■仙台市松森清掃工場
…三菱重工プラントのごみ焼却施設、試運転段階で触媒損傷事故、再発防止策は?
…高知市での灰溶融炉スラグ流出事故の教訓は?
■スポパーク松森
…PFI事業における安全性の確保は?行政の責任とは?
(1)仙台市の概要
人口997,199人、世帯数427,624、面積780.54K㎡、人口密度1,273人/K㎡。人口増加率0.30%。仙台平野の中心に位置し、江戸時代は伊達62万石の城下町。明治期以降、司法・運輸・通信などの国家機関や各種教育機関の開設で「東北の治府」「学都」に。都心部で市街地と緑が共存する街並みから「杜の都」と呼ばれる。市制100周年の1989年に政令指定都市に移行。東北最大の都市。独創的な科学技術研究で世界的に知られる機関が多数立地。学都としての風土や産学官連携の実績で研究開発拠点を形成し、その成果を活かして産業化の推進と地域経済活性化をめざしている。8月の仙台七夕祭りは東北三大祭の一つ。
(2)視察のテーマ
視察地は仙台市泉区にH17年度新しく稼動したごみ焼却場・松森工場とごみ焼却場の周辺関連施設として作られたスポーツ施設「スポパーク松森」。松森清掃工場では建設地の決定に至る手法と住民の合意形成、H17年3月の試運転段階での事故の概要と対策、灰溶融炉の安全性の確保についてをテーマとし、PFI方式で建設された「スポパーク松森」では、昨年8月の天井落下事故により「PFI方式における公共サービスの安全性の確保に関する調査委員会」が設置され報告書をまとめており、その概要についてをテーマとした。長野広域連合で進められる長野市への新しい焼却場の規模・内容、また長野市初のPFI事業としてスタートした「温湯温泉・湯~ぱれあ」における安全性の確保等について検証するためである。
[対応者]
*松森工場=小野寺・環境局施設部施設課主幹、鍋谷・工場長、千坂・工場主幹他
*スポパーク松森=寺田・企画市民局総合政策部参事、白岩・総合政策部PFI担当他
(3)松森工場の概要と建設プロセスについて
①仙台市は現在3つの清掃工場を抱えている。一つは仙台市南東部の今泉工場(600t/日、S60年12月竣工、旧日本鋼管プラント、運転は直営)。二つは西部の葛岡工場(600t/日、H7年8月竣工、日立造船プラント、運転は委託)。そして三つ目が北東部に位置する松森工場(600t/日、H17年4月稼動で準備したが事故の発生によりH17年8月から本格稼動、三菱重工プラント、灰溶融炉は80t/日を2基、運転は三菱重工の関連企業である重環オペレーション株式会社に管理委託)である。松森工場の本体工事費は277億円、用地費などを加えた総事業費は365億円、請負企業は三菱重工業他3社のJV。(写真は説明する工場長の皆さん)
②松森工場は、小鶴工場(600t/日、S52年3月竣工)の代替施設としてH3年に事業計画決定(H10年度までに完成予定)されたが、住民の建設反対運動(工事費用支出差し止め訴訟が提起され、現在はダイオキシン連続関し装置の設置について最高裁に上告中)により用地取得等に時間を要し、H9年に完成時期をH16年度末に修正した。建設地はもともと旧泉市の清掃工場が立地していたところで、周辺に大規模な団地を抱えるものの、ほとんどが農地であった。現在も施設周辺は農地が広がっている。建設予定地の決定は、周辺の民家との距離や主要道路とのアクセス、収集効率などが考慮されたという。決定のプロセスを詳しく知りたかったのだが、当時の担当者は既におらず詳細は不明とされ、ちょっとがっかり。住民説明会は事業説明会として18回、環境影響調査の説明で2回、勉強会を7回。建設事業の広報では約半径5キロメートル以内の18町内会、9000世帯を対象に全戸配布したという。(写真は工場の周辺)
(4)松森工場における触媒損傷事故と運転再開にいたる改善策について
