沖縄・辺野古で新基地建設工事が再開強行された12月27日、去る13日、国内で初めて発生したオスプレイの墜落事故を踏まえ、長野県憲法擁護連合(県護憲連合)で、長野県に対し「オスプレイの配備及び飛行訓練の中止を国に求める」よう申し入れました。
申し入れは、「オスプレイの墜落事故は起こるべくして起きたとの認識に立ち、欠陥機である危険なオスプレイの配備、飛行訓練の即時中止を政府及び米国に対し迫ることが、オスプレイの訓練空域となる長野県、そして当該市町村にとって喫緊の課題になっている」との認識に立ち、これまでの県の北関東防衛局等に対する、安全性の確認、訓練の全容の事前情報開示・情報提供などの要請を踏まえつつも、県に新たな認識と新たな対応を求めるものです。
実は、4月段階で県への申し入れを計画していたのですが、熊本地震の災害対応で見送りとし、CV22オスプレイの訓練空域である佐久市や小諸市への申し入れのみを実施してきた経過があります。
墜落事故を受け、要請内容を加味し、緊急に申し入れを行った次第です。
県からは、危機管理部長、危機管理防災課長らが対応しました。
【要請書】は下記リンクを参照してください。
【関連】160526「オスプレイ配備・飛行訓練で防衛省交渉」
➡「オズフレイ墜落事故を踏まえた、オスプレイの配備及び飛行訓練の中止に関する要請」(PDF版)
県危機管理部長は、「政治的な部分もあり、直接関わることは難しい。安全性の確認などは国が責任を持って対応すべき」としつつも、「県民の不安に応え、静穏な生活環境を守ることが重要。自治体の意見も踏まえ真摯に取り組む」と述べるとともに、「9月20日に県及び県市長会、県町村会の3団体連名で防衛大臣・環境大臣に提出した『オスプレイの飛行訓練について』の要請文書を県の基本文書として対応していく」と強調しました。
また、13日の事故翌日、北関東防衛局に対し、「事故原因等の情報提供を行う」よう口頭で求めたとしました。
全体的に、オスプレイの安全性や飛行訓練の状況、今回の事故の原因究明について、「基本文書にすべて集約されている」とし、「国の対応を注視している段階」と述べるにとどまりました。
県が基本文書とする9月20日付要請書では、「一部の市町村では、良好な生活環境や静寂な山岳高原観光地に影響が生ずるとの懸念などから、訓練区域からの除外を望む意見があるとともに、一部の市町村議会においても、訓練中止を求める意見書が可決されている」と明記した上で、
➊飛行訓練における実態を広く情報開示すること。安全性や運用全般の状況について具体的内容を事前に説明すること。
➋県民や観光客に不安や懸念を抱かせるような飛行訓練が実施されないよう、日米合同委員会合意事項の遵守を在日米軍に強く求めること。
➌イヌワシやライチョウといった絶滅危惧種の生息環境への影響を低減する対策を在日米軍に強く求めること。
以上3点を要請しています。
➡県等の160920付「オスプレイの飛行訓練について(要請)」(PDF版)
この要請に対し、防衛省北関東防衛局(さいたま市)と環境省長野自然環境事務所(長野市)は、ともに「本省に伝える」とし、北関東防衛局は「運用に関する情報が得られた場合は速やかに知らせる」としたそうです。
オスプレイ問題で県を挙げて取り組んでいる姿勢は、率直に評価したいと思います。:県が「基本文書」とする9月20日付「要請文」も、良くまとめられていると受け止めます(苦労したと推察しますが)。
意見交換の中で長野県は、今回の墜落事故について、「防衛省の『不時着水』との認識を受け止めざるを得ない」としつつも、「原因究明は不十分」であり、「深刻で重大な事故である」との認識は共有できるとの姿勢を滲ませました。
しかしながら、国内初の重大かつ深刻な事故を踏まえ、新たな局面に立っているとの認識、すなわち配備及び飛行訓練の中止を求める局面であるとの認識には、なかなか踏み込みませんでした。
まぁ、ギリギリの認識、判断といったところでしょうか。
また、訓練空域である関係自治体と特別に対策会議を設置することについては、3団体連名の基本文書により、長野県を挙げて取り組んでいることから、現状で対応できるものとしました。
意見交換の最後に、国に対する要請にとどまらず米軍に対して直接申し入れを行うこと、国への要請が米軍との間でどのように協議されているのかについての情報開示を強く求めること、そして防衛大臣等に充てた基本要請文書の事項が実現されないことを視野に入れ、訓練中止を求める新たな対応を図るべきとを強く求めました。
沖縄では、オスプレイの訓練が再開され、高江のオスプレイヘリパッドは完成、そして辺野古の新基地建設工事の再開が強行されています。
来年、横田基地に配備されるオスプレイCV22は空軍仕様の機体で特殊作戦に使用される攻撃型輸送機です。夜間の低空飛行訓練が信州の上空で展開されることになります。
墜落事故の危険性が極めて高くなります。県民の生命・財産が失われるような事態が起きてからでは遅いのです。
県民の生命・財産を守るため、訓練の中止を求める予防的措置に向けた決断が県に求められています。
少なくとも、「原因究明が十分に果たされない限り、訓練の再開は容認できない」といった認識で、国に迫ってほしいものです。
引き続き、取り組みを強めたいと考えます。