28日、第16回公共交通活性化・再生協議会が開かれ、2012年10月までにICカード乗車券を導入する計画や、早稲田大学が実施する電動バス実証実験の計画などを協議しました。
◆路線バスにICカード乗車券、来年10月本稼働をめざし、具体的にスタート
注目していた長野市内の路線バスへのICカード乗車券の導入は、アルピコグループの川中島バス㈱が、松本に本社を置くアルピコ交通㈱に吸収され「長野支社」に再編、経営権が松本本社に統合されたことで、投資効果や負担等をめぐる議論が再燃し、一旦は“暗礁”に乗り上げ4月以降中断していたのですが、8月にアルピコ交通㈱内の協議がまとまり、9月からシステム設計等が稼働していくことになりました。来年5月にはシステムの運用テストを開始し、10月本稼働を予定することになりました。
今後、協議会内にICカードシステム運営委員会を設置しシステムの運用を詰める他、カードの汎用性を検討するため電子マネー研究会を立ち上げることに。またICカードの名称募集が11月下旬に行われます。
バス公共交通システムの再構築をめざし、H22年度から3年計画としてまとめられた「長野市地域公共交通総合連携計画」は、国庫補助金の削減により見直しを余儀なくされ、当初の33事業の内、バスロケーションシステムの導入や低公害・ノンステップバス車両の拡充など8つの事業を廃止してきました。
地域公共交通活性化・再生法に基づく補助金スキームは、国の「生活交通サバイバル戦略」に基づきH24年度からは新たな「地域公共交通確保維持改善事業」のスキームに転換します。
これにより、地域循環「ぐるりん号」の小型バスの車両購入や中山間地域の輸送システムの再編などが補助対象外となってしまい、補助率も2分の1から3分の1に縮小することに。3年間で公共交通を再生させようとする計画が中途半端に頓挫せざるを得ない状況になるだけでなく、持続的な公共交通システムの再編にブレーキがかかることになります。
国が2分の1を補助する地域公共交通活性化再生総合連携計画事業は、「事業仕分け」で地域が主体的に取り組む課題とされたことによります。しかし、自治体が投資できる財源には限界があります。交通基本法の制定と合わせ、国・自治体・事業者、そして利用者の役割分担を見直すことが必要です。
協議会では「理想的なバス交通システム検討グループ」で今後の対応を検討するとしていますが、国に対し補助金スキームの見直しと予算の拡充が強く求められるところです。
◆11月20日、ぐるりん号で電動バス発車へ
中心市街地の循環バス「ぐるりん号」に電動バス導入の実証実験が11月20日からスタートすることになりました。早稲田大学が環境省の「チャレンジ25事業」を活用し、長野市で実施するもので、3年間の計画で電動バスが実用に耐えられるか、事業性・採算性・波及性等を検証します。年内は1台運行で、来年1月からは2台での運行を予定します。当初は市も財政負担し実験を行う計画でしたが、国のモデル事業活用で市の財政負担は発生しないことに。
温室効果ガスの削減、低炭素型の交通システムの構築に向けた一歩になればと思います。しかしながら、電力供給には化石燃料や原子力が使用されているわけで、社会全体のシステムを考えた時に、電力に依存する社会が果たしてよいのかといった問題も問われてくるのではないでしょうか。しかも、今のところ電動バスは1台4千万円するとされ、費用対効果を考えるとどうなのでしょうか。例えば、廃食用油を活用したバイオディーゼル化も並行して検討することが必要ではないかと考えます。
11月19日には出発式が予定され、まちづくり・公共交通対策特別委員長として参加することになっています。課題はあるものの”楽しみ”にしています。