今日の話題
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■06.02.01市政直行便NO.8
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目次
■希望の2006年に
■12月議会、補正予算は8億7600万円余り
■謙虚さ求められる鷲沢市政2期目
■超大型店イオンの進出には反対です
■静かな時限爆弾・アスベスト対策を万全に
■市、財政再建プログラム作成へ
■154の公の施設で指定管理者制度を導入

■欠陥住宅の不安広がる、耐震データ偽造問題への市の対応は?
■地域力で子どもを守ろう
■市政報告の集い開く
■編集後記

希望の2006年に

大雪との闘いの中で迎えた2006年も、早2月。遅いご挨拶となりますことお許しください。

●「愛」と「忍」と「希」

ところで、毎年暮に「その年の世相を象徴する漢字」が京都の清水寺で発表されます。05年の世相を象徴する「漢字」は「愛」でした。昨年で11回目を数えるそうですが、心温まる印象の言葉が選ばれるのは初めてだそうです。一方、とあるインターネット調査では「忍」がトップ、忍耐、我慢を強いられた年ということなのでしょう。こちらのほうが納得できます。さてさて、「今年の漢字」はどんな言葉になるでしょうか。私は、よりほんものの「愛」が、暮らしの隅々にあふれ、「希望」を見出すことのできる一年という意味で「希(のぞみ)」が06年の漢字となることを勝手に願っています。

●「安全」と「安心」

振り返って2005年は「安全」と「安心」が根底から揺らぎ、ひび割れた1年でした。JR福知山線での脱線事故、深刻なアスベスト被害、そして耐震偽装問題の発覚、幼い命を標的とした殺害事件などなど…。経営効率を最優先する企業体質から「社会的使命」、「安全」思想がすっぽりと抜け落ちていることを象徴する事件が相次ぎ、「貧富」の格差が広がる社会を反映してか、残酷な事件も枚挙の暇がありません。政治そのものに「安心」が喪失しているからでは、と考えてしまいます。今年こそはよい年にしたいものです。

 市議会で活動する機会を与えていただいてから、早いもので議員任期4年間の折返し点を経て、後半の2年間に向かうこととなりました。国の「構造改革」の名のもとに所得格差がどんどん広がる今日、市民の営みの痛みと希望に光をあてる1年に。そして、世界に誇る憲法第9条を守り広げる年に!決意を新たにしております。

●「市民が主役」モットーに

受益者負担が強まる財政再建問題、都市内分権の具体化、指定管理者制度をはじめとする行政の民営化、超大型店の進出問題、新しいごみ焼却場の建設、子どもの安全、雇用の確保など課題山積です。「市民が主役となる市政の実現」に向かって、地元である安茂里の課題、合併して大きくなった長野市全体の課題に気を引き締めて臨みたいと思います。今年もよろしくお願いします。

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12月議会、補正予算は8億7600万円余り
 補正予算案の主なものは、人事院勧告による人件費の調整額として1億2550万の減額、踏切事故が相次いでいる長野電鉄白山踏切に遮断機を設置する補助金600万、授産施設である長野若槻園が篠ノ井自動車学校跡に移転するための補助金1億500万、私立保育所への入所児童や生活保護受給者の増加による法定扶助費などの経費3億5000万余、日本司法支援センター長野事務所の開設を受け入れるために「もんぜんぷら座」4階を利用できるよう改修する経費1億3500万、綿内小学校・鬼無里公民館などで使用が判明したアスベストの除去対策に1200万などです。もんぜんぷら座4階は日本司法支援センターが開設される他、市の消費生活センター、雇用相談窓口、ながの観光コンベンションビューローが移転し、地下にぷら座BOXを2部屋増設し利用を拡大することに。来年10月1日のオープンとなります。費用は「まちづくり交付金」の国庫支出金が5400万、残り8100万は借金と一般財源によります。
 生活保護の受給世帯が急増しています。政府発表の「景気は回復基調」とは程遠い厳しい生活実態が現実です。市民の暮らしに暖かい市政をめざします。
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謙虚さ求められる鷲沢市政2期目

