5年間で2,220万円削減
6月議会で、市立図書館の図書購入費がH17年の7880万円をピークに毎年削減され、今年度予算では5660万円に。5年間で2220万円も削減されていることが明らかに。
このほど発行された「H22年度図書館概要」では、市民一人当たりの図書購入費はH17年の207円に対し、H21年には158円に。H16年からH20年への伸び率は76.6%と右肩下がりの状況です。市民千人当たり購入冊数もH17年114.2冊に対し、H21年は87.8冊と2割減となっています。
新刊図書の更新に時間など弊害が
市立図書館では、利用者の増から開館時間の7時までの延長、ネット予約の実施、一回の貸出冊数を5冊から10冊にするなど改善を図る中で、図書の貸出冊数は年間で170万を超えているものの、図書購入費の減により新刊図書の更新サイクルが長くなり、予約後の待ち期間が長くなっているとしました。
市民ニーズなき予算カット
市側は、厳しい財政状況下で重点施策の推進と市財政の健全化を図るため、効率的・効果的な予算執行に取り組む中で、図書購入費も減少してきたとするのですが、生涯学習の拠点である図書館への市民ニーズに逆行する予算措置であり、財政部からの一律予算カットに教育委員会が極めて安易に対応している結果といわざるを得ません。
6月26日の徒然日記に『6月議会を振り返ってのキーワードは「財政の厳しい折…」でしょう。図書購入費の削減や、子宮頸ガンワクチン接種への公費助成へのゼロ回答など、できない理由、削減の理由に「財政の厳しい折…」が「枕詞」のごとく頻繁に使われます。税金の使い方、「選択と集中」が違った方向に向かっているのではないか、「豊かで健康な市民生活」の原点に照らして「選択と集中」の在り方を見直す必要を痛感します』と記しましたが、図書購入費の削減は、その象徴的弊害といえるでしょう。
教育委員会の見識・問題意識に課題
議会後、某理事者が「図書購入費は予算査定の折には見えていなかった。教育委員会の問題意識として図書購入費が重要視されていない結果か…」と述べるのを聴いて、改めて納得するやら、あきれるやら。「選択と集中」といいながら、何を選択し何に集中するのか、大きな事業に目を奪われ、市民ニーズに基づき何を充実させなければならないのかという問題意識が希薄になっていることが問題だと考えます。このままでは、教育委員会は「文化」とか「教養」とか語れなくなってしまいます。新任教育長の見識が問われてる課題です。
求められる図書館改革
図書館の充実についていえば、司書の配置をはじめ、県立図書館や市内学校図書館とのネットワークの形成が課題となります。「地域を支える情報拠点」「地域や住民に役立つ図書館」へのたゆまぬ改革努力が新しい図書館像をつくりだすことになると思います。教育委員会では、総合計画・後期計画策定に合わせ、H13年に策定した「生涯学習基本構想・基本計画」をH22年~23年に見直し、「図書館の位置付けを見直し、基盤整備を進めたい」としていますが、新しい図書館像をいかに具現化するのか、見極めたいと思います。
ただし、当面は図書購入費の復活を図ることが重要です。
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