市行政が検討を進めている施設の利用や福祉サービスの利用者負担の見直しの問題については、この間も報告してきました。いよいよ、値上げ案の姿が見えてきました。
昨年11月に「利用者負担に関する基準に基づく(利用料金)見直し方針」を公表、それによれば、70の行政サービスで値上げが必要とされ、そのうち講座受講料や入館料、がん検診受診料など49のサービスについては、現行料金に比べ1.5倍の値上げを検討するというものです。しかも1.5倍は激変緩和措置、3年後には再度値上げに。
現在、無料である児童館・児童センター利用料や老人福祉センターの受講料など8つのサービスについても有料化するとします。
さらに働く女性の家講座受講料(1.5倍)や老人憩いの家入浴料(1.5倍)、少年科学センター(1.22倍)や博物館の入場料(1.5倍)などはH22年度4月実施の方針を明らかにしました。【下表の事業はいずれも一部です】
現行の1.5倍の値上げを検討
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現行の1.5倍未満の値上げを検討
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肺がん検診・喀痰
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1,000円⇒1,500円
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大腸がん検診受診料
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子宮がん検診受診料
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乳がん検診集団検診
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800円⇒1,200円
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スポーツ教室利用料
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少年科学センター入館料(一般250円⇒305円)
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前立腺がん検診
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2,000円⇒3,000円
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し尿収集運搬料金
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働く女性の家受講料
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200円⇒ 350円
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現在無料で値上げを検討
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老人憩いの家入浴料
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120円⇒ 180円
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肺がん検診精密検査
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老人福祉センター講座受講料
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長野運動公園体育館
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2,500円⇒3,750円
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児童館・児童センター利用料(3000円の答申)
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市立博物館入館料
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300円⇒ 450円
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ごみ有料化(今年10月)
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まさに値上げラッシュ!
市長は「機械的に基準を当てはめることはしない」としてきましたが、検討結果を見る限り、検討対象とした146事業の約半分の事業で値上げを実施する中身となっており、「基準に基づく値上げありき」になっているといわざるを得ません。また市長は「いろんな場所で市民の声を聴いて料金改定の是非を決めたい」としていますが、どんな場所でどのように聴くのか、どのように市民の声が反映されるのか、その道筋はまったく明らかになっていません。
「理論値で8億円」=市民の負担増
12月議会で市は、「あくまでも暫定数値」と断りつつ、70事業での値上げで約8億円の収入増(市民、利用者から見れば負担増)になる見通しも明らかに。8億円の影響は計り知れません。折しも大不況で生活苦が増している中にあって、生きがい・健康増進、教育という点で身体的・心理的なセーフティネットとなっている事業での値上げは、市民の元気、頑張りを喪失させることにつながりかねません。今ですら悲鳴が聞こえてきます。
適正な利用料金とは何か、公的責任とは何か、市民の許容度はどこまでなのか、失うものはないのか、こんな観点から、過度な負担増に異議ありの声をしっかり上げていかなければなりません。また、市民の声を聴く仕組み作りも重要。これから1年間の検証議論が鍵です。皆さんのご意見をお寄せください。
【市政直行便NO.19・2009年春号より】