3月2日、本会議で一般質問を行いました。
再質問をせざるを得ない場面が多く、案の定、質問時間が無くなってしまいました。
放課後子ども総合プランは有料化せず無料で事業を継続すること、人権侵害に対して専門家を含めた相談窓口を構築すること、スパイラルは一部休止ではなく全面休止とすること、免震ゴム交換工事で発生したクラック(ひび割れ)の発生原因について、工事関係者だけでなく、第三者機関による検査・検証を行い、安全安心宣言につなげることなどを求めた質問です。
最後の「地域公共交通網形成計画の課題」は、私見・認識を述べる部分を大幅に割愛し、ポイントの質問のみとなってしまいました。(なお、この部分は、推敲前の第一次原稿です)
まずは、原稿で質問内容をお伝えします。答弁を含めた「まとめ」は、これからとなります。
➡市議会HPで質問がアップされています。【個人質問2】です。
1.放課後子ども総合プランの利用者負担導入について
(1)市長は、社会福祉審議会の答申を尊重し、児童センターもこどもプラザも一律2,000円の利用者負担を導入する条例改定案を今議会に提出しました。
減免措置の拡大が盛り込まれていますが、今回の市の方針には、大きな問題点が4つあると考えます。それぞれ質問します。
《最初の問題は》、税負担の公平論で、保護者の経済状況により利用できなくなる児童の発生を容認し、放課後の安全で安心な居場所を奪ってしまうことにつながるということです。アンケートでも13.4%の保護者が「有料であれば利用しない」と答えています。
私は、放課後の子どもの居場所をすべての児童に開放し、必要な経費は子どもたちの未来への投資と位置づけることが肝要であると考えます。
そもそも減免のない無償事業として継続すべき道を選択することが子育て支援先進都市の具体をつくることであり、こども優先のまちづくりを進めることになります。子育てと仕事の両立が求められ、また「子どもの貧困」が社会問題となっている今日、親の経済格差により子どもの放課後の生活環境が左右されてしまうことを「是」とすることはできません。見解を伺います。
具体的に3点質問します。
《一つは》、利用料金は3年ごとに見直すことになります。利用状況を検証しつつも、利用者負担額の上限である4,163円に計画的に引き上げていくことになります。2000円の負担で約1億7000万円の増収になると試算されていますが、小さく生んで大きく育てる、なんか消費税率のアップと似た論理が見え隠れしていると感じるのは私一人でしょうか。
社会の宝である子どもは、残念ながら減少します。現在の保護者の負担は2000円、将来の保護者の負担は4000円というのは、保護者の世代間の公平性を歪めることになりはしないか。見解を伺います。
《二つは》、おやつについて、食物アレルギー児童への対応もあり段階的になくすことを指導しています。答申の附帯意見のガイドライン作成は、かかる方向をさらに拍車をかけて誘導することにつながるのではないか。生活の場でもある児童センターで「おやつ」を無しにするのは子どもの生活習慣上、いかがか。見解を伺います。
《三つは》、プランを充実させるとされるが、求められる「プランの充実」の具体は十分に示されていません。児童センターの施設整備、こどもプラザで活用する教室のエアコン整備、支援員やアドバイザーの処遇改善、研修機会の無償による拡大などなど、課題はたくさんあります。
しかしながら、税負担の公平論では、利用者負担による増収ありきが最優先となり、プランの充実は二の次となってしまうのではないか。大変危惧します。見解を伺います。
*増収分をすべてフランの充実に充当すると約束できるのか
2.部落差別解消推進法を踏まえた人権侵害救済について
(1)日本の反差別運動の原点は、固有の身分制に由来する部落差別の根絶にあります。昨年12月、「部落差別解消推進法」が期限のない恒久法として制定・施行されました。「部落差別」を名称とする初めての法律です。罰則のない理念法であるとはいえ、国や地方自治体に、相談体制の充実や啓発・教育の推進、実態調査などを求めています。
同法の意義は4点あると考えます。
一つに、「現在もなお部落差別が存在する」として部落差別の存在を明確にしたこと、二つに「日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものである」として差別が許されないことを明確にしたこと、三つに、国や自治体の責務を明確にしたこと、そして四つ目、行政としての部落差別解消に向けた取り組みに明確な法的根拠を与えたことです。