昨年10月、鷲沢市政2期目がスタートしました。「民間活力の導入・行政の民営化が私の歴史的使命」と訴え圧勝した市長ですが、投票率は36.9%と過去最低を記録しました。絶対信任率を考えると「有権者の4人に一人の支持」、残念ながら大多数の市民が信任を与えたとは言い難い結果です。「圧勝」におごることなく、謙虚に市民の小さな声にも耳を傾け「市民が主役」「対話の市政」に心を砕いてもらいたいと思います。
■すべて民営化には異議あり
 私は市長を応援した議員の一人ですが、「民営化がすべて」とする市長の姿勢には必ずしも賛意を示していません。むしろ異議を唱えています。いわゆる「お役所仕事」になりがちな市行政に、民間のノウハウや活力を導入し、よって行政組織に自由闊達な活力を取りもどしたい、市民福祉・行政サービスの向上を図りたいとする狙いは理解するものの、民間企業である以上、採算性が問われる余り、市民サービスが二の次になることを懸念するからです。今回の住宅の耐震データの偽造問題に見られるように、市民の生命や財産より企業の採算を優先させる論理が働いてしまうケースが一部とはいえ後を絶ちません。特に教育や福祉の分野では慎重な対応が必要だと考えています。市長選の際のマスコミ調査によると、優先して取り組んでほしい市政の課題は「福祉・医療の充実」が最多で50%、以下、「財政の健全化」、「教育・文化の充実」「産業振興」と続きます。民営化は改革の手法であって目標ではありません。ですから市長には「私は日本一の福祉をめざします」とか「日本一の教育をめざします」或いは「市街地の賑わい回復を一番に」というような特化した目標をアピールしてもらいたかったなと勝手に振り返っています。そうすることで市政への関心を呼び起こせたかもしれません。
■市長所信表明の評価と疑問
 鷲沢市長2期目の初議会となった12月議会、市長は「常に38万市民の幸せを願い、『市民が主役』を大前提として市民の目線に立った行政経営に心がけ、市の特性を効果的に活かしながら、快適で質の高い元気なまちを目指したい」と抱負を述べ、「人間愛、大地への感謝、地域への誇り」をキーワードに「選ばれる都市“ながの”」を基本理念として、選挙で約束したマニフェストを実現していきたいとしました。その上で広報広聴制度の充実、市民合意形成の構築などを市政執行の基本姿勢として強調しました。いわく、「わかりやすい行政」をめざし現場主義に徹し情報公開を進める、よい情報も悪い情報もありのままに市民に提供し、課題を共有、一緒に考え、市民自らが「納得する」まちづくりを進めたいと…。この点は、率直に評価し、真摯な実行を求めたいと思います。
■「闇雲には進めない」と市長
 違和感を禁じえなかったのが、やはり「民間活力の導入」部分です。「今後もぶれることのない確かな信念」であることは選挙戦でも強調されたことですが、「民間活力」を「事業者の活力だけでなく、市民一人ひとりの活力である」としたことです。「こういう言い方はないでしょう」と率直に思いました。何故なら、民間の力を市民の力に一般化することで、通常理解されている「民間活力」=民間経営企業体の活力の本質を見えなくさせてしまうからです。市民一人ひとりの活力がまちづくりの原点であることは当たり前のことであって、自らが「歴史的使命」とする民間活力の活用・民営化策とは本来別物のはずです。一方で「民営化・民間委託は、結果として市民の利益にならなければ、その改革は無意味。闇雲に進めるのではなく、市民にとって真に必要性が高いものに民間の力を活用していくことが大切」と語っていますから、こっちを本音として受け止めたいものです。特に「闇雲に進めるのでなく」に注目、今後をチェックします。
■「市民が主役」…厳しくチェック
この「直行便」では、超大型店の進出計画、公の施設の管理を民間に開放する「指定管理者」制度の今後、耐震偽造問題への対応やアスベスト対策、子どもの安全対策を取り上げました。「市民が主役」の立場から厳しくチェックし、また市民の目線での新しい提案に心がけたいと思います。

