12月議会…課題と論点【その2】

 12月議会の課題と論点【その2】です。
 引き続き、代表質問や一般質問から、ポイントを拾ってみました。

➡【関連】161210「12月議会…課題と論点【その1】~市長議案説明、代表質問等から」

過疎地有償運送の導入、困難に!?

 1支所1モデル事業として、中条・小田切・七二会地区では、地域公共交通ネットワークの再構築を目指し取り組まれていますが、導入を検討してきた「過疎地有償運送」の導入について、国交省北陸信越運輸局・長野運輸支局から、路線バスの運行状況やタクシー利用の可能性から「当該地区は交通空白地域にあたらず、導入は困難」との見解が示され、交通ネットワーク再編の検討が暗礁に乗り上げている現状が明らかになりました。

 そもそも、過疎地有償運送をはじめとする公共交通空白地有償運送は、地域公共交通会議(運営協議会)で協議され、NPO法人や社会福祉法人、自治会などの事業体が運輸支局に登録されることが必要で、「長野市公共交通ビジョン」の中でも、中山間地域における交通ネットワーク再構築の手法として明示してきたものです。
 
 支局も入って検討してきたはずなのに、「今更になってダメ」というのは余りにも無責任といわなければなりません。

 背景には、特区で進められているライドシェア(白タク行為として違法性が指摘されています)の動きをけん制したい国交省の意向があるのかもしれません。

 私は、もとよりライトシェアには反対ですが、中山間の交通空白地域では、過疎地有償運送の限定的な導入(運転手の2種免許保持や車両の安全点検義務、タクシー業界との合意など)が必要であると考えています。

 国交省の考え方など早急に把握したいと思います。

地域おこし協力隊…定住意向示す

 H26年から導入した地域おこし協力隊制度。3年間の任期を迎える協力隊員は6地区10人。9月に行った定住意向調査では10人全員が派遣地域または市内に定住し起業・就農を望んでいるとのことです。
 資金的な支援を含め、定住につながるよう支援を強めるとしました。

 丁寧なサポートを行い、定住につながることを願います。

生活困窮者自立支援…中間就労先の開拓が課題

 生活困窮者支援の相談窓口である「まいさぽ長野市」では、任意事業である就労準備支援や就労訓練事業を実施しています。
 清掃や調理補助といった中間的就労先での訓練を斡旋しているが長続きしないこと、また中間就労となる認定事業所が少ないことが改めて課題として浮かび上がっています。
 一般企業の他、社会福祉法人を含め中間就労場所の拡大に取り組むとしました。

生活保護・生活困窮者世帯の学習支援…中2・中3を重点に働きかけへ

 生活保護世帯・生活困窮世帯の子どもの学習支援は、対象153世帯240人に対し17世帯・21人の申し込みにとどまっているとのこと。ケースワーカー等が相談に応じていますが、関心が低く広がっていないとし、高校進学対策として中学2年生・3年生を重点に働きかけを強めるとしました。

 また、生活保護世帯・生活困窮世帯の子どもの学習支援では、教育委員会のスクールソーシャルワーカーの情報をもとに働きかけているが、さらに情報共有を図るとしました。

ひとり親家庭の子どもの学習支援…希望するすべての子ども対象に

 事業者(家庭教師のトライ)の聞き取り調査では、対象となった子どもたちは、おおむね順調に週1回の学習に取り組んでいるとされ、宿題に加え復習に取り組むなど学習習慣が身につき始めていること、自己肯定感の乏しかった子供が自信を取り戻しているといった報告がされており、事業の効果を実感しているとしました。

 新年度に向け、希望する子どもが支援を受けられるようにするため、支援ボランティアの確保を考慮し受入日や時間帯を指定・調整することや、支援ボランティアが個別指導する人数を増やすこと、教室確保のために公共施設を利用することなどを検討しているとしました。

