開会中の長野市議会は18日、議案の採決が行われました。ポイントを4点にまとめ報告します。
1.一般会計補正予算案に賛成
2.夏目ガ原浄水場・運転管理業務の民間委託に反対
3.長野市議会基本条例を賛成多数で採択
4.「ゴミポイ捨て禁止及び路上・歩行喫煙禁止条例」の制定を求める請願には悩みつつ
賛成
一般会計補正予算案に賛成
長野市議会は18日、市側が提出した一般会計補正予算案、指定管理者の指定議案など41議案をすべて原案通り可決しました。
45億7400万円に上る補正予算は、市が雇用する臨時職員の賃金など緊急雇用創出事業1660万円、住宅及び就労機会の確保に向けた支援のために実施する住宅手当緊急特別措置事業9000万円、1万1千世帯が対象となる子育て応援特別手当支給に要する経費4億1100万円、自殺対策として相談体制の整備を図るための自殺対策緊急強化事業として100万円、乳児への絵本の読み聞かせを事業化した「おひざで絵本」事業に114万円、認知症高齢者グループホームにスプラーを設置する補助金3900万円、特別養護老人ホームの拡充整備への補助金6億5500万円、セーフティネット保証の指定業種の拡大に伴う制度融資保証料交付金3億9300満円、間伐材利用促進補助金2380万円、長野駅周辺第二土地区画整理事業費13億6900万円、JRが実施する長野駅のバリアフリー化事業への補助金1億5000万円のほか、7月から8月の豪雨による災害復旧に6億7800万円、合併準備経費の6800万円を主な内容としています。
財源は、地方交付税や国庫支出金、県支出金で6割分の約27億、他は繰越金13億5400満円と市債4億7500万円を充当するものです。
解散前に決まった国の大型補正予算を受けての対応ですが、市の繰越金や新たな借金で財源の一部を補てんせざるを得ないところに、釈然としないものを感じつつ、また新政権による補正予算の執行停止の影響を心配しつつも、セーフティネットにかかる事業の前進面に着目して、補正予算案に賛成しました。
夏目ガ原浄水場・運転管理業務の民間委託拡大に反対
唯一反対した議案があります。水道事業会計の補正予算案で、債務負担行為で夏目ガ原浄水場の運転管理業務を民間委託する案件です。経費削減を主な目的とする民間委託の拡大では、受託者の総人件費の圧縮を生みだし、結果、安全な水を供給する技術の低下を招くことが懸念されるからです。3年前に実施された犀川浄水場の民間委託では、受託したジャパンウォーターの責任者の技術水準が高く、中間的な検証では、「良好」であり「委託の目的が達成されている」とされています。しかし、一方で水道事業の将来像を描く「長野市水道ビジョン」では、今後の水道職員の大量退職による技術力の低下を課題としながら、その解決策を示すまでに至っていません。こうした状況の下、どんどん委託を進めることで、長野市行政内の水道管理技術が維持できるのか、とても心配になります。民間委託した事業者の技術水準が高いことは重要なことです。しかし、受託者の技術水準を上回る技術が行政側に担保されて初めて監督指導できることになるのではないでしょうか。「民間任せ」になってしまう危険性を内包しています。
管理体制でも問題を残しています。案では犀川浄水場と夏目ガ原浄水場の責任者である「場長」は兼務で一人体制です。危機管理という点で極めて不十分だと思います。
この議案を審議した建設企業委員会では、賛成意見が全くないまま、賛成多数で可決されたそうです。 市民の健康と生命を守る「安全な飲料水の問題」だけに「民間委託は時代の流れ、仕方がない」とはできません。水道局には、反対意見があったことを肝に銘じて安全管理に対処してもらいたいと強く願うところです。
長野市議会基本条例を賛成多数で採択
特別員会副委員長として制定にかかわってきた者として、「ようやく出来たな」との感慨があります。全国の先進事例を研究し、優れた点を長野市議会流にこなしながら、まとめられたものと思います。もっとも全員賛成に至らなかった点は残念です。政策提案の研究調査を主な目的とする政務調査費は必要でないとする議員の「反対」ですから、やむを得ないところです。
長野市議会の議会基本条例は、長野市議会のこれまでの議会改革の取り組みを改めて条文に規定するともに、市行政の監視と評価、政策立案・政策提案を通して、「討論」を重視する新しい取り組みの基本を盛り込むことができました。
「基本」という意味合いは、議会内討論や市民との意見交換の仕組み・方法を具体的に示すまでには至らなかったからです。また議決案件の追加についても、せめて「長野市総合計画」という最高基本計画を具体的に追加案件として明記したかったのですが、時間的な制約もあり、「追加できる」という規定にとどまりました。
とはいえ、市民の信託にこたえる議会、議員の責務と役割の骨格をまとめた意義が損なわれるものではありません。どんな肉付けをし、血を通わせるかは、これからの引き続く課題です。
既に全国では60を超える議会で制定されています。今後とも真摯に先進事例を学びながら、長野市議会の活性化・改革に取り組みたいと思います。
「ゴミポイ捨て禁止及び路上・歩行喫煙禁止条例」の制定を求める請願には
悩みつつ賛成
ゴミのポイ捨てや路上喫煙の問題はマナーの問題であり、基本的に条例で規制すべき問題ではないとかねがね主張してきた一人として、対応には悩みました。
マナーの啓発だけでは、実効が上がらない現実が確かにあります。だからと言って条例を制定することでどれだけの効果をあげられるのかは不明です。厳しい罰則を設ければ別ですが。
問題は罰則(罰金)で禁止するということにあります。千代田区が同趣旨の条例を導入した際のスローガンは「マナーからルールへ」でした。自律的な道徳規範が、罰則規定を伴う法規範の問題に転換したことを象徴するスローガンです。罰則を伴うことにより相互監視社会、公権力による市民生活への支配を助長させる危険性があることは指摘しなければなりません。
長野市商工会議所が提出した請願書には、求める条例の中身までには言及していません。路上禁煙、ポイ捨てを禁止する限定的な理念条例の制定であれば「やむを得ない」との判断で賛成しました。この請願の可決を受けて、市側が条例制定に向け検討を始めることになります。どんな条例をつくっていくのかをチェックしながら、またゴミのポイ捨て・路上禁煙を禁止するために何が必要なのか、調査・勉強を深めたいと思います。
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