昨日24日、6月市議会最終日の本会議、紹介窓口議員となっていた「日米地位協定の抜本改定等を求める請願」が総務委員会で不採択となったことから、反対討論を行いました。
悲劇を二度と繰り返させない!沖縄の悲しみと怒りに応えたい!との想いで、討論に臨みましたが、新友会や公明の議員の心変わりを誘うことはできませんでした。
残念というか、悔しいです。
以下は反対討論の原稿より。
16番 改革ながの市民ネット 布目裕喜雄です。
請願第6号「日米地位協定の抜本改定等を求める請願」を不採択すべきものとした総務委員会委員長報告に反対の立場で討論します。
6月23日、昨日は、沖縄戦終結から71年の「慰霊の日」でした。翁長知事は追悼式典では異例ながら「日米地位協定の抜本改定」を日米両政府に求めました。
これに対し、安倍首相は「米軍属の扱いの見直しを行う」とし日米地位協定の運用改善を図る考えを示しています。補足協定的な見直しという言い方もされていますが、運用改善ではその実効性に疑問を抱かざるを得ません。
請願は、沖縄の元米海兵隊員による20歳の女性暴行殺害事件を契機としたものです。
19日には、「怒りは限界を超えた」「米海兵隊撤去」を訴える沖縄県民集会が、6万5千人が参加し開かれ、決議が採択されました。
決議は、一つに日米両政府は、遺族及び県民に対し、改めて謝罪し、完全な補償を行うこと。二つに米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理・縮小、県内移設によらない普天間飛行場の閉鎖・撤去を行うこと。そして三つに日米地位協定の抜本的改定を行うことを求めています。
この集会における名桜大学4年生の玉城さんの訴えは心に重く響きました。
安倍首相と本土に住む私たちに向けた「第二の加害者はあなたたち」との訴えです。
私たち一人一人が加害者になることなく、そして傍観者ではなく、沖縄の現実にしっかり向き合い、沖縄の悲しみと怒りを共有し、日米両政府に抜本的な対策を求めていきたいと心から願います。
1972年の復帰から44年。これまでの米軍関係者による刑法犯罪件数は5910件に上り、内凶悪犯罪は575件に達します。米軍・米兵の構造的暴力によって沖縄県民の生命が危険にさらされ続けています。
強姦や強姦未遂などの性暴力は、人間としての尊厳を破壊する深刻な人権侵害です。
二度と繰り返させない。この無法な状態を打開するには、地位協定の見直しが優先的に取り組まれなければなりません。
日米地位協定は米軍・米兵等の法的地位を定めるもので、国内の施設・区域の米軍への提供、その手続き、駐留米軍・米兵・軍属、その家族の取り扱いを決めているもので、米軍に対し、国や県の立ち入りを拒否し、基地を管理・警護する権限、課税を免除されるなどの行政上の特権を定めています。
基本的に問題は三つあると考えます。
一つは、米軍基地(施設・区域)を提供・返還する手続き・内容が米軍に都合の良いものとなっていること。
二つは、米軍基地や米軍は、わが国の法のコントロール(規制)を受けない仕組みがつくられていること。
三つに、米兵・米軍に刑事事件での特権をはじめさまざまな特権が与えられていること。
この地位協定のため、事件・事故に対する説明責任は極めて不十分なままに推移し、米軍に排他的な基地管理権を認め、米軍関係者を優遇する仕組みが「逃げ得」や「植民地感覚」を温存させている側面があるといわなければなりません。原則国内法を適用し、説明責任が果たせるような仕組みを設けることが事件の抑止にもつながると考えます。
オスプレイをはじめとする米軍機の低空飛行訓練も、日米合同委員会の合意がありながら、順守されることはなく無法ともいえる訓練が続けられています。航空法では、人口密集地で300m、それ以外の場所は150mの最低安全高度を定めていますが、米軍は適用外です。
刑事責任(地位協定17条)においては、公務外で犯罪を犯した場合(日本側に第一裁判権がある)、米兵等が基地内にいるときは起訴まで身柄は移管されません。公務中の場合は、米軍が第一裁判権を持つと定められています。
民事責任では、米兵等による不法行為に対し、地位協定18条で、公務中の場合は日本が国家賠償法で補償。米国側の負担は2割程度です。公務外の場合は損害賠償(被害補償)は米国の見舞金で対処されるに過ぎません。
委員会では、「地位協定の改定は憲法改正につながるから慎重に考えるべき」といった全く根拠のない頓珍漢な意見をはじめ、「抜本改定」とか「完全補償」といった請願の字句表現をもって、不採択とされました。
「抜本」を消して「地位協定の改定」、「完全」を消して「適切な補償」という表現であれば賛成されたのでしょうか。
「願意を汲む」とは、沖縄県民の悲痛な心情とつながり、地位協定の改定を求めていくことではないでしょうか。
5月末の共同通信社の全国世論調査では「改定するべきだ」との回答が71%に上りました。県民・市民の世論を後押ししていくためにも、長野市議会の意思表明が大切なのではないですか。
沖縄の深い悲しみと怒りを共有し、第二の加害者とならないため、長野市民の意思として、沖縄県民、基地周辺住民の人権を守る意思を表明するため、請願の願意を汲み請願を採択し、国に意見表明することを求め、反対討論とします。