6月議会の論点&トピックス
[その1](090621市議会ニュースへ)
鷲沢市長、3選出馬を正式表明
市民会館の建設予定地、3カ所で検討。9月までに結論
利用料金の値上げ、改定の是非も含めて改定額を検討
緊急雇用創出事業に5800万円、新たに247人の臨時職員雇用へ
広がる太陽光発電
新設された地域活性化アドバイザーは…
[その2]
善光寺御開帳の効果は?渋滞対策の成果は?
バス公共交通で市民アンケート実施へ
深刻な国民健康保険の滞納の増
投票所の統廃合、119カ所から95カ所に
入札制度で新しいルール
三菱電機長野工場跡地を市で取得し、企業立地へ
中学校の修学旅行費に26,000円の開き
妊婦の超音波検査4回実施への助成
指定管理者の選考
退職金を減額する首長
善光寺口の再開発
善光寺御開帳の効果は?渋滞対策の成果は?
673万人が訪れた善光寺御開帳。経済効果のほどは今後の調査を待つしかないようだが、渋滞対策、御開帳中のパーク・アンド・ライドの状況が明らかに。市内4カ所に臨時駐車場(1900台)を開設、全体の延べ収容台数は2万8450台分で、述べ利用台数は2万5420台、利用率は89.3%で前回よりも28.1ポイントアップ。臨時駐車場と善光寺を結ぶシャトルバス(往復300円)の利用者は6万9579人で前回比8.1%の増。道路の最長渋滞では善光寺周辺から国道117号線九反付近までの3.6キロ(5月4日)。前回の4.3キロよりも短くなったものの、善光寺まで1時間55分という渋滞はまだまだ課題だ。「車の流れは、善光寺周辺の臨時駐車場の増や民間駐車場の案内、パーク・アンド・ライドの活用などで、全般的にスムーズだった。また観光客の回遊性も高まった」とする。因みに篠ノ井駅と今井駅に開設したパーク・アンド・レールライドの臨時駐車場(220台)の利用率は、最大で20%位、初めての試みとしては「まぁまぁ」と見るべきか。
新幹線が金沢までつながってから迎える6年後の御開帳に向けて、臨時駐車場の拡大確保や中央通りの使い方、観光バスの駐停車場の在り方など抜本的な方策を考える必要がある。
バス公共交通で市民アンケート実施へ
アルピコグループの事業再建、川中島バスの不採算路線の見直し問題を受けて、持続可能なバス公共交通網の整備を目的に、昨年12月に設置された「長野市公共交通活性化・再生協議会」(法定協議会)では、「市地域公共交通総合連携計画」の策定に向け、調査事業が始まろうとしている。この夏に4000件を対象とした市民アンケート、1000人を対象とした利用者アンケートを実施し、11月を目途に「計画素案」をまとめたいとしている。計画策定を請け負うコンサルタントは「パシフィックコンサルタンツ株式会社」に決定している。
長野電鉄屋代線の活性化・再生に向けても同じように「協議会」(法定協議会)が設置され、調査事業の準備が始まっている。コンサルタントは同じく「パシフィックコンサルタンツ」に決定した。
さらに長野以北の並行在来線問題、しなの鉄道の活性化・再生と合わせ、将来を決定づける地域公共交通網の根幹を形成する時期を迎える。市民アンケートそのものは大事な取り組みであるが、素案段階でのパブリックコメントだけでなく、公聴会や勉強会など住民参加を広げる仕組みも必要だ。「マイカーとの共存⇒公共交通への利用転換」は、住民の取り組みがカギとなるからだ。議会側としても9月議会、12月議会が大きな「山」になりそうである。
深刻な国民健康保険の滞納の増
国民健康保険の財政に国費が3分の1から2分の1に引き上げられることになったが、依然として市の国保財政は厳しい。それだけでなく、「滞納世帯の増加」「保険証がなく病院に行けない」という深刻な問題が広がっている。国保に加入する世帯は53292世帯、内、14.2%にあたる7580世帯が滞納、所得200万円未満の世帯は6274世帯で82.8%を占める。短期保険証(6ヶ月間)の交付世帯は1224世帯に上る。市独自に保険料の2割軽減を導入しているが、対象は2959世帯(5.6%)で約4000万円の経費となっている。宛て所不明などで市が保管する国民健康保険証は309件。病院に行けず死亡した事例などの調査は、「市としてはしていない。医療機関からの相談はない」とするのだが、大不況が進行する中、最悪の事態を想定した対応も求められるところだ。後期後継者医療保険制度と合わせ、抜本的な医療保険制度の見直しと国の負担増が必要である。