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超大型店イオンの進出には反対です

大型店の出店計画を審査してきた「市大型店等出店土地利用委員会」は昨年11月に結果報告書を市長に提出しました。「土地利用」と「地域共生度」の二つのものさしで評価した報告書で計画の適否は判断せず、最終判断は市に委ねた格好になりました。敷地面積19㌶、店舗面積7㌶、年間売上250億円という日本最大級のショッピングセンターとなるイオンの出店計画は、賛否が別れていますが、報告は「土地利用の観点からは農用地区域が含まれ、市の農業振興地域整備計画と合わない」とした上で、「地域共生度の観点からは、雇用や地元経済効果、環境面などで評価できる」とし5段階評価で上から二番目のB評価としました。
■中心街の空洞化、加速へ
 これを受けて市長は、当初「年内に結論」としてきたものを「国の施策の動向もあり庁内で慎重に検討し年度内には結論を出したい」と結論を先送りしています。国では、全国的に郊外への大型店の出店が相次ぐことで中心市街地の空洞化が深刻化している現状を打開するため、郊外への大型店出店を抑制する方向性を打ち出し、現在、まちづくり3法(都市計画法・大規模小売店舗立地法・中心市街地活性化法)の改正案を次期通常国会に予定しています。すでに福島県では大型店の出店規制につながる「商業まちづくり条例」を制定、先ほど田中県知事も中心市街地の活性化を図るための新条例の制定を打ち出しています。大きな流れは「歩いて暮らせるまちづくり」を基本に郊外大型店の抑制にあります。
■「脱車社会」歩いて暮らせる街を
実際にイオンのショッピングセンターが進出した地方都市では、既存の大型店が閉店に追い込まれ、地域商店街も軒並み業績ダウンで営業が続けられなくなっています。私は、少子高齢社会の行く末や長野市の将来像を見据えたとき、歩いて暮らせるまちづくりを基本にしたいと考えています。イオンの進出計画は1極集中で超大型店は栄えるけれども、長野市全体、そして地域の“街”そのものが滅んでしまう危険性をはらんでいるため、反対です。それでは、どのようにして中心市街地に活力を呼び戻し、担い手のいない農業を維持するのか、これは難しい問題です。少なくとも、地域の商店街ではお客さんを呼び戻す努力が必要です。そして地域循環コミュニティバスを拡充し地域公共交通網を整備し、例えば、市内北部・南部・西部といった地域単位の生活商業圏を確立していくことだと考えます。農業の担い手問題は深刻です。市が設立を検討する「農業公社」の活動に期待するとともに(内容はまだ不明ですが)、例えば旧大岡村で取り組まれている「クラインガルテン(菜園付滞在施設)」…都市と農村との交流事業を市街地で展開すること、市街地における体験農業の組織化を考えてもよいのではないでしょうか。
■新規雇用の拡大は期待薄
 イオンの出店計画では3000人の新規雇用(正社員500人・パート2500人)があるとしています。しかし、ほとんどがパートの不安定雇用であり、現実的には「新規」ではなく既存の大型店や商店の労働者が「移動」するだけに終わるのではないでしょうか。撤退したダイエー長野若里店では店舗跡利用も決まらない一方、従業員263人の内、再就職先が決まっているのは13人にとどまり(11月現在)深刻な問題となっています。イオンが進出することを考えると他の企業はダイエー跡への出店に二の足を踏むことは間違いなし。悪循環を生むことになります。一日も早く「イオンはノー」の決定が求められていると考えますが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。
■環境面からも負荷大
 市民と事業者、市でつくる「ながの環境パートナーシップ会議」では、イオンが進出した場合の二酸化炭素の排出量を研究し、市内の約1万世帯分の排出量に相当する年間3万6000トンに上るとの推計を発表しています。地球温暖化防止が課題となる中、環境面から超大型点出店の影響を検討したもので、注目に値します。

