値上げラッシュ【その2】は、国民健康保険料の引き上げ問題です。
国民健康保険料…13,448円引き上げ、平均改定率13.5%
国民健康保険料の料率改定等について審議してきた国民健康保険運営協議会は、支払い準備基金が底をつく状況にあり、国保を持続可能な制度にしていくために、保険料率の引き上げはやむを得ないとし、一人あたり保険料を13,448円引き上げる答申をまとめ、市はこの答申を尊重し、平均改定率13.5%の保険料率引き上げを3月議会の議案とします。
また、賦課限度額を法定の89万円に引き上げ、軽減判定所得については若干緩和する内容が含まれます。
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現行保険料率による保険料収入では、増大する保険給付費を賄えず、約19億円の収入欠損額が生じると見込まれています。
引き上げ改定案により、約8.5億円増収となり、一般会計からの基準外繰入金は約10.5億円で、H28年度とほぼ同水準で対応できるという理屈です。
答申は、医療費の抑制を図るため、疾病の予防や早期発見につながる保険事業に積極的に取り組むとともに、保険料の未納対策を強化するなど、より一層の国保財政の健全化に取り組むことを求めるとともに、H30年度の国保の県単位化に伴い、保険料算定の考え方が変わる中で、一般会計からの決算補てん等を目的とする基準外の繰入が解消できるよう保険料の適正な設定に努めることも求めました。
疾病の予防や早期発見につながる積極的な保険事業の展開は望むところですが、「基準外繰入の解消ができるよう保険料の適正な設定」とは何を意味するのか?「適正な設定」の意味するところは、保険料のさらなる引き上げを意味することになります。
破たん状態の国保財政…国庫負担の抜本的拡充しかないのだが
市町村国保の財政は既に破たん状態にあります。必要な保険給付費を捻出するため、一般会計からの基準内繰入と基準外繰入で何とか維持している状態にあります。
市町村の財政力にも左右される極めて不安定な状態に追い込まれているのです。
すなわち、国庫負担の抜本的な拡充がなければ、国保財政は成り立たないのです。
現状の制度設計の中で、保険料の引き上げにより国保財政の維持を考えざるを得ない行政的な事情は理解するのですが、果たして、これでよいのだろうかと思い悩むところです。
国保事業の県一元化でさらに保険料引き上げに…深刻な医療難民を懸念
疾病の予防や早期発見につながる施策展開の重要性は言うまでもありません。
しかし、「国保財政の健全化」という課題は、市町村が運営主体であろうと、県に委譲されようと、基本的に加入者の保険料により国保財政を維持する構造には変わりはありません。
県単位化により、県は新しい標準保険料率を示すことになります。ここにおいて基準外繰入の解消を図るためには、さらなる保険料率の引き上げが行われることになります。
国保の被保険者は高齢者や自営業者が中心です。保険料率の引き上げによって、病院に行けなくなってしまう「医療難民」が増えてしまうことが懸念されます。
運営協議会では、3つの改定案で審議されました。
答申は3案のうち中間の引き上げ率でまとめた格好です。
私的には、改定率8.1%が許容範囲であると考えてきました。基準外繰入金を増やすことで対応するものとなります。
しかしながら、財政調整基金を活用し基準外繰入を増額することで保険料引き上げ率を抑制することは一時凌ぎに過ぎないのではないか、長野市財政の全体的な持続可能性を考えると、一概に「これで行こう」とも言いかねる状況にあります。
7年間、保険利率を据え置いてきたツケといえる部分もあります。
賛否が問われる中、正直、思い悩んでいます。
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