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2010年1月18日
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長野市地域公共交通総合連携計画=「ながのバス交通プラン」に意見書提出


長野市地域公共交通総合連携計画」素案に対する市民の意見募集が12月18日から1月18日の期間で行われてきましたが、締め切りギリギリで、代表委員の一人を務める長野地区公共交通対策会議としての意見を提出しました。
 「総合連携計画」は、アルピコグループの私的整理による川中島バスの不採算路線の見直し、路線の廃止・統合等の事態を受けて、バス公共交通の再生・活性化を図るため、地域公共交通活性化再生法に基づき設置された「法定協議会」でまとめられたプラン。「市民の暮らしを支える~ながのバス交通プラン」と題するもので「なくてはならない(市は主体的役割の責務)、がんばってガラリと変わる(事業者は利用者本位に)、乗って残そう(市民・企業の参加と行動)、長野のバス」がスローガンとなっています。
  ■ 「長野市地域公共交通総合連携計画(素案)」概要版[長野市ホームページより]
パブリックコメントの意見を踏まえ、計画を決定し、国土交通省に提出、新年度から3年計画で事業が具体化されることになります。提出した意見は次の通りです。
  ■PDF版はこちら

2010年1月18日
長野市地域公共交通総合連携計画(素案)に関する意見

長野地区公共交通対策会議

長野市県町532-3県労働会館内
?235-3325

1.公共交通を都市インフラと位置付け、またバス交通を「都市の装置」として維持・充実させる、バスサービスの向上によって「選ばれるバス交通」に変貌させるとの問題意識は共有する。公共交通を利用し歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりを進めるにあたって長野バス交通プラン示されるバス交通基軸が背骨になること、また地球温暖化防止、環境施策と一体でバス交通プランが具体化されることを期待する。
2.そのための具体的な施策として、「生活を支えるバス」「使いやすいバス」「分かりやすいバス」「利用してみようかなと思えるバス」の4つのカテゴリーで33の事業が計画されている。二つのバス事業者において、相互に連携しながらバスサービスをアップさせる、言いかえれば供給サイドからの取り組みが多く盛り込まれている。
 計画の実施にあたって、バス事業者が持っている体力に配慮しつつ、バス事業者に課される公益的かつ社会的責任と役割を十分に引き出し、バス事業者との合意を大事にして進めることが重要である。加えて、市内に二つのバス事業者があることのメリットを活かすことが必要である。中央通りの重複路線が指摘されているが、経路・行き先の違う2社のバスが走っていることで、朝夕の運行密度が高まり、利便性が増していること。またイベント時のシャトルバスは2事業者で補いながら必要な台数を確保している。観光面から、1社だけでは対応が困難になることのデメリットも考えるべきであろう。
3.バスサービスを向上させるメニューを具体的に並べても、そのサービスを利用する、バス交通利用に転換するということが担保されないと、「絵に描いた餅」になってしまう。その点で推進施策の第4カテゴリーにある、マイカーだけに頼らず、バスを利用してみようと思う動機づくりの施策が極めて重要である。マイカー離れを促進するためには「マイカーを我慢すると得になる」というインセンティブが具体的に必要である。市民の大きな関心事となっている地球温暖化防止に市民一人ひとりが参画する動機づけを交通施策に明確に位置付ける必要がある。エコでスローなライフスタイルの提唱など、環境面からの積極的な施策展開が重要だ。例えば、バス交通を利用しての買い物客にバス回数券サービスを提供する(マイカー買い物には駐車券サービスがあるように)、通勤をマイカーからバスに転換させる市民にはプレミアム付きのバス回数券を支給するなど、回数券を活用した「エコポイント制度」として、新しい仕組みをつくることができないか、もっと検討されるべきである。さらに実効性のあるノーマイカーデーの実現に向け、企業に対し税制上の優遇措置を設け、エコ通勤に政策誘導するなど、新しい取り組みを具体的に広げることがないと、バス交通利用への転換は具体的に担保されない。
 また、公共交通乗り換えによるプラス面、CO2の排出量の減少、経費の削減などを具体的に示した啓発活動も求められるところである。プランの「バスガイドブック」に環境面・家計面からアプローチする内容を掲載することを求めたい。