①松森工場は試運転中に触媒損傷によるばいじん発生事故を起こし、本格稼動が4ヶ月間遅れた。H17年3月28日、発電関係設備の故障(蒸気の安全弁の故障)により全炉停止、全炉埋火状態(炉内に燃焼中のごみを残した状態で酸素の供給を止めるなど炉の運転を停止した状態)となる。復旧するための部品の在庫がなかったため(極めて初歩的なミス!)、ごみを焼却処理できず、極めて異例な長時間にわたり埋火状態が継続したため、通常の燃焼では発生しない炭化水素ガスが発生し、触媒反応塔(排ガス中の窒素酸化物をアンモニアと反応させ、水と窒素に分解する装置。また触媒の酸化反応によりダイオキシン類を分解する)の触媒に蓄積。復旧後に焼却炉の運転を再開した際に、設備を急激に昇温したため、触媒上の炭化水素ガスが急激な参加発熱反応を起こし、この熱により触媒が損傷、炭化水素ガスが不完全燃焼し「すす」となり、ばいじんを発生させたとされる。3月31日午後、9分間に発生したばいじん(最大濃度0.145g/?N)とダイオキシン類(最大濃度0.232ng-TEQ/?Nと推計)は、環境調査の結果、国の大気中の環境基準を下回ったことから「安全」を確認したとされる。
②この事故は「複数の不適切な運転管理が重なり合って生じた事故」(報告書)とされ、再発防止策として「施設設備の改善」と「安全・的確な運転管理」が講じられている。施設設備では、埋火状態で焼却炉の運転を停止した場合に触媒への炭化水素ガスの蓄積を防止するためのガス燃焼装置の設置、触媒反応塔内部への温度計の設置、触媒反応塔の異常時に焼却炉を緊急停止するシステムの導入など。安全・的確な運転管理では、部品の在庫管理の徹底や各種計器類の保守点検項目の再整理と点検・整備頻度の設定、さまざまなケースを想定した予防マニュアルの作成と教育訓練の徹底などである。
③これらの復旧措置、施設設備の改善にかかる費用はメーカー負担。4月1日の施設引渡し前の事故であるため、当然といえば当然のこと。松森工場は市職員30人体制で、施設の運転管理は重環オペレーション株式会社(三菱重工業製品のアフターサービスを受け持つ関連企業)に委託、46人の職員が配置されている。本格稼動から1年でプラントメーカーのメンテナンス保証期間内であることと、メンテナンスは重環オペレーション㈱が行っているため、今回の指名停止処分(三菱重工に対するもの)の影響はないとのことである。
*「松森工場触媒損傷事故原因調査及び改善策報告書(概要版)」
http://www.city.sendai.jp/soumu/kouhou/press/05-06-13/gomi2.html
(5)灰溶融炉の安全性の確保について
①松森工場の灰溶融炉は黒鉛電極式プラズマアーク炉で処理能力が80t/日の炉を2基もっている。1炉は予備。安全設計として、感電防止、炉内COガス爆発防止、水蒸気爆発防止、耐火物保護設計などを実施している。灰溶融炉としては当たり前の安全設計である。問題は、今年4月に同じプラント=三菱重工製である高知市の清掃工場で灰溶融炉のスラグ流出事故が発生していることだ。松森工場でも「安定した状況ではない」とし「三菱重工サイドと運転管理について協議検討中」という。灰溶融炉の耐火物の劣化が早く、耐火レンガの全面交換では4億から5億かかるとのことだ。(写真は灰溶融炉の模型前での説明)
②高知市の清掃工場で4月29日に発生した灰溶融炉のスラグ流出火災事故は、運転中の灰溶融炉で1300度の高温の溶融スラグ(焼却灰をさらに加熱処理した物質)が流れ出し、溶融炉室の床などを焼いたもので、炉内の耐火レンガの耐久性を含め灰溶融炉の構造そのものが問われる深刻な事故だ。一歩間違えば、水蒸気爆発、高度のダイオキシンの散乱など大惨事となるものであった。幸いに人的被害はなかったものである。同市の清掃工場はH14年4月の本格稼動から4年しかたっておらず、2基ある灰溶融炉(1基当たり40t/日の処理能力)を数カ月ごとに交互に使用。鉄製の炉に直接熱が伝わって溶けないよう炉内部に敷いている耐火レンガ(底部は4層、厚さ約75センチ)などを点検する作業を約3カ月おきに行ってきていた。炉の外面の鉄の厚さは2・2センチ。今回穴が見つかった炉は昨年8月に耐火レンガの一部交換を行い、今年1月の点検ではさほど損耗がなかったため交換しなかったとされている。同工場では7人体制で稼働状況を管理。事故当時、溶融炉内の温度センサーは異常を示していなかったという。徹底的な原因究明と技術的対応が問われているところである。高知市の清掃工場には昨年10月に会派の視察で訪れている。全国まれな(高知市と豊橋市)直営体制で、「安全は自分たちで判断するもの」と取りわけ灰溶融炉の管理にはメンテナンスをはじめ細心の注意が払われているように感じたものであった。当時、熱心に説明をしてもらった工場長は、今年4月に異動になっている。何か因果関係はあるのだろうか。