まずは、部落差別解消推進法の意義と行政としての受け止め、今後の取り組みの決意を伺います。
(2)市内では、5年間余にわたって未だ継続している部落差別発言による人権侵害事象が存在します。被害者の市への駆け込み相談に市は法務局を紹介・斡旋するにとどまり、これを放置し、被害者に寄り添った対応ができないまま、暴行被害を被るまでに事態は深刻化しました。このことは、どのように総括され、その後の対応において、どのように活かされているのか。深刻な差別発言、人権侵害事件の実相はいかなるものか、合わせて質問します。
(3){地元の区での研修会の取り組みを踏まえて)1回の研修会で問題解決につながると考えているのでしょうか。研修会後も、事態と何ら変わっていません。今日、昼夜を問わず繰り返されている差別発言は、部落差別にとどまらず、今や障害者差別にまで及んでいます。手をこまねいている段階ではありません。暴言と差別にさらされ身の危険にまでさらされている被害者に寄り添い、まちを挙げて「差別をなくす取り組み」を広げることが肝要です。
他者に対する暴言・差別発言を封じ込める地域住民の底力が問われると同時に行政としての全面的かつ継続した支援が不可欠です。今後、どのような対応を考えているのか、見解を伺います。
(4)長野市において、指導主事の他に弁護士をはじめソーシャルワーカーや心理カウンセラーといった専門家で構成される人権侵害相談窓口を設置し対応すべきと考えます。「人権を尊び差別のない明るい長野市を築く条例」に人権侵害救済機関の設置を盛り込むことも含めて、今後の対応について見解を伺います。
(5)ひとりの市民の人権を守れないようでは、何のための人権行政かと言わざるを得ません。運動団体との緊密な連携も問われます。いわれなき差別発言の応酬の中で日々苦悩と涙で暮らさなければならない市民の存在に「あなたは一人ではない。しっかりと立ち向かおう。私はあなたのかけがえのない人権を守り抜く」とする市長声明を市民に向かって、そして差別発言を繰り返す、これまた市民に対して、発していくことが問題解決の一助につながると考えます。市長の見解を伺います。
*部落解放都市宣言も踏まえ、担当者任せにしない、課を挙げて、市を挙げて対応することを旨とすること。
*有言実行で、被害者に寄り添った対応を取り組むこと。
*ヘイトスピーチ規制法の限界
*県の迷惑防止条例の限界
3.スパイラルの存廃問題について
(1)ボブスレー・リュージュパーク「スパイラル」の2018平昌五輪後の在り方を検討してきた公共施設適正化検討員会は、「冬季の製氷は休止することが妥当」、ただし、「夏場は競技トレーニングに利用して存続し、メモリアルとして地域の活性化に資する活用策を検討することが望ましい」との提言をまとめ市に提出しました。
この、いわゆる「一部休止」方針は、各方面に配慮された内容ですが、本当に市民の利益にかなっているのか、中途半端な感が否めません。
そこで、まず4点質問します。
➊いわゆる「一部休止」方針は、冬場の競技施設としての復活整備に余地を残すものではないと理解しますが、こうした理解でよいのか。
➋平昌(ピョンチャン)五輪以降は、国のナショナルトレーニングセンター(NTC)「競技別強化拠点施設」の強化事業委託料1億円は申請しないことになるものと考えますが、かかる対応で臨むのか。
➌練習用レールが敷かれた「プッシュトラック」など夏場のトレーニング施設を存続し利用を図る際の費用対効果はどのように評価するのか。
➍施設の後利用問題は、施設建設時から議論されていました。これまでも様々な検討がなされながらも実現に至ってきていない課題です。具体的に展望があるのか。
(答弁を受けて)
➎私は「廃止を見据えた全面休止」としたうえで、地元の要望に対しては、施設の廃墟化を食い止めるためにも、一部施設をメモリアル施設として残すことを検討し理解を得ていくことができないか。そして、競技団体の要望に対しては、選手の海外遠征費の充実等による選手育成の強化策を国に対しともに働きかけていく以外にないのではないかと考えますが、見解を伺います。
➏また、公共施設の見直しが喫緊の課題となっている今日、「一部休止」と「全面休止」による市の負担額の差は10年間で1億1,000万円、20年間で2億2,000万円と試算されています。「全面休止」によりこれらの経費を「公共施設の維持管理のための基金」相当額として将来的に担保することが市民の利益にかなっているのではないかと考えます。見解を伺います。
4.新庁舎・芸術館の安全安心宣言について
