるようにする放課後子ども総合プラン(児童センター・こどもプラザ)としながら、13.4%の保護者が「有料化されれば利用しない(利用できない)」とアンケートに答える中、子どもたちから放課後の安全で安心な居場所を奪ってしまうことにつながるからです。
減免措置の拡大により、どれだけの子どもが利用可能となるかも判然としていません。
放課後児童クラブと放課後子ども教室を一体的に運営する、現在の制度設計にも課題が残っていると考えています。
また、利用者負担による収入(約1億7,000万円)が、プランの充実に確実に利用されるかどうかも不明瞭です。
市は新年度1年間をかけて利用者に周知し、H30年度から一律月額2,000円の利用者負担を実施することになります。
これからの動向を厳しく注視し、子育て支援につながる方策をしっかり考えていきたいと思います。
国民健康保険料、水道料金の値上げは「止む無し」とし賛成
懸案の国民健康保険料、水道料金の値上げ案については、やむを得ないと判断し、賛成しました。
国民健康保険料は7年間据え置かれてきたことから、今回の値上げ幅は平均改定率13.5%と大変重いものとなっています。
しかしながら、保険料を据え置いたままで国保財政を維持するためには、国庫負担の増額によるしかありません。国の抜本的な対策が実現されない中、市単独の改善策には限界があると考えます。
国保事業はH30年度から県に移管し、さらなる保険料の引き上げが想定される中、国への働きかけとともに、県が示す標準保険料率や県全体の運営を厳しくチェックしていくことが重要であると考えています。
”医療難民”が拡大しないようチェックする考えです。
水道料金は、基本料金を平均5.49%引き上げるものです。一般世帯で月額160円の値上げとなります。50年先を見越し、老朽管の更新や耐震化に必要な財源をつくるための料金改定です。
重要なライフラインの施設を維持するためには必要な手立てと考えます。
しかしながら、水道施設の維持に必要な財源を利用料金だけに求めることも限界があります。水道施設、浄水場の統廃合や水道管のダウンサイジングなど、建設投資や経費の削減が図られなければなりません。
また、市町村の事業とされる上下水道事業について、国としても広域化をはじめ抜本的なあり方の検討が迫られていると考えます。
共産党提出の当初予算案の修正案には反対
当初予算案に対し、共産党から修正案が提出されましたが、人権・同和対策事業の削減を求める内容が柱であることから、反対しました。
都市再開発事業の在り方や非正規職員の処遇改善などでは問題意識を共有できる部分がないわけではありませんが、部落差別の根絶に向けた取り組みには、部落差別の厳しい現実に対する認識をはじめ、非和解的な隔たりがあります。譲れない考え方の相違です。
森林づくり県民税の適正活用と有効活用を求める意見書…県に提出
この議会には、林野労組等から「森林・林業基本計画の推進を求める請願」が提出されましたが、継続審査となりました。
委員長を務める経済文教委員会に付託された案件です。何とか採択にこぎつけたかったのですが叶いませんでした。
“その代わり”というわけではではありませんが、長野県森林づくり県民税(以下、森林税)の継続・活用にあたり、大北森林組合での不正使用の問題や、森林税の活用が十分に行われていない現状に鑑み、「長野県森林づくり県民税の適正活用及び活用事業の拡充を求める意見書」を議員発議で取りまとめ、全会一致で可決しました。
オスプレイの飛行に関する意見書を全会一致で可決
長野地区護憲連合から提出され、紹介議員となっていた「オスプレイの低空飛行訓練の中止を求める請願」は賛成少数で否決されました。
しかしながら、9日以降、5回にわたり長野市上空でオスプレイが飛来したことを受けて、「オスプレイの飛行訓練に関する意見書」が会派代表の連名で提出され、全会一致で可決しました。
総務委員会での請願の不採択という状況のもと、オスプレイの飛行訓練が強行される中、水面下で、最低限の意思表示は必要であるとの視点から、会派間での調整を探ってきた一人です。
結果として、私は「飛行訓練の中止を求める請願」の否決に反対討論を行いました。
そのうえで、飛行訓練の事前の情報開示・説明を求める意見書案には、市議会としての国に対する意思表示が必要であるとの観点から賛成しました。
共謀罪の新設に反対する請願は否決に
長野地区護憲連合をはじめ、3つの市民団体から提出されていた「共謀罪(テロ等準備罪)の新設に反対する請願」は、いずれも賛成少数で否決となりました。
共謀罪を新設する組織犯罪処罰法改正案は、既に国会に上程されました。構成要件等の限定が図られているとはいえ、話し合うだけで罪に問われてしまう根本的な問題は解消されていません。思想・信条の自由、内心の自由が蹂躙される恐れの強い法案です。
医療・介護の充実や原発事故避難者の住宅支援の継続を求める請願も否決に
「安心して受けられる医療・介護の実現と地域の実情に応じた医療提供体制の確保を求める請願」「障害児者の生きる基盤となる『くらしの場』の早急な整備を求める請願」「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める請願」「原発事故避難者に対する住宅支援の継続を求める請願」などの暮らしと雇用に関わる請願は、私は(改革ネットとして)賛成しましたが、ことごとく賛成少数で否決となりました。
「22対14」の壁
今議会、放課後子ども総合プランの有料化議案や市民から提出された請願への対応等では、ほぼ「22対14」という構図で議決しています。
総数が36の訳は、議員38人(欠員1)のうち欠席議員1(共産)と議長の表決が含まれないからです。欠員や欠席がなければ、「22対16」ということになるのですが…致し方ありません。
新友会と公明党で22、一方、改革ネット6、共産党6、無所属2で14という構図が基本的に固定している状況です。
この構図を変えたいのですが、なかなかハードルは高いです。
粘り強く取り組む以外にありません。