新年度予算などを議決した3月議会、一般質問で質したことを中心に報告します。 |
市では、「公共施設白書」の作成にとりかかっています。「公共施設白書」は、様々な施設をはじめ道路や橋梁などのインフラ資産の将来の改修・更新費用を試算し、公共施設の再配置計画・長寿命化計画の策定につなげようとするものです。
私は、昨年9月議会で、公共施設の見直しが市民生活に直結することから、市民とともにつくる公共施設白書、市民とともにつくる公共施設見直し計画を求めてきました。維持費に毎年約5億円投入する五輪施設に加え、広範な中山間地域を抱える長野市にとって、公共施設の維持管理は行財政運営の最重要課題に浮上します。
3月議会では、公共施設施設維持将来を見据え、「公共施設維持管理基金」を創設すること、行政内に公共施設をマネジメントする総合部局を編成することなどを提案しました。
相模原市…20年後には4割の施設縮小避けられず
2月に相模原市(人口72万人)の公共施設白書の作成について視察しました。相模原市は、とりあえず箱モノだけを対象としていますが、政令市の財政力をもってしても、施設の更新・改修費用を考えると、延べ床面積で15年後には80%までに縮小、20年後には60%まで縮小しなければならない推計のもとに、「施設の保全・利活用基本指針」を策定中です。市民の理解と合意形成が最大の課題としていました。
秦野市…新しい箱モノは建設しない、義務教育や子育て支援を最優先で維持
公共施設の見直しで全国から注目されている神奈川県秦野市(人口17万人)では、「秦野市の公共施設の再配置に関する方針”未来につなぐ市民力と職員力のたすき”」を策定するとともに、平成23年3月、秦野市公共施設再配置計画を策定しました。
すべての箱モノを維持しようとすると、今後40年間で大規模改修と更新費用に750億円以上必要となり、財源不足は346億円に達するとの試算に基づき、公共施設の見直しの基本方針として、①新しい箱モノは建設しない(更新を除く)、②現在の箱モノは優先順位をつけて圧縮、③優先度の低い箱モノは売却・賃貸、④箱モノは一元的にマネジメントの4点を位置づけています。
そして、H23年度から10年間を第1期として、1340㎡の箱もの面積と57億円の管理運営費用の削減を目標とする計画を立てています。最初の5年間で、4つのシンボル事業(公民館と中学校体育館の複合施設化、保健福祉センター内への郵便局の誘致、福祉施設や保育園の民間委託など)を実施し、「公共施設の再配置が、一概にサービス低下を招くものではない」ことをアピールするとしています。
【参考】秦野市「公共施設再配置計画・概要」(秦野市広報より)
公共施設の維持管理…行財政の最重要課題に
中央道・笹子トンネルの屋根崩落事故に象徴されるように、公共施設の老朽化・劣化という深刻な問題に直面している中、施設の改修・更新・維持にいかに備えていくのかが、行財政運営の最重要課題に浮上することは間違いありません。これから大規模施設への新規建設投資を迎える長野市にとっては、更に、市特有の五輪施設の保有・維持、広大な中山間地域における施設サービスの維持が問われる長野市にとっては、より深刻な問題だといえます。
公共施設白書の作成と同時並行で、いかに財政的に備えていくのかを考えなければなりません。こうした観点から、公共施設維持管理金の創設、公共施設の維持管理に特化した横断的・総合的な部局の編成、当面の対応策として、現行の行政管理課を拡充し統合的な機能を付加させることなどを提案しました。
「基金創設は検討したい」と答弁
基金の創設については、「公共施設再配置計画の策定過程で、引き続き維持していく施設規模が固まった段階で検討したい」と答弁。また、横断的・総合的な部局編成については、「公共施設のマネジメント専門部署として、他市の取り組みを参照しながら検討したい」とするとともに、担当課の拡充は、「必要性を感じている。合わせて検討したい」とそれぞれ答弁しました。
いずれも条件付きですが、検討していく姿勢を示しました。いずれ、必ず必要となるものです。市民が納得できる公共施設の見直しに向け、取り組みを継続します。
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