(1)新庁舎のオープンから1年余。振り返って、工期の大幅な遅れ、案内サイン、芸術館の見切れ席、東洋ゴムの免震ゴム偽装による交換工事、そして、今日、免震ゴム交換工事による数百カ所に及ぶとされるクラック・ひびの発生問題と、市民からは、「なんかボロボロだね」といった声が聞こえてきています。
「免震装置交換後に数百カ所のひび、異常」との報道は衝撃的でした。
免震ゴムは40年から60年で交換することを前提としています。本来、免震ゴム交換により、建物にひずみが生じクラックが発生することは想定されていないはずです。
市民の不安・疑念を払しょくし、新庁舎・芸術館の安全安心宣言につなげたいとの思いから、質問します。
(2)まず、クラック発生に対する認識について伺います。既に昨日、幅0.3ミリのものが12カ所、0.2ミリ以上0.3ミリ未満のものが674カ所という数字を明らかにするとともに、「免震ゴム交換工事による影響は否定できない」としました。地下1階のアルミサッシの枠のたわみや柱のクラック、ドアの渋みなど建具にも不具合が発生しています。この事態はコンクリートの乾燥収縮による通常のクラック発生の範囲内であり、当初から予見されたものと認識しているのか、それとも、不正常な事態・異常な事態として認識しているのかを伺います。
(答弁を受けて)
具体的に4点質問します。
➊必要なジャッキ1000基を準備できず500基のジャッキで建物を持ち上げて行われた免震ゴム交換工事、建物全体が弓なりとなってしまう500基のジャッキアップの工事方法が適正だったのか。交換工事において、発生するであろう不具合について事前に予告されていたのか。
*建築構造学・免震構造を専門とする福岡大学の高山峯夫教授のコメント
「積層ゴムの交換方法やジャッキアップの方法について承知していないので、新聞記者への回答もあくまで一般論とさせてもらった。この建物は両側に大きな建物(庁舎とホール)があり、それを小ホールの部分(小さな構造体)で繋ぐような形となっている。もし両側の建物が異なった鉛直方法の変形などがあれば、その影響は小ホール部分に現れる可能性がある。こうした点に配慮しながら交換作業をすすめる必要があるという意味である」
「構造体にクラックが入っているとは聞いていないので、安全性は担保されていると思う。多数のクラックが、この建物の美観や維持管理に長年にわたって影響を与えるかもしれない」
➋市は「0.3ミリ程度のクラックは、建物の構造安全上、即問題となるものではない」としていますが、構造体にまでクラックが発生していないことを前提とする所見です。クラックや建具の不具合の発生原因の究明が急がれます。原因究明はどのように行う考えなのか。建物構造の専門家、設計者や工事施工者なとの関係者の意見はもとよりですが、検証の客観性、信頼性をしっかりと担保するために、第三者機関の専門家による検証が必要と考えます。所見を伺います。
*高山教授のコメント
「クラックの発生要因を検討することが必要。積層ゴムの交換作業の影響なのか、それとも別の要因なのか。交換作業によるものであれば、今後新しいクラックは生じないだろうが、別に原因があれば、今後もクラックが発生するかもしれない」
「不具合が発生した原因を確かめるために、まずは交換された積層ゴムの位置や高さがそろっているかを実測することが必要である」
「まずは、設計者や施工者による調査が行われるべきかと思う」
➌クラックの補強改修工事の費用は誰が負担するのか。10年以上にわたる経過観察が必要となると思われるが、免震ゴム交換工事の設計、施行における瑕疵担保責任は誰が負うのか。
➍新庁舎・芸術館は防災拠点ともなる重要な公共施設です。安全安心は絶対必要条件です。私は、今回の事態を踏まえ、第三者専門機関による検証を進め、「市庁舎・芸術館の安全安心宣言」を発することを見据えるべきと考えます。また、全国に先駆け実施された免震ゴム交換工事の教訓を明らかにし、警鐘を鳴らしていくことも重要です。それぞれ見解を伺います。
5.地域公共交通網形成計画・素案の課題について
(1)改正された地域公共交通活性化再生法に基づき、地域公共交通網形成計画の策定が進められています。3月中に素案をまとめ新年度でパブコメを実施する予定と伺います。
網計画素案では、H22年2月に策定された「地域公共交通総合連携計画」により、乗合タクシー等の導入による交通空白地域の解消や、交通ICカード「くるる」の導入による利便性向上策などにより、公共個通網の基盤は基本的に整備されたとし、長野市域の公共交通網の役割と将来像を描いた「公共交通ビジョン」を踏まえ、より利便性の高い公共交通ネットワークの再構築と利用促進における諸施策の方向性を改めて打ち出しています。
