「市民会館、基本計画通りで」と市長表明…直ちに同意できない

市長を招き協議した第一庁舎および市民会館調査検討特別委。携帯カメラのため画像が悪いです。

 9日、市役所第一庁舎及び長野市民会館調査検討特別委員会が開かれ、東日本大震災を受けての国の財政支援の見直し等について、市長の考えを質しました。傍聴しました。

 市民会館建て替え問題は、3月1日から4月4日までのパブリックコメント、4月5日の長野市民会館建設検討委員会の協議を踏まえ、4月7日に基本計画を決定・発表してきています。

 市長は「市の将来を考えたとき、第一庁舎、市民会館の建て替えは、必要かつ重要な事業であり、計画に沿って進めたい」と強調するとともに、合併特例債の制限など大震災の影響については「総務省や県と協議しているが、既存の起債見直しの議論はない。国の動向を注視しつつ、県と協議していきたい」としました。

 また、今後の見通しについて「来年度予算を編成する段階で道筋をつける問題となる」との考えを示すとともに、「合併特例債の活用を待ってくれと言われる可能性はある。合併特例債の活用に制限が出で来れば、その段階で議会とも十分に相談したい」と述べました。被災地支援、復興支援については「市民感情を踏まえ、できることはすべて進める。市民会館建て替え問題とは切り離して対応する」との考えも示しました。

 市長は大震災後、「国が復興計画をどう作り、財源をどう持っていくかが分からない。危惧していることは事実」「震災復興を考えると、率直に言って迷いがある」と心情を吐露するとともに、「合併特例債の使用期限を遅らせる(延ばす)ことも働き掛けたい」としてきました。

 合併特例債について、「全国1724自治体のうち556市町村が活用し、H22年度では533市町村で使われている。見直されるということは考えにくい」(総務部長)とする考え方は一定程度理解できます。しかし、継続事業はともかく新規事業への活用については未知数なのではないでしょうか。

 そして今日です。今のところ、有利な起債である合併特例債の見直し議論はないので、計画通り進めるとの基本的姿勢を示したことになります。

 気がかりなことが二点あります。今後の進め方に関連した問題です。

 一つは、「第一庁舎・市民会館の建て替えは、合併特例債があろうとなかろうと進める計画である」と述べたことです。必要な事業であることから一般論としてはその通りですが、市民会館建て替えの議論の経過を振り返ると、「有利な起債である合併特例債を使える今が絶好のチャンス」「合併特例債の活用期限であるH26年度末までに竣工できる計画でなければならない」と強調してきたのは事実、合併特例債の活用を前提とした計画であったはずです。合併特例債の活用にこだわらなければ、市民会館の建設地はもっと幅を持って検討できたのです。私自身、有利な起債である合併特例債の活用を前提としつつ、市民会館の建設地を現在地とする主張をしてきました。特例債にこだわらなければ、権堂は論外としても、長野駅前、或いは後町小学校跡地など、検討の余地は広がったのではないでしょうか。

 二つは、軌道修正が迫られるかもしれない時期を来年度予算編成時と踏んでいることです。来年度の地方財政計画の基本が、この時期にならないと判明しないことは事実ですが、現市民会館は9月から解体を始める予定です。解体が始まってから特例債が使えないでは、計画そのものが頓挫しかねない危機に直面します。少なくとも、市議選のため前倒しされる8月市議会までには、方向性を確立する必要があると考えます。地方交付税や補助金のスキームの見直しは避けて通れないのではないでしょうか。だとすれば、防災拠点となる第一庁舎の建て替えを最優先し、市民会館については基金積み立てを継続し将来に備えるということも有力な選択肢として考えるべきではないかと思います。

 事務方では、いろいろな事態を想定しシュミレーションしていると思われます。大規模プロジェクトが目白押しとなっているからこそ、大震災を受けて、一つ一つの事業についての優位性、実現性を検証し直す柔軟な姿勢を強く求めたいと思います。同時に、関心が高まっているだけに、市民との対話、議会との対話・討論にもっと心を砕いてもらいたいとも思います。

 ホームページ本編に次の二つをアップしました。

110508  3月議会の焦点・論点(その1)…新年度予算の特徴と震災下における課題

110509  3月議会の焦点・論点(その2)…権堂再開発、下水道使用料の徴収漏れetc.

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