投票所の統廃合、119カ所から95カ所に
市選挙管理委員会は、現在の投票所の26カ所を廃止し、2カ所新設する統廃合を決め次期総選挙から実施するとしている。 旧市内では浅川・芋井・小田切地区内、あとは合併地区だ。小学校区の範囲や投票所まで約3キロ以内とする市の基準を適用したものとする。これにより選挙事務市従事者が約160人、経費で714万円が削減される。問題は、高齢化が著しい中山間地域で、選挙権の行使の制約につながらないのかが懸念されることだ。市は「効率を求めたものではなく、投票所間の均衡を図ることが目的」とし、期日前投票の活用や路線バスや乗り合いタクシーの時刻表の回覧などで代替させたいとする。投票率が下がらないことを願う。
入札制度で新しいルール
市発注工事の競争入札で、応札した内1社のみが有効な価格内で、他が最低制限価格を下回り失格となった場合、入札を保留し、談合の有無を調査する新しい運用ルールを設けた。当面は設計額100万円以上の工事発注を対象とする。1社以外が失格となった入札の事例はH19年5月からH20年10月までで13件あったとする。今後、さらに最低制限価格の引き上げの検討や人件費や労働安全衛生基準の厳格運用などが求められる。
三菱電機長野工場跡地を市で取得し、企業立地へ
市は「三菱電機側が一括売却を希望していることから、市が取得することを前提にして産業用地として有効活用することを早急に調査・検討したい」とした。跡地は4.8haで、H23年度末までに10ha整備したいとする工業団地用地のほぼ半分にあたる。隣接する「東部工業団地と一体で(三菱跡地を)起爆剤にしたい」と市長。跡地はいくらで買うことになるのでしょうか。
中学校の修学旅行費に26,000円の開き
児童数が要因で、小規模校では団体割引などが使えないことから割高になっているとのこと。とはいえ、4万8698円から7万4462円の幅(*旅行経費の数字を訂正)、2万6千円の開きは大きい。平均は5万9312円。市は合同旅行などで工夫したいとする一方、「こうした地域間格差はやむを得ない。その地域を選んでいるのは住民」との市長答弁は開き直りに近い。教育の機会均等原則に関わる基本問題であると考える。当面は合同旅行などの取り組みで格差が是正されるよう、見守りたいと思うが、抜本対策も必要では。
また、バスを使っての修学旅行は13校で実施されているが、地元事業者は6校のみで県外が7校であることが示された。旅行代理店との関係や費用の問題があるとされるが、地元事業者の活用は課題として残る。
妊婦の超音波検査4回実施への助成は、子育て支援で国の補正予算に盛り込まれた内容だが、市ではまだ、35歳以上の妊婦で1回しか助成されていない。県医師会や県市長会と協議し「慎重に検討する」と保健福祉部長。「慎重に」という言葉がついていることは?だ。
指定管理者の選考に雇用の継続や労働条件などを指定要件とすることに「指定管理者の裁量の範囲、考えていない」と従来の姿勢を変えず。指定管理者が変更される場合などに雇用の継続や雇用保険・社会保険の完備などを求めたきた私としては、改善に後ろ向きな行政の姿勢にガッカリだ。行政としての管理・監督権限はどのように担保されるのだろうか。引き続き、追求したい課題である。
退職金を減額する首長が相次ぐ中で、鷲沢市長は「特別職報酬等審議会の答申を尊重する立場。退職金を含めて年収を考えるべき。長野市長の退職金は高くも低くもない」と発言。因みに長野市長の退職金は2604万円(審議会の答申では)。中核市の中では23番目、人口同規模の中核市では平均に位置するとのことだ。4年ごとの任期満了で支払われる退職金、市民の生活感覚から考えるとどうだろうか。公務の内容を考えると、一概に高いというつもりはないが、市民の声を聞きたい。なお、議員に退職金はない。
善光寺口の再開発…「ペデストリアンデッキや交通結節点などの機能面、仏閣の検討など顔となるイメージ面から検討中、年度内に事業計画をまとめたい」と都市整備部長。東口の再開発と合わせ、新幹線の金沢延伸をにらみ急ピッチで検討が進んでいる。投資費用対効果をしっかりと見極める必要がある。
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