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2010年12月23日
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市民会館等に関わる公開質問状への回答[市民ネット]

市民会館と第一庁舎の建て替えを巡り、独自の世論調査に取り組んだ「県民主権を進める会」(代表=茅野實)と「長野まちづくりを考える市民の会」(代表=池田純)から提出されていた公開質問状に対して、12月20日付で市民ネットの回答を提示しました。
同団体が取り組んだ世論調査の結果、市民世論の動向を重視しつつ、私たち議員が果たすべき市民への説明責任について深く自覚するものである旨、前文として記しました。回答は池田清議員と協議してまとめたもの、ポイントを絞ったつもりです。ご意見をいただければ幸いです。
下記の回答書の質問部分は、前文を略し、また「である調」に変更しています。なお、送付した回答書のPDF版はこちら

1.建て替えと既存建物の補修による継続使用に関して
(1) 第一庁舎については、耐震診断のみで、免震・制震にまで踏み込まず、市民会館については耐震診断すら行っていない。費用が1000万円かかるにしても、50億円の建物の0.2%で、当然必要な経費であると思うが。
  【回答】施設をできうる限り使い続けることは重要なことだと考えています。しかしながら、第一庁舎は、耐震診断の結果を踏まえ、劣化・老朽化していること、さらに機能面における様々な不都合と費用対効果を考慮し、来庁者の安全を優先すべきで建て替えるべきと考えます。市民会館については耐震診断を実施したほうが良かったとは思いますが、第一庁舎より4年古い建物であること、また、現市民会館跡地に第一庁舎を建設する基本構想を踏まえ、耐震診断実施の可否を建て替えを支持する要件とはしない考えで臨んできました。さらに、市民会館は、単なる貸館から文化芸術の拠点としての役割、育み、創る場としての機能を充実するためには、建て替えが必要であると考えます。
(2) 建て替えではなく、耐震補強等で使い続ける自治体は数多くあると聞く。市は、それらの実例を実際に調査しているのか。調査すべきと考えるがいかがか。 
  【回答】全国の様々な事例については市当局も調査を行っています。また、議会特別委員会も多くの事例を実際に調査しています。その多くが箱形で耐震補強の容易な構造となっています。長野市役所第一庁舎及び長野市民会館は、特徴のある構造体のため技術的に困難さが伴い、耐震補強によってより使い勝手の悪い物になってしまうことが懸念されます。
2.市民会館の建て替えに関して 
(1) 現存建物を耐震補強や使い勝手の悪い点を修理し、なお若干の不便を我慢すれば建て替えよりも経費は安く済み、20~30年も使えるとすれば、伝統文化の保存にもなり、今使ってしまう建て替えの資源やエネルギーを20~30年後の世代に残すことになると思うが。なぜ建物を潰さなければならないのか。また、市民会館は日本建築家協会から「保存」の要望が出されている。”箱物”と”伝統的建物”についての理念を。 
  【回答】単なる貸し館としての箱物であれば、不便を我慢すれば済むかもしれませんが、これから造ろうとする市民会館は芸術鑑賞の箱物ではなく、芸術を創る場をめざしています。伝統的建物としての保存に要望については重く受けとめる必要はあると思いますが、新たな市民会館の役割をより重視すべきではないでしょうか。
(2) 仮に建設するとして、既存の同規模の施設との競合はどのように考えているのか。また、これだけの規模の施設を運営していくとすると、相当程度の維持管理費が必要と思うので、その点についての考えは。 
  【回答】他の施設との大きな違いがあります。講演会や集会と、芸術鑑賞、芸術文化の創造、それぞれの目的によって使い分けをすることになります。私たちとしては、メインホールは1000人以下の規模に縮小するとともに、24時間開放のリハーサル室や練習室等の整備によって、日常的な文化芸術活動の拠点とすることを求めています。また、専門家と市民の知恵を結集して管理運営することも重要な課題です。維持管理費は抑制されなければなりません。しかし、現状の文化芸術予算の低さに鑑み、文化の薫り高いまちをめざし文化芸術を振興するためのコストは必要であると考えます。