4.ICカード乗車券の導入による利便性の確保はプランの重要な柱と位置付けられる。市長は、一昨年の公共交通シンポジウムで、バス利用の促進に向け「ICカードの導入は行政の責任で行う必要がある」と明言し「行政の責任」に言及したが、市民への公約として誠実に履行されることを強く望むものである。ICカード乗車券は、長電バス・川中島バスのバス利用だけでなく、長野電鉄・電車やしなの鉄道にも使えること。また地域商店街との連携で地域カードとして使えるシステムを構築すべきである。さらに将来的にはスイカとの連携も担保するシステムとすることが重要である。
5.今回の「ながのバス交通プラン」は、H17年の「長野市バス路線網再編基本計画」をベースに、川中島バスの不採算路線の見直しを受けて設置された「バス路等研究会」での検討、新たな市民アンケートを踏まえて策定された。特に今回は市内を12地区に分けての公共交通診断、地域カルテから、地域ごとの課題と対策を見出している。アンケート結果があるとはいえ、コンサルタントによる画一的・総論的なパターン化が懸念される。地域住民の声の反映に課題を残している。プランをまとめ具体化するにあたって、区長会や住民自治協議会だけでなく、地区ごとに十分な検証と新たな提案を柔軟に組み込む発想と構えが重要である。地区ごとの公共交通を課題とした住民対話集会を計画するなど、住民参加・合意にもっとウェイトをおくことが重要である。
6.地域公共交通活性化再生法に基づく国の財政支援が、見直される或いは縮小されることが懸念される中、国の支援が小さくなった場合に、この計画をどうするのか。事業を選択して限定的に実施していくことになるのか。長野市行政の独自の財政で実施していくことになるのか。方向性を明確にした計画の推進を求める。
 また、総合連携計画への国の支援は3年間という限定つきであるが、H25年以降の計画をどうするのか。屋代線の存続問題や並行在来線の問題に直面する中、鉄道ネットワークとバスネットワークを総合的に位置付ける「長野市公共交通活性化・利用促進総合計画」(仮称)を策定し、市内公共交通事業の持続的なフォローと財政支援の枠組みが必要である。
7.広域化する長野市域の公共交通ネットワークの維持は「バス事業者だけでは対応が不可能」であり「地域の公共交通を社会全体で支える仕組みが必要である」ことを出発点としている。具体的にはグループの私的整理による川中島バスの不採算路線の見直し等が契機となっている。全国的に交通事業者の撤退・縮小が相次ぐ中、今回のバス交通再生プランが、バス事業者に対し新たな負担を求め、結果として事業の縮小が余儀なくなり市民サービスが減退することになってしまっては、本末転倒となる。プランが持続可能な仕組みとなるには、プランの推進度合いに応じ、バス事業者の生活路線バス運行に関し、損益等に対する補助制度が裏打ちされる必要があろう。もちろん、バス事業者の公益性に鑑みた誠実なサービス提供、経営努力が前提であることは言うまでもないことである。
8.バス専用レーンについて
 地球温暖化防止、マイカー通勤の転換の観点からも、バス専用レーンの拡大・充実に取り組む方針をより明確にする必要がある。都市整備・道路整備においてバス専用レーンを明確に位置付け、長野真田線での拡充、長野大通り線での周知徹底を具体化する。
9.中央通りのトランジットモール化について
 歩行者優先道路化事業を進める中央通りにおいて、大型バスの運行の困難性から路線の再編が意図されているが、そもそも都市計画においてはトランジットモール化が企画され、歩行者・公共交通優先道路化事業と位置付けられていたのではないか。であるとすれば、中央通りはマイカーの立ち入り禁止区域路線とし、歩行者・公共交通優先を明確にするべきであると考える。その際、バスのフリーライドも検討されてよいと考える。事業目標を明確にした取り組みが求められる。
10今回の「ながのバス交通プラン」のパブリックコメントでは、プランに要する事業費や市民の負担が示されていない。計画だけ示されても、この計画にいくらかかるのかが分からなければ、施策の優先度合いを評価することはできない。行政・事業者・市民の役割分担が示されているのであれば、財政上の役割分担もプランと一緒に示され、市民が費用対効果を見極め、そして市民自らが市民にとっての優先度合いを決定していけるようなパブリックコメントにすべきである。これでは、極めて形式な市民の意見の集約となってしまうことを憂慮する。

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