*高知市清掃工場の灰溶融炉スラグ流出事故、市としての情報公開
残念ながら、高知市ホームページからは、6月議会における市長の「提案理由説明」からしかうかがい知れない。そこで8月3日、三本工場長に電話で問い合わせた。市では事故を受けて市とメーカーで事故原因究明のための委員会を設置、議会にはこれまでに2回報告をしているとのことです。現在のところ「これが原因」と特定できる段階にはないが、原因として5つの要素があるとのこと。一つは耐火レンガの耐久性の見極めの問題。運転可能日数(交換時期)を設定しているが、予想を超えて耐火レンガは損耗していたことから。二つは灰溶融炉の底の点検、メタルの管理に関わる問題。側壁のレンガの損耗度は計測できるが、炉底では計測できないことから。三つは炉停止の異常警報システムの問題。今回の事故では炉停止と判断すべき異常警報が作動していない。四つは炉内の温度を計測するために設置された熱電検出座(炉底からずれた箇所に穴を開けて設置されたもの)の設置。ここからスラグが流出している。五つは温度計測のあり方。側壁には計測装置があるが炉底にはない。炉の外の鉄面における計測と異常探知が必要か。これら5つの要素の検討を重ね、メーカーと協議し施設の改修を進めたいとしている。灰溶融炉の安全性については、「損耗しない耐火レンガがあれば良いのだが、今の技術ではありえない」「技術水準は発展途上にある。必要な施設であり、メーカーとの連携で技術改良を進めていくこと、炉底のチェックなど管理の方法を技術的にクリアーすることが大切だ」とした。詳細な事故原因調査報告と「今後の対応」を待ちたい。施設の管理、技術の管理という点で誰に責任があるのか、ということも問われていると思うのだが。 |
*高知市清掃工場の灰溶融炉スラグ流出事故の報道(高知新聞4月30日付け)
2006年04月30日 |
高温のスラグ流出 灰溶融炉に穴 高知市清掃工場
29日午前、高知市長浜の同市清掃工場の灰溶融炉から高温の溶融スラグ(焼却灰をさらに加熱処理した物質)が流れ出し、溶融炉室の床などを焼いた。工場内にいた市職員ら約20人は一時避難し、けがなどはなかった。炉の底部に約10センチの穴が開いているのが見つかり、溶融スラグはこの穴から漏れ出たとみられるが、灰溶融炉は平成14年4月の本格稼働から4年しかたっておらず、市消防局などが詳しく調べている。
同日午前11時ごろ、工場内を巡回点検していた職員が灰溶融炉室から火が出ているのを見つけて通報。市消防局によると、灰溶融炉=直径、高さとも約3メートルの楕円(だえん)形=から溶融スラグが約40平方メートルにわたって床面に漏出し、スラグから火が出ていた。
灰溶融炉は、ごみの焼却炉から出た焼却灰をさらに約1万度の高熱で処理。溶融スラグ自体も炉内で約1300度の高温になり、水蒸気爆発の恐れから消火活動が難航。市消防局は流れ出たスラグの冷却を待って消火作業を行い、約2時間後に消し止めた。
同工場には2基の灰溶融炉(1基当たりの処理能力は1日約40トン)があり、数カ月ごとに交互に使用。鉄製の炉に直接熱が伝わって溶けないよう炉内部に敷いている耐火れんが(底部は4層、厚さ約75センチ)などを点検する作業を約3カ月おきに行っている。
炉の外面の鉄の厚さは2・2センチ。今回穴が見つかった炉は昨年8月に耐火れんがの一部交換を行い、ことし1月の点検ではさほど損耗がなかったため交換しなかったという。同工場では7人体制で稼働状況を管理。事故当時、溶融炉内の温度センサーは異常を示していなかったという。
灰溶融炉は、ごみの焼却灰に含まれるダイオキシンを高温処理して分解する仕組み。灰溶融炉から出る溶融スラグは土木資材などに再利用される。