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静かな時限爆弾・アスベスト対策を万全に

昨年9月議会では、深刻化するアスベスト被害への対策の早急な取り組みを求めました。その後の状況も含め報告します。
■アスベストの即時全面禁止を    

工場従事者だけでなく、家族や周辺住民へと衝撃的な広がりを見せるアスベスト被害は、「アスベスト公害」ともいうべき事態に直面しています。90年代、アスベストが原因となる労災認定、中皮腫死亡者の急増にもかかわらず、国は場当たり的な対応に終始し、法規制に踏み込まず、問題は放置され続けてきました。今日、危険性を知りつつ抜本対策に乗り出さなかった行政の不作為責任と、石綿を使い続けた事業所の「企業としての社会的責任」が重く問われています。厚生労働省の人口動態統計(95年から)では、中皮種の死亡者数は年々増加し2003年には878人に達しています。早稲田大学の村山武彦教授(リスク管理)は、2040年まで10万人が中皮腫で死亡すると予測しています。市民の命の安全を考えたとき、アスベストの即時全面禁止が求められているとともに、2010年以降に集中するとされる70年代から90年代にアスベストが多用されたビル等の改修・解体への十分な備え、特別立法による健康被害者への労災認定、救済措置がまったなしとなっています。
■国の基準を上回る厳しい対策を  

昨年9月議会でただした点は、?アスベスト調査について対象を96年以前に建てられた施設にまで早期に拡大し実施すること、?アスベスト含有量について国の1%ではなく、国連基準の0.1%とし独自の長野基準で調査すること、?アスベストの含有調査に民間機関で2ヶ月かかることから市保健所に検査機器を導入し速やかな検査体制を構築すること、?市民相談窓口を「アスベスト110番」でまとめ対応することなどの4点です。

77施設でアスベスト確認、白石綿、青石綿が検出          

市では問題が改めて発覚した7月以降、相談窓口や「Q&A」の開設をはじめ、突貫作業で調査・除去対策に取り組んでいます。8月段階では1955年から80年までに建てられた395の施設を調査し、内77施設で吹き付けアスベストを確認、使用頻度が高い場所で露出している9施設(市役所第1庁舎の通路や古牧小学校や鬼無里小学校など)でアスベストの除去や飛散防止策を講じました。その後、アスベストの含有調査で新たに綿内小学校水槽室や鬼無里公民館倉庫、飯綱浄水場機械室など5施設が確認され、施設の閉鎖・立ち入り制限措置を講じ、12月議会の補正予算可決後に除去工事を実施するとしています。鬼無里公民館で最も危険とされる青石綿の使用(含有率4.1%)が判明したことはショックです。
■給食調理機器にもアスベスト使用
11月には保育園や給食センターの調理機器の使用調査結果が公表され、12施設14の機器の断熱材に使用が判明しましたが、「いずれも飛散の危険性が無いことが確認された」としています。保育園では食器消毒保管庫や回転釜、第一学校給食センターでは揚げ物機と焼き物機などです。全国的にも数多く使用確認されており、機器の交換が取り組まれています。「飛散の可能性が無いからそのまま」では安全とはいえません。子どもたちの食べ物を作る施設だけに機器の速やかな交換を求めていきます。
提案実る…保健所に大気中濃度の検査機器を導入  
 市保健所では早速に検討し、大気中の濃度を測定する機器を導入し11月から検査可能となる体制をつくることを約束しました。しかし、建材中に含まれる濃度を測定する機器は高価なことや密閉室を必要とすることなどから困難としました。
■‘86学校パニック時の教訓活して
 1986年の学校パニックのときにも調査が行われましたが、国の調査基準は極めて不十分でした。行政の怠慢に他なりません。市はどうだったのかを正しましたが、「国の指導に基づいて適切な対応をした」というだけ、あれだけ大きな社会問題となったにもかかわらず、「国の指導」だけに甘んじ、市独自に問題と対応策を掘り下げられなかった事実は重大です。市は今回、「疑わしきものについてはすべて詳細に拾い出し、分析し使用の有無を特定、万全の対策を講じる」と答弁。学校パニック時の教訓を活かしてもらいたいと切実に思いますし、継続したチェックが欠かせない問題です。

