節電のため午前7時から開会となった長野市議会・本会議。9日に一般質問を行いました。取り急ぎ、用意した質問原稿のみを掲載します。「公共交通総合基本計画の策定について」は、時間をとれず質問できませんでした。
23番、市民ネット、布目裕喜雄です。通告順を変えて質問します。
1.第一庁舎・長野市民会館の建て替えの賛否を問う住民投票の実施について
(1)市役所第一庁舎・長野市民会館の建て替えの是非を問う住民投票条例制定を求める市民の直接請求は、「主権者である市民を置き去りにしないで。私たち市民に重要な政策決定の責任を背負わせてもらいたい」との声の現れです。首長のみならず、議会としても、真摯に受け止めるべきだと思います。なぜなら、住民投票は、市民合意を形成、または確認する観点から、市長と議会の二元代表制を補完するものであり、議会としては、直接請求による市民の政策決定への直接参画の機会を保障する責務があると考えるからです。まさに「市民が主役となるまちづくり」を体現するものといえるでしょう。
(2)しかし、市長は、住民投票を求める直接請求に対し「市民への説明と理解に対する市の責務を果たしつつ、今日の地方自治制度の根幹である議会制民主主義に基づき、市民代表である議会と十分に議論を尽くして決定したものであることから条例の制定は必要ない」と市民の請求を退けました。
市長は、この間都市内分権を進めてきました。官主導である点に課題は残しているものの、その根底には、住民自治と住民参加によるまちづくりを進めるとの発想が息づいていると考えたいと思います。
そこで市長に質問します。
まず最初に、「多面的・総合的に判断すべき事業は、住民投票になじまない」「ねじれ現象を作る元になる」との考えを示していますが、この考え方によれば住民投票はすべて不要となってしまいます。二元代表制を補完する住民投票の意義について、どのように考えるのか。見解を伺います。
次に、地域主権、住民主権を体現しようとする試みが「自治基本条例」及び「常設型住民投票条例」の制定につながっています。住民の市政参加を促進し、安定性の高い政策の決定や実施につなげることが目的とされているわけです。こうした目的は、市長として共有できると考えますか。共有できるとするならば、住民投票条例の制定に前向きにならざるを得ないと考えますがいかがですか。
では、視点を変えてさらに質問します。
一つは、十分な説明をしてきたのに、なぜ住民投票実施を求める直接請求という運動が市民から起こったと考えるのか。
二つは、十分な説明を行い、市民の理解を得られているとすれば、住民投票を実施し、市の方針を後押しする結果をつくり、自信をもって計画の遂行にあたることができるのではないか。住民投票を恐れてはならないと考えるがどうか。
三つ目は、市長の公約である「みんなの声がながのをつくる」ことと、住民投票を実施しないとする姿勢は矛盾すると思うがどうか。市民の信託に基づく市政運営の基本が揺らいでいると考えるがどうか。
3点をまとめて質問します。
2.東日本大震災の復興財源等を見据え、長野市民会館の建て替え計画を見直すことについて
(1)市長は、大震災を踏まえ、「第一庁舎・市民会館、二つの施設の建て替えは、市の将来にとって必要かつ重要な事業であり、基本計画に沿って進めたい」と強調してきました。東日本大震災の復興及び復興財源の在り様を考えたときに、「計画通り」とするのは早計ではないか。合併特例債の活用や国の交付金・補助金を計画通り見込んでよいのかを改めて問いたいと思います。また、来年度以降の地方財政計画において、地方交付税や補助金の見直しは避けて通れないと考えるがどうか。見解を伺います。
(2)市民からは「震災復興を優先したい。我慢できることは我慢しなきゃ」「建設地をはじめとして、計画が二転三転、紆余曲折でついていけない。急ぎすぎているのではないか」「大震災があって、自分たちのまちづくりに向き合うようになった。いろんな計画について、いったん立ち止まって考え直すことが必要では」「第一庁舎の建て替えは進めていいけど、市民会館はもっと議論すべきでは」「震災復興のために国の借金は膨らまざるを得ない。何か考えないと日本が持たない」との声が寄せられます。
「3.11」を経験した今日、防災拠点となる第一庁舎の建て替えを最優先し、市民会館については基金積み立てを継続し将来に備えるということを強く提案するものです。そうすることで、新市民会館の建設地は、もっと幅を持って検討し直すことが可能となるし、したがって規模や機能について再検討できることになります。また、既存施設の改修も選択肢に入れることが可能となります。見解を伺います。
[再質問]
(3)「合併特例債があろうとなかろうと進める事業」としたことについて。
(4)市民会館が廃止・閉館となっている状況での、文化芸術団体の声は。
3.交通基本法制定を見据え、公共交通総合基本計画を策定することについて
(1)期待してきた交通基本法は、閣議決定はされたものの、震災国会において、いまだ審議入りせず、残念ながら制定への見通しは厳しい状況にあります。とはいえ、閣議決定案は、「国民の移動権の保障」という文言は削除されたものの、「国民等の交通に対する基本的な需要が適切に充足されなければならない」とし、「日常生活及び社会生活を営むに当たって必要不可欠な通勤、通学、通院その他の人の移動を円滑に行うこと」「高齢者、障害者等の円滑な移動のための施策を講じること」などが明記されるとともに、環境負荷の低減、まちづくり、観光立国等の観点から総合的な交通体系の整備を、国及び地方公共団体の責務としています。
(2)地域公共交通の再生・活性化は喫緊の課題であり、私は、この間、鉄道と生活路線バス、コミュニティバス、デマンドバス、タクシー、それぞれの交通モードが持つ役割を活かし、市民の移動を円滑に行えるような公共交通ネットワークを再構築することが不可欠であること、そのためにも交通モードを統合し、公共交通への利用転換、利用促進を政策誘導する対策と合わせ、総合的な公共交通活性化基本計画の立案と実行が必要であると提案してきました。
市側からはその都度「検討する」と答弁されてきました。検討状況はどんな段階にあるのか。個別交通モードの課題に迫れている現状を理解したうえで、長野以北の平行在来線の存続問題もあることから、生活バスや長野電鉄の活性化協議会と連携し、また交通対策審議会を活用し、具体的に着手されることを強く求めたいと思いますが、前向きかつ具体的な答弁を求めます。
(3)屋代線という鉄路の復活の可能性について
屋代線沿線の駅舎等について長電側に無償譲渡を求めていきたいとの姿勢を示しました。私は加えて、将来的な鉄道モードの技術革新を見据え、レール等を撤去せず、再利用できる道筋を残しておくことが重要だと思います。所見を伺います。
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