 効果がはっきりとしたからには、なおのこと、希望する子ども全員を受け入れる体制・仕組みの確立が必要です。

ネウボラ事業…H31年度まで3保健センターで

 1支所1モデル事業として吉田と犀南の保健センター2箇所に母子保健コーディネーターを配置し、妊娠・出産・育児の総合的な支援事業=長野版ネウボラ事業が始められていますが、今後の展開としては、「まち・ひと・しごと総合戦略ではH31年度までに3カ所の保健センターに母子保健コーディネーターを配置するとしていることから、専門の母子保健コーディネーターの増員など人材と財源の確保を図り適切な対応に努める」としました。

 全ての母子に適切な情報提供を行い相談に応じられる仕組みは不可欠です。前倒し実施を求めていきたいと考えます。

空き家対策計画、来年度策定へ

 市では、国の空き家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)に基づき、空き家の適正管理や利活用に向けた取り組みを進めるため「空き家等対策推進プロジェクトチーム」を設置し対応を検討するとともに、空き家バンクや改修費等の補助制度を開始していますが、来年度に「空家等対策協議会」を設置し、「空き家等対策計画」を策定する方針を示しました。

 現在、取り組まれている空家等の実態調査結果を踏まえて対応していく考えのようです。

 空家の利活用の推進に重きが置かれているようです。
 私としては、空き家となっている危険家屋等の除却(解体・更地化)に対する補助制度の新設を強く求めていきたいと考えます。

 除却に対する補助制度は既に広がりを見せています。因みに福井市では上限50万円、さぬき市では上限160万円と、補助額は自治体ごとにバラツキがありますが、早期事業化が求められます。

 また、「空き家対策条例」の制定について、国の空き家法を踏まえつつ、県の動向も注視つつ、「必要性について検討したい」と述べました。

小・中の就学援助金の事前支給…実務的に困難

 市では、市民税非課税世帯や児童扶養手当受給世帯等に、学用品費や学校給食費をはじめ、中学入学準備金や中学就学旅行費を援助・支援していますが、支給される時期が課題となっています。
 
 入学準備金は中学入学後の8月中旬、修学旅行費は旅行実施後12月頃となっています。必要な時に援助金が受給できないことから、事前支給する自治体が増えています。
 
 長野市でも事前支給の実施を求める意見に対し、「中核市では9市、県内市では5市の実施状況であり、約3,500件の申請に対し、直近の経済状況(所得額)を把握する必要があるため、事前支給は実務的に困難」としました。所得の変動により返還義務が生じた場合の手続きが煩雑となることも理由の一つとしています。

 しかしながら、申請手続きについて、「前年度認定者はそのまま継続申請扱いになりますので、再申請の必要はありません。(中学校1年生についても同様)」とされていますから、中学入学準備金の事前支給は可能と考えられます。就学旅行費援助も同様でしょう。

 事務量は大変かもしれませんが、中学入学の準備、そして就学旅行に行かせるために、サラ金から借金し多重債務に陥る危険性を避けるため、お金がないために修学旅行を欠席することが無いようにするために、温かい対応を求めたいものです。
 
 13日の経済文教委員会における議論の一つの課題です。

学校図書館司書、教育委員会の任用に改善…一歩前進

 これまで、学校長との個別契約によって雇用されていた学校図書館司書が、来年度から時給826円、勤務時間1050時間内(一日平均5時間・210日)、年額86万7300円の教育委員会任用職員(嘱託)とし、保険や交通費など待遇面での改善が図られることに。

 ただし、任用職員となることから兼職が禁止されることになります。

 学校長の裁量に委ねられ、不安定な雇用となっていた学校図書館司書の待遇改善は一歩前進です。

 しかし、現場からは「5時間では仕事が終わらない。フルタイム勤務の保障、司書研修の充実」を求める声が寄せられています。
 特に、兼職禁止により副業に就けないこと、いつでも学校司書がいて、子どもや授業を温かく支えてくれる学校図書館が望まれることが背景にあります。

 制度の弾力運用をはじめ、フルタイム雇用に向けた段階的な施策の展開の方向性を質していくことが必要です。

 これまた、経済文教委員会の一つの課題でしょう。

【その3】に続く…

 上下水道事業を巡る課題、ドッグランの設置、障害者差別解消法への対応、入札における疑義申し立て制度の導入、指定管理者制度の効果、新第一庁舎の利便性確保などなどを取り上げる予定です。

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