三本博三工場長は「溶融スラグは高熱処理で無害化しており、ダイオキシンなど有害ガスの心配はない。焼却炉の方は通常通り稼働させるので、市民生活への影響はないと思う。原因究明を急ぎたい」としている。
市消防局などは溶融炉の温度が下がるのを待ち、メーカーの担当者とともに事故原因を詳しく調べる。
高知市は、国のダイオキシン対策の強化などに伴い、平成11年から約320億円掛けて清掃工場を全面改築した。
【写真説明】流れ出した溶融スラグに放水する消防隊員ら(29日午後0時50分ごろ、高知市清掃工場)
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③灰溶融炉の事故は青森県弘前市、静岡市、そして高知市と相次いでおり、灰溶融炉そのものの安全性が問われてきている。ごみプラントの技術は、日進月歩で開発・改良されている開発途上のもの、言い換えれば「未完の技術」といえる。いったん事故を起こせば、暴走しかねない危険性をはらんでいるごみプラント技術である。果たして安全かと問われれば、安全だと断言できる技術水準ではないと考えざるを得ない。我孫子市では日立造船製の灰溶融炉の実証実験を経て、灰溶融炉の稼動を停止し、エコセメント化事業に転換している(エコセメント化は調査中)。長野広域連合で建設する新しいごみ焼却施設には灰溶融炉の設置が組み込まれている。安全性の検証がどのように行われてきたのか、まさに検証すべき時ではないか。ごみをいかに減らすかがまずは抜本的に求められているものの、待ったなしのごみの焼却処理(最終処分場の限界を含めて)とごみの効率的な処理(焼却灰の再資源化を含めて)と焼却・溶融施設の安全性の確保のバランスをいかに図るかが問われていると思う。
*下の写真は環境教育コーナー、新しいごみ焼却場はこうしたコーナーがそれなりに充実している。大体がコンサルタントによって作成されているが…
(6)スポパーク松森の天井落下事故とPFI方式による公共サービスの安全性確保に関する調査検討報告について
①「スポパーク松森」は松森清掃工場の余熱を活用した周辺関連施設としてPFI事業(PFI=Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブとは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法)で建設された施設で屋内温水プールやスポーツジム、温浴施設などを内容とする。事業者は松森PFI株式会社(仙建工業株式会社を代表としコナミスポーツなど他9社が設立した特別目的会社)で、施設の設計、建設、運営及び維持管理を行う(BOT方式)もの、H17年7月からH32年3月末までの約15年間を事業期間とする。その後の施設運営方法は未定となっている。契約金額は約38億円。
②H17年8月16日の宮城県沖地震により「スポパーク松森」の屋内プールの天井が崩落、夏休み中であったため負傷者数35名(重症2名、中等症1名、軽症32名)にのぼる大事故となったものである。事故原因は壁と天井に斜め振れ止めが設置されていないこと、多くの吊りボルトが傾斜して設置されていること、建築物の構造の特殊性(帆立貝状の構造)から、複合して天井が落下したとしている。現在は、事業者により天井を設けずセラミック塗装による屋根裏面を覆う改修などで、昨年12月から全施設の運営を再開している。改修費用は「不可抗力規定」により全額事業者負担で行われ、負傷者への見舞い・補償も事業者により行われている。訪問した日は休館日で、ゆっくりと施設を見学できたが、通常は満員状態という盛況ぶりだそうだ。(写真は現在のプールの天井、窓部分の1メートル上にあった天井が崩落した)
③この事故を踏まえ、PFI手法の運用に関する課題を検証するため、昨年10月に学識経験者を中心に「PFI方式による公共サービスの安全性確保に関する検討委員会」を設置、今年の3月に提言を含む「報告書」がまとめられた。市はこれを踏まえ「仙台市PFI活用指針(第2版)」を改定、今年度新たにPFI事業として契約する「新野村学校給食センター」「宮城野区文化センター」等の整備事業に具体化できるところから具体化しているという。