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市、財政再建プログラム作成へ、住民の福祉、サービスは低下しないのか
国の三位一体改革による地方交付税の減や、市税収入の落ち込みから、にわかに財政の厳しさがクローズアップされ、改革策を検討するために設置していた財政構造改革懇話会が11月24日、提言をまとめ市長に提出しました。冬季五輪施設のボブスレー・リュージュの「スパイラル」やスキー場の廃止などが大きく報道で取り上げられましたが、提言の全体像には余り触れられていません。ポイントを紹介しながら問題点を探ってみたいと思います。

■今のままでは4年後に基金ゼロ

 H9年度では市税収入が624億円とピークを迎えたが、高齢化の進展によって社会保障費が増え、さらに高水準が続く市債の償還費(借金の返済)などで支出が増加する一方、不況の影響で市税・地方交付税が減少、H16年度の市税収入は537億円まで落ち込み、「貯金」にあたる財政調整基金を取り崩して歳入不足を補っている状況。H16年度末の基金残高は246億円で、現状のままで収支のアンバランスが続くと、H21年度末には基金はゼロに。中核市の財政健全度ではまだ上位にランクされるものの、基金を有し体力のある今のうちに財政再建を図らなければならないとしています。

■5つの重点課題と事業モデル提言

 提言は、市が取り組むべき重点課題を5つあげた。一つは行政が税金を投入して何処までサービスを行うべきか、市民と行政の役割分担を適正化すること。二つは公共サービスは法令で決まっているもの以外を原則有料とした上で、受益者負担の適正化、給付水準の見直しを図ること。三つは時代とともに必要性が低下している施設や過剰な配置となっている施設など公共施設の再編等によりコスト削減を図ること。四つは総人件費の抑制。五つは市有財産の有効活用や広告収入などによる増収対策を推進すること。その上で、すべての事務事業について、民間でできるかどうか、行政が義務的に行わなければならない度合いはどうかなどを基準にした「類型化モデル」を示し、このモデルに基づき全事業を見直しすることを提言。「類型化モデル」は、保育料や市営住宅の家賃、公的施設の使用料などでは受益者負担を何処まで拡大するのかという基準であり、年齢や世帯数により個人または団体に一律交付している補助金や交付金(例えば敬老祝い金や区への交付金)を見直すための基準として、さらに観光施設では採算が取れているかどうか、民間と競合する施設かどうかを基準として作用することになります。

■10年後に黒字転換を予想
 さらに提言は、H18年度からH22年度で重点的な歳出カットをすれば、基金を100億円程度確保できる、H26年度以降には、基金残高の状況により建設事業等の拡大が可能となると予想。まずは歳出カット、しっかり我慢すれば10年後には事業拡大できるという「夢の目標」です。しかし、国の動向や必要な施策・事業の実施を見込んでいない目標ですから、こうした財政推計は当てにならないというのが通説なのですが…。

 市は、この提言を受けて、事業の見直しを進め財政再建プログラムを策定、H18年度から順じ実施していきたいとしています。

■市民負担増を既定路線にさせない
私は何回か懇話会を傍聴しました。学識経験者を中心に構成される懇話会では、直接・間接の具体的な市民サービスについて「これもムダ、あれもムダ、見直していないのは行政の怠慢」みたいな極めて過激な発言がその場の思いつきで議論されているとの印象をぬぐえませんでした。
 それに比べ、提言はきれいにまとめられたといえるかもしれません。とはいえ、市民が享受している現行のサービスを受益者負担を強める方向で見直すことになることは間違いありません。ムダを省き市民の必要度・満足度に応じて事業を再チェックすることは不可欠です。同時に「何でも行政にお任せ」から脱却し、合意と納得のもとに役割分担を進めていくことも必要です。
 財政再建プログラムがどんな内容で作られるのか、H18年度予算案にどんな見直し・削減メニューが並ぶのか、「市民サービスの低下はさせない」との観点から厳しく要チェックです。