くるるの利用状況の分析を初めて実施し、市内平坦部と中山間地域の交通の課題を整理し、市街地と中山間地域の生活拠点を結ぶ中山間地域幹線の充実にウェイトが置かれていること、タクシーとの連携をより明確に打ち出したことがポイントであると受け止めています。
さらに、初めて運賃上限制の検討が盛り込まれた点も特徴といえます。
(2)しかしながら、ビジョンで打ち出した「地域住民主役になる交通手段の確保と運営」「地域住民と協議し維持基準の設定をはかる」といった、市が中心的役割を担いつつも、地域住民が主体となって交通ネットワークの確保に向け知恵を出し合う」という点が希薄になっている、後退しているのではないかとの印象を受けます。
「現状の路線バスは、事業者が中心となって維持する」「中山間地域の生活交通ネットワークは、現状の予算の枠内で対応する」ことが強調されている点も極めて気がかりです。
さらに、利便性向上策である交通結節点・乗り継ぎ拠点、ミニバスターミナルの整備、パークアンドバスライドの施設整備、バス専用レーン・優先レーンの整備、バスロケーションシステムの導入。また利用促進策では、長野市公共交通の日の設定、もう2回バス乗車運動の実施、ノーマイカー通勤の実施の諸施策は、ビジョンで示された課題をなぞるだけで、方向性を示すにとどまり、新年度に実施・具体化さるものはなく、ほとんどが「検討課題」として先送りとなっています。
(3)計画上において、「検討」と「実施」では、意味合いが大きく違うことは言うまでもありません。
これまで、ビジョンで打ち出した諸施策の推進を早期に具体化すべきとの提案に、市は「網計画の中で具体化したい」と答弁してきましたが、「今度は網計画を踏まえて再編実施計画の中で具体化したい」との答弁が予想される状況にあります。
このままで、地域公共交通の衰退をとどめることができるのか、大変懸念します。
改定された「都市計画マスタープラン」では、コンパクトシティ+交通ネットワークを軸として、公共交通で結ばれる都市構造を明確に打ち出しました。
まずは、課題先送りではなく、着実に問題解決を図る、具体化する決意、本気度を伺います。
(4)新年度秋をめどに、もう2回バス乗車運動とノーマイカー通勤運動を一体的に運動として提起することが必要と考えます。いかがか。
また、県では新年度から、生活交通における移動確保に向け、検討会を立ち上げ、具体的な取り組みを進めたいとしている。市も、この検討会に参加すると思われますが、どんな問題意識をもって参加し検討に加わるのか、伺います。
(5)県では、観光振興の観点から、路線バス、コミュニティバスなども含めた路線検索の機能を備えた「観光・交通情報サイト」、「バス乗換案内サイト」の構築に取り組み、新年度から運用を開始するとしています。
この「バス乗換案内」をどう活かすのか。また、この「バス乗換案内」と連動するバスロケーションシステムの導入より、さらに利便性を高めることができますが、計画の具体を伺います。
また、suicaなどの電子マネー機能を備えた全国10エリアの交通ICカードの片利用(例えば”くるる”などの地域独自カードへの共通接続システム)の実現を大いに期待しますが、対応を伺います。
(6)公共交通優先のまちづくり、中央通り(善光寺表参道)のトランジットモール化についてです。
まちづくり対策特別委員会で姫路JR駅前の全国初といわれる「トランジットモール」を視察してきました。
姫路市のコンセプトは、駅前広場=交通広場という従来の図式を大きく変え、日本初のトランジットモール(公共交通機関と歩行者の通行に限定する街路)を整備するなど、交通のための場所から多くの人が回遊し楽しめる交流広場への転換にあります。
交通セル方式の導入とトランジットモール化には当初は荷捌き車の対応や客の減少を懸念し反対する声が強かったようですが、学識経験者を交えたまちづくりの協議の中で、理解と合意が形成され、今日に至っているとのことでした。明確な将来ビジョン・コンセプトと行政のやる気があれば、市民合意は形成することができるのだと痛感しました。
そこで、長野駅前から善光寺に至る中央通りです。
現状では、トランジットモール化を目指した歩行者優先道路の整備事業が進められていますが、商店街等の合意がままならずトランジットモール化は将来課題に先送りされている現状にあります。
視察には、都市整備部長も同行しましたが、目標に向けて課題を一つ一つ解決していく道筋が必要です。中央通りのトランジットモール化、公共交通優先のまちづくりについての目標と打開策について考えを伺います。