5日に開かれた「バス祭り」、NHKでの特集番組、アルピコグループの会社再建始動など、公共交通を巡る動きに合わせ、3月議会での取り組みについてまとめました。
川中島バスの「バス祭り」に2,000人
4月5日、経営再建に取り組むアルピコグループの川中島バスが長野市内の本社で「バス祭り」を催し、2000人を超える皆さんが集いました。朝早くから長野駅前のシャトルバスのバス停には500人を超える人が並んだとのこと。運転手さんいわく「いつもこんなに乗ってもらえればね~」。バスの魅力を再発見し、公共交通の利用促進につなげたいとの狙いで開かれたもので、今年が2回目。昭和50年代に市内を走っていた川中島バス(仙台から借りてきたもの)やてんぷら油などの廃油を燃料にしたBDF(バイオディーゼル燃料)バスの周り、バス部品のオークションや限定販売の川バス・ミニカーには、大勢の人だかりとなり賑いました。会社再建を通して川中島バスとしてのブランドを維持するとともに、公共交通に果たす役割をいかにして維持していくのか、正念場を迎えている中での「バス祭り」、バス公共交通の利用促進を願わずにはいられません。
|
|
|
昭和50年代の川バス |
カメラの砲列が到る所で |
未来のバス運転手?! |
|
|
|
ぐるりん号の前でパチリ |
BDFのバス、後ろから |
労働組合もトン汁など提供 |
NHK「知るしん」でバス公共交通を特集
4月4日(金)午後8時からのNHK番組「知るしん」で、「どう守る?地域交通」をテーマに特集が組まれました。ご覧になった方も多いと思います。県内で民間バス路線の廃止が相次いでいる中、自治体が肩代わりしてバスを存続している木曽郡木曽町の取り組みや生活路線バスからの撤退を表明している飯田市・信南交通の路線地域の皆さんの声などを取り上げ、自治体に財政負担が重くのしかかり先行きが不透明な状況を強調するとともに、その対極として、住民が運営費用(週2回の運行で年間250万)を負担しバス(ジャンボタクシー)を運行している上田市豊殿地区の取り組みが紹介されていました。信南交通・中島社長の「田舎ではバス事業は成り立たない」、地域住民の「バスがなくなっては困る」との双方の発言が印象的でした。番組的には、現場報告を柱に住民が主体となって地域の足をどうやって守っていくのかという点に力点を置いていたように思います。続編に期待します。
アルピコグループ、私的整理による会社再建が始動
グループ全体で計173億円の債務超過に陥ったアルピコグループは3月26日、松本市内で第2回債権者会議を開き、メインバンクである八十二銀行など8金融機関から、債権放棄などにより債務超過額と同額の金融支援を受けることを柱とする事業再生計画に同意を得、事業再生をスタートさせました。これにより、同グループは債務超過状態を解消、今後は持ち株会社を設立して、交通や小売り、観光の主要3事業の効率化を進めて再生を目指すことになりました。新しく設立されるグループの持ち株会社「アルピコホールディングス」には、八十二銀行の堀籠義雄常務(59)が就任する予定で、7月にかけてグループ各社を完全子会社化していく計画となっています。
事業再生計画では、バス会社を統合して不採算路線を見直し、スーパー「アップルランド」の不採算店舗閉鎖や既存店舗改装などを盛り込んでいます。バス交通の再編・統合については6月までに再生計画の具体化を図りたいとしており、不採算路線への対応など長野市内のバス公共交通をどのように維持できるのか、大詰めを迎えることになります。
公共交通の維持・活性化に行政支援は不可欠
県内では、信南交通が生活路線バスの直営からの撤退を表明、アルピコグループの会社再建に加え、「公共交通はどうなるのか、大丈夫?」との不安が県民・市民の間に広がっています。バス事業者には安易に公共交通から撤退しない社会的な責任が課せられていると思いますが、マイカーの普及によるバス利用者の激減は、会社経営を困難にさせていることも事実です。公共交通は、市民にとって、とりわけ高齢者や車を持たない学生など交通弱者にとって重要な移動手段です。だからこそ、行政の関わり、バス事業者と連携した具体的な支援はより不可欠となっています。問題は財政です。新たに始まった国の支援を積極的に活用しながら優先順位を高めていくことが重要です。こうした観点から、3月議会では主要テーマに取り上げました。
「長野市交通公社」構想を提案
長野市内の生活バス路線は、川中島バスと長電バスの2社により運行されています。2社とも半分近くの路線が赤字路線という厳しい状況にあるといわれ、また路線の競合という問題もあります。私は、バス交通を中心に市民の利便性を高めること、そして市が積極的に関与していく道として、「長野市交通公社」を検討することを提案しました。長野市と二つのバス事業者、経済団体、そして市民がそれぞれ対等平等に参画して「生活バスの運行主体」を再構築する考え方です。この「公社」のもとで、路線・運賃の再構築、乗り継ぎの利便化を図るとともに、例えば車両もすべて「長野タウンバス」として統一して運行する、「長野市民のマイバス」としての定着を図るというものです。質問では、時間の関係でここまで具体的には指摘しませんでしたが、こうしたスキームを目標にしながら、バス事業者は事業者としての役割を担い、市の積極的な関与を具体化していく必要があると考えています。
市長は、「公社設立は一つの考え方ではあるが、全国的には経営効率化のため、公営バスを民間に移譲していく流れが大勢で困難」と答弁しましたが、いずれも厳しい二つの事業者のバス運行の連携を促しつつ、民間の力を引き出しながら、市民の利便性を確保するスキームとして、粘り強く提案し続けたいと考えています。
持続可能な公共交通システムの再構築を
国は「地域公共交通活性化法」(07年10月施行)を制定し、住民参加による「地域公共交通総合連携計画」の策定や事業実施で自治体等の取り組みを支援していくことになりました。国の支援を受けるためには、活性化法に基づく「法定協議会」を設立し「地域公共交通総合連携計画」をまとめる必要があります。
そこで、この「法定協議会」を早期に立ち上げ、市民参加で「連携計画」をまとめ事業化していくことを強く求めました。
利便性の高いバス交通網を
まずは、市がバス交通空白地域をなくそうと策定した「バス路線網再編基本計画」の具体化です。同時に市民の足としての利便性を高めるため、重要基幹バス路線のあり方の再構築、地域循環コミュニティバスやデマンドタクシーとの組み合わせの再構築、利用料金・運賃のあり方の検討が急がれなければなりません。具体的には、ICカードやバスロケーションシステムの導入、バス専用レーンの拡大、トランジットモールの具体化、パークアンドバスライドの拡大、バス停・上屋の整備等を、長電バスや川バスの交通事業者と連携して進めるべきと強く提案しました。
地球温暖防止のために公共交通の利用促進を
CO2排出量は、バスがマイカーの約3分の1、鉄道では約9分の1です。公共交通の利用促進がC2排出量削減の有効な手立てとなっています。私はこの間、国際的な取り組みとなっている「カーフリーデー」の提案もしてきましたが、企業や市民の協力のもと、せめて「ノーマイカーデー推進市民会議」などを改めて再構築し、新しい市民運動を主導すべきと求めました。金沢市では、地球温暖化防止に着目し「公共交通利用促進条例」を策定、企業に対し「公共交通利用モニター制度」を実験的に実施、マイカーからの乗換を進めようとの試みも始まっています。また、松本市では「ノーマイカーデー推進市民会議」を母体に「カーフリーデー」(マイカーの休日)の取り組みが進んでいます。地球温暖化への危機感が高まっている時だけに、「バス公共交通の出番」を意識啓発し、着実な前進を図りたいものです。
|