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154の公の施設で指定管理者制度を導入、市民サービス向上するかが課題

■指定管理者制度とは?
 市民サービスの更なる向上と経費の削減を目的に、公の施設(市民会館・運動公園など)の管理を民間に開放する新しい制度です。長野市(旧長野市)には、市が管理する公の施設が523あり、これらの施設に指定管理者を導入するため、228の施設について指定管理者を公募しました。内、応募のあった154の施設で指定管理者を選定(外部委員4人、内部委員4人の計8人で委員会を構成)、9月議会では、どの業者・団体を指定管理者に指定するかが決まりました。
 12月議会では、指定管理者制度を導入する個々の施設の条例改正案が審議されました。類似の施設をまとめているため40の議案となっています。施設では、例えば市民会館が直営から「㈱コンベンションリンケージ」という企業に、勤労青少年ホームやサンライフ長野が直営から「㈱アクティオ」に、城山にある少年科学センターは直営から「㈱オーエンス」に、5つの市民プールが直営から「㈱シンコースポーツ」に、といった具合です。また社会福祉協議会や開発公社という外郭団体がそのまま指定管理者となった施設が93施設あります。
■「利用料金制」の問題点…議会の議決なしに値上げに道開く
 9月議会では指定管理者の選定経過に関する情報提供の不誠実な対応を問題としましたが、今回は、施設の利用料金のあり方をめぐり厳しく問題提起しました。今までの施設の管理では、市民が支払う使用料・利用料は、条例で定め「公金」として扱われてきましたが、新しい制度では、「利用料金制」という新しい考え方を導入、「利用料金」は指定管理者が収受するものと定めています。つまり、公金ではなく事業者の収入となるわけです。しかも「利用料金」は固定の額を定めるのでなく、あらかじめ上限と下限を決めた「範囲」制をとり、この範囲の中で指定管理者の申し出により「市長の承認」で料金の増減が決められる仕組みになっています。つまり、施設の利用料金は、条例で定める範囲内であれば、議会の議決を必要としないことになります。また、今までは市の予算審議の際に、「歳入」で使用料・利用料として収入度合いが、「歳出」では委託料として施設の管理運営状況がわかるのですが、新しい制度では「歳入」に利用料が盛り込まれません。したがって、施設の管理運営状況が不透明となり、議会のチェックを困難にさせる問題点を内包していることになります。
■茶臼山動物園、大人の入園料は「400円から600円」、子どもは「50円から100円」
 例えば、私が所属する建設企業委員会で審議した市の都市公園条例の一部を改正する条例案は、茶臼山動物園や動物園の遊戯施設などについて定め、利用料金制を取ることになっています。具体的には、動物園の入園料について大人が470円、子供が50円とされてきたものを、大人は「400円から600円」の範囲、子どもが「50円から100円」の範囲とすることになります。つまり、大人料金で470円から600円に値上げする際に、「市長の承認」のみでオーケーになるわけです。
■「附帯決議」提案するも実らず
 「利用料金制」は、安易な値上げに道を開く危険性を残します。こうしたことから、範囲制を取らず具体的な固定料金を条例で定める、料金改定の際には条例改正としてその都度議会のチェックが図れるよう修正することを強く求めました。議案に賛成するか反対するか、率直にいって最後まで悩みましたが、最終的に理事者の「利用料金の設定については市が設置者としての責任から、指定管理者の申し出をそのまま認めるのではなく、利用状況や他施設の状況等を総合的に判断し厳正に管理する」「予算案審議時において委託料の説明の中に利用料金等を含めた算出根拠を説明する」「市と指定管理者との間で締結する基本協定、年度協定を議会に報告し、議会の審議に資する」との答弁を引き出し、これを信じて賛成しました。
 賛成した上で、「安易な値上げはしないこと」「利用料金の算出の方法・根拠を市民に明らかにすること」「指定管理者の管理運営状況を厳正に管理すること」などを盛り込んだ「付帯決議」を提案しましたが、多勢に無勢で実りませんでした。
 今回の条例改正案の中では、利用料金制を採用した施設が57施設、うち利用料金に幅がある施設は19施設あります。2月頃までに「基本協定」が結ばれ、また年度毎の事業内容や委託費等を定める「年度協定」は4月1日付けで締結されることになります。