④報告書は「PFI事業は公共サービスの一環であり、市民に対する最終的な責任は市が負うものである」との基本認識に立ち、「施行の管理は事業者が自らの責任で実施し、さらに市による確認が行われることで、重層的な安全システムを構築できる」とする。具体的にはリスク管理の課題として事故を捉え、「建物損壊を防ぐためのマネージメント」「事故後の影響を最小限にするためのマネージメント」の2つの視点から検討、7項目の提言としてまとめている。7提言は「市民・利用者を保護する安全規定の明確化」「安全性を確保するための設計・施工確認のあり方」「危機管理マニュアル等の整備」「保険付保の重要性の再認識、保険付保項目と保険で付保できない項目への対応」「不可抗力事由の取り扱いの明確化」「リスク認識とそのマネージメント」「官民リスクワークショップ実施の検討」。その上で、「安全性確保の議論は、官と民の適切な役割分担において、合理的に安全対策を実施するためのインセンティブのあり方、事業者のモチベーションの管理のあり方に他ならず、PFIとは何かという本質論にもつながるが、バランスをとり、いずれかの主体に過度な負担を負わせることがあってはならない」とし「全国のPFI事業における重要な示唆」となることを期待している。
*仙台市におけるPFI事業の取り組み
*スポパーク松森天井落下事故の調査結果
*「PFI方式による公共サービスにおける安全性確保に関する検討委員会」調査報告書
⑤提言の具体化では、前記した2事業において契約を見直し、安全規定の明確化について入札段階から反映、事業者に保険加入を指導、ワークショップは官民の認識のズレをなくすために天文台整備事業で導入しているとされる。
*「安全規定」(新野村学校給食センターの場合、契約書より抜粋)
・事業者は、本件施設の安全性を確保するよう努めなければならない。
・事業者は、本件施設における事故または災害時になすべき被害防止措置及び
報告等を定めた市が合理的に満足する行動指針を作成し、本件施設供用開始
日の3ヶ月前までに市に提出し、承認を得なければならない。
・事業者は、本件施設における事故や災害を予防するための注意事項及び点検
事項等を定めた規定を設け、本件事業の終了まで随時改善のための見直しを行
うものとする。
*「保険等の取り扱い」
・事業者は、設計・建設工事期間中、次の要件を満たす保険に加入しなければな
らないとし、具体的に例示
・維持管理、運営期間中においても同様の規定を持ち、具体的に例示
*「不可抗力による増加費用及び損害の負担割合」
・「設計・建設工事期間」「維持管理期・運営期間」に分けて具体的に明記
⑥提言内容をしっかり理解できるという段階には率直にないが、「PFIの場合、PFIという手法をとっているに過ぎない公共事業であるということ、すべてのプロセスにおいて管理・監督・チェックする事業のコントロールが行政の責任である」と担当者が強調していたことが印象的。そもそも直営ならば「スポパーク松森」のような独創的な建築物にならないし、チェックもされていたということだ。PFIという民間手法であっても、事業者任せになってはならない。チェックすべきはチェックする体制が必要」ということなのであろう。いわば至極当然のことなのであるが、行政にある種存在しかねない「甘さ」に警鐘を鳴らしているということか。今回の施設の事故はそもそも、耐震性の確保についてチェックが行き届かなかったことに原因があると思われる。不可抗力だとする補償措置については、より深く検討する必要がありそうだ。PFI方式といえども、建造物の安全性確保は、民間事業者の当たり前のモラル、社会的責任として、設計・施工・監理において問われるべきであると思うからである。いずれにせよ、長野市においてもPFI事業で「温湯温泉・湯~ぱれあ」がスタートしている。万が一に備えての危機管理が契約上、そして維持管理・運営上、完備されているのか、早急に検証が必要である。
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