 3.合併特例債の活用について 
(1) 現在進行中の施策や「やりたい施策」の中で、合併特例債を活用できる施策はないのか。また、小中学校の耐震診断・耐震化等の安心・安全のための施策を優先させるべきではないか。
  【回答】合併特例債については最小限にすべきと考えます。一方で、特例債は有利な起債であることは事実です。市の文化芸術の拠点である市民会館への活用は必要と考えます。小中学校の耐震は最優先すべき課題です。これからの耐震化については既に全小中学校の計画ができており、合併特例債を約56億円活用するとともに、国の補助金の前倒しにより順調に進んでいることもご理解いただきたいと考えます。
(2) 合併特例には、特例債と交付税の特例があると聞いているが、合併から10年間の交付税特例が切れた場合、交付税は大幅に減額となるのではないかとも言われているが、それへの対応として、さらなる財政緊縮が必要になるのではないか。 
  【回答】合併特例債の算定替えについては12月議会でも質問がありました。確かに、国の財政状況を考慮すると大変厳しいものがあると思いますが、市全体の予算の中で欠くことのできない文化予算として計上していくべきと考えます。いずれにせよ、国の地方財政計画の動向、一括交付金化の動向などを見極めながら、市民に負担をしわ寄せしない行財政の健全化は大きな課題であると考えます。
4.建て替えについての市民への説明や意向の把握について 
(1) 市の行っている市民の参加及び説明、市民の意見の把握は十分であると考えるか。 
  【回答】十分ではないと考えます。現在提案の配置案についても市民説明会を行うべきと考えます。今後も基本計画策定の過程においても十分な説明責任が果たされる必要があります。広報ながのによる全戸配布や「回覧」の活用、また新聞「広告」を活用した周知などによって多くの皆さんに情報を提供して意見を伺うことは必要不可欠と考えます。
(2) また、説明会に参加しなかった多数の一般市民の意向調査を行う必要があると考えるが、いかがか。 
  【回答】意向調査の方法として、市民アンケートは一つの方法であると思います。設問の設定等の難しさが現実的にはあろうかとは思いますが、追求すべき課題です。市民ネットとしては、市民会館問題で独自に「市民版公聴会」に取り組み、十分であるとは思いませんが市民の意向把握に努めるとともに、それぞれの地域の皆さんの多様な意見をいただきながら、私たち自身の態度決定をしてきました。今後も、市民の皆さんの意見を踏まえ、議会において十分な議論の後に議決していくことが基本と考えます。
(3) 市民の移行をしっかりと把握するためには、市役所第一庁舎及び市民会館の建て替えに関する住民投票を実施することが、最も適切な方法だと考えるが、住民投票条例に対する考えは。
  【回答】市民の自治と参画のもとに政策・施策を決定していく観点から、直接民主主義に基づく住民投票制度は意義があり住民投票条例を検討することは必要であると考えます。また、佐久市における事例もあり、住民投票をという考え方は理解できます。しかしながら、市役所第一庁舎及び市民会館の建て替えについては、今日の状況では難しいのでないでしょうか。①第一庁舎の建て替えに端を発し、ところてん式に市民会館の建て替えにつながる経過、②いかなる文化芸術活動を振興するのか、ソフト面の議論の不足、③そして建設を白紙とした市長選、④大型商業施設の再開発不参加に伴う建設地の変更・変質、⑤そして現在地への方針転換後のA案、B案の提案等々、迷走といってもよい状況の中で、何を住民投票のテーマとするのか、住民投票を行うタイミングなど、難しさがあると思います。今日段階では、行政側の徹底した情報開示と説明責任、市民説明会の継続による意向把握、市民会館建設検討委員会及び市民ワークショップの意見を踏まえ、対応することが求められていると考えます。


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