指定管理者制度で市民サービスは向上するのか、民間移行で雇用は守られるのか、3月議会における新年度予算案の審議で、引き続き厳しくチェックしていきたいと考えます。
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欠陥住宅への不安広がる。耐震データ偽造問題への市の対応は?

 大きな社会問題となっている耐震データ偽造問題。県内でも松本市や伊那市の三つのホテルで偽造が判明、休業状態に追い込まれています。長野市の建築物は大丈夫なのか。市は「建築確認制度の信頼性を根幹から揺るがす重大問題」との認識を示した上で「今後、コンピュータの導入も視野にいれつつ…国の動向を見極めて対応する」としました。市の取組のポイントを中心に今後の課題をまとめてみました。

①「今のところ、姉歯元建築士が関与した物件はなし」

 建築確認事務が民間に開放されたのはH11年(99年)。今回の問題を受けて長野市ではH12年(2000年)以降の3階建てマンション・ホテルを調査しています。この調査対象の建築確認状況はH12年以降、民間検査機関による建築確認が8件(日本ERIが4件・ビューローベリタスジャパンが1件・長野県建築住宅センターが3件)、市が建築確認したものは137件(マンション134件・ホテル3件)で合計145件、調査の結果、「今のところ強度不足の建物はなく、問題の姉歯元建築士が構造計算に関与した物件もない」としています。ひと安心ではありますが「今のところ」というのが気がかりです。また「どのように実態調査をしたのか、見落としは本当にないのか」を早急に解明しなければなりません。

②「今後、構造計算書の再チェックを行う」

 安全性の再確認のために何をするのかは「当面市が建築確認したものを、現在の審査マニュアルにより構造計算書の再チェックをおこなう」としました。137の物件が対象。一方で建設企業委員会の私の質問で「市役所内に構造計算のプロはいない」(建築課長)とも発言していますから、再チェックの厳密性・的確性が問われることになります。また、県や松本市が建築確認事務の計算プログラムを導入して再計算する方向性を打ち出す中、市長は「長野市は計算プログラムを導入しない」と表明しました。再発防止に向けて厳密な再計算を行うことが市民に安心を約束することにつながると思うのですが、市長の発言は「それで本当に大丈夫なのか」を憂慮させるものです。

③「構造計算書は省略化せず、担当者3名による複数チェック」

 今まで構造計算書のチェックはどのように行われているのかについては、国土交通大臣の認定プログラムを使用した構造計算においては、法の規定により計算過程の表示を省略できるが、長野市は省略化せず、他のプログラムと同様にすべての計算書を提出させ、的確に審査を行うとともに担当者3名による複数チェックを行っているとのこと。
 実際には審査マニュアルに沿ってピンポイントでチェックする格好になっているわけで、ここに偽造が見落とされる問題が潜んでいます。この点の改善・強化が必要です。

④「民間検査機関による建築確認に行政は直接関与できない」

 H12年度から始まった民間機関による建築確認の件数は年々増加し、H16年度では長野市全体で2425件の建築確認のうち約35%、840件が民間機関による確認になっているそうです。問題は建築基準法に基づく民間指定確認検査機関が行った建築確認については、行政がその審査過程に直接関与できない仕組みになっていることです。確認後に提出される確認済報告書の中で建ぺい率等の概要はチェックできるが、構造計算についてはチェックできない制度なのです。「民間機関=性善説」に立っているのですが、この基本が根幹から揺らいでいるのが今回の「耐震偽造問題」であり、「欠陥住宅問題」な訳です。「民間丸投げ」の問題点が明らかになっていると考えます。

⑤徹底した偽装調査と厳正な検査体制を!

 国土交通省は、コスト削減の指南役である総合経営研究所(総研)や木村建設などが関わる建物すべてを調査するとし、全国の計約600棟について偽装の有無や強度を報告するよう自治体に指示しました。偽装問題は今後、間違いなく「コスト削減による欠陥住宅問題」に発展するでしょう。業界全体の請負構造の問題もあります。これらのことを見据えて、行政に、長野市に徹底した偽装調査、欠陥調査と厳正な検査体制の確立を求めていきます。

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地域力で子どもを守ろう

●安全パトロール腕章やタスキ配布し、自主的活動のバックアップを
安茂里の松ヶ丘小学校では、PTAの皆さんが独自で「腕章」を作成、長寿会など地域の団体の皆さんの協力を得ながら「安全パトロール」に取り組むことになっています。市教育委員会ではタスキを作りました。「犠牲者を出さない」強い危機感をもって安全対策を推進することが求められています。地域ごと学校区ごとに自主的なパトロールを強めることと「防犯ブザー」の全児童への配布と使用方法の徹底です。
●安全マップ作成し行政が財政支援
 同時に、「通学路上で子どもを一人にしない」ために「安全マップ」を作り、盲点の無い通学路の安全を確保することです。防犯灯などをチェックし拡充することも大切です。
防犯ブザー、せめて新1年生には無償配布を
防犯ブザーの全児童への無償配布には、市は「既にPTAなどの斡旋により防犯ブザーの携帯が進んでいること、2万人余の小学生への一律配布は財政的に困難であること」を理由に否定的。であるならば、せめて来年度新入生には無償配布し、段階的に広げていくことは可能なはずです。松本市や須坂市、佐久市では既に実施されています。
●急がれる「学校安全・安心ネット」
 教育委員会では、不審者情報などを学校や希望する保護者にメールで配信する「学校安全・安心ネット」を2800万円かけて今年4月から運用することにしています。すでに市PTA連合会が行っている配信サービスに代わる全市的なシステムにするというもの。何をもって「不審者」とするかは人権侵害の観点から慎重な対応が必要ですが、災害発生時の情報提供にも活用するなど児童生徒の安全を確保するための一助にはなります。遅きに失している感はありますが、スムーズなシステム運用を求めていきます。

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市政報告の集い開く

■12月17日、サンパルテ山王で市政報告の集いを後援会総会とあわせて催し、地元安茂里区の役員さんをはじめ、日頃からご支援いただいている皆さんに大勢お集まりいただきました。今年は公民館やお茶の間での市政報告会を企画し、気軽に参加いただけ意見交換できる催しをめざします。当日用に「市政直行便NO.7」をつくり市政報告しましたが、雑駁な報告となってしまいました。けれども「わかりやすかった」との声にホッとしています。交流会では、民営化問題や都市内分権についての質問をたくさんもらいました。
■写真は市政報告の集い・交流会、諏訪湖新作花火バスツアー、8月15日「平和の鐘」(無常院で)。この他に根曲がり竹ツアー、マレットゴルフ交流会など催しました。06年も工夫を凝らして企画したいと思います。ぜひ、ご参加を。









編集後記

◆ライブドアー疑獄・BSE牛発覚・防衛施設庁の談合と「この世の中、一体どうなっているんだ」との想いが募る毎日です。せめて日々の暮らしは穏やかに!と願うばかりです。◆市政直行便NO.8をお届けします。昨年の9月議会・12議会報告が中心で、タイムリーでない部分もあり、また文字ばかりですが、一読いただきご意見賜れば幸いです。◆連日のように続いた新年会や旗開きがひと段落、気合を入れなおして3月議会に備えたいと思います。この1年、皆さんのご多幸を心から祈念します。今年もよろしく。(布)

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