11月12日から14日、議会運営委員会の行政視察の報告を今になってアップします。11月16日のブログで「詳細は改めて…」としていたものです。
横須賀市・堺市・下関市の議会を訪問し、議会報告会や、委員会のインターネット中継、予算決算常任委員会の試みなど、長野市議会において議会活性化の検討課題としている点を重点に視察したものです。
委員会としての行政視察報告をまとめるにあたって意見を提出することになり、慌てて頭の中を整理する意味で各市議会の議会活性化のポイントをまとめてみました。読んでも疲れるだけかもしれません。
大雑把な印象として、どこの議会も、市民に開かれた議会をめざし、試行錯誤を重ねながら腐心していることを改めて実感しました。それにしても様々なアイデアが活かされています。
「市民の思いを原点に、柔軟に考え、できることをしっかり取り組もう」という姿勢はしっかり共有したいものです。
視察を通して、長野市議会として自負できる取り組みも再発見・再認識できます。長野の議会活性化の取り組みは、地味かもしれませんが、着実に進んでいると思います。なかなか進まない課題もありますが…。
[その1]として横須賀市議会の取り組みから…。
◆横須賀市議会(11月12日)
1.予算決算常任委員会…効果あげる一体審査
横須賀市議会では、議長を除く全議員による「予算決算常任委員会」を設置し、予算と決算の総合的・一体的な審査が行われている。市長の交代により、従来の分割付託による審査方法では、各委員会での表決結果が異なる事態が生じ、この矛盾を解消するためという個別・特異な事情も背景としているものであるが、同一議員が予算決算審査を行うことで、議会としてのチェック機能が強化される点、議案採決を行う本会議の開催時間が減少する点がメリット・効果として挙げられている。
横須賀市議会は、以前は、予算案は4つの常任委員会に付託され審査・採決を行い、決算案は10名で構成される特別委員会で審査・採決を行い、それぞれ本会議に諮られ採決を行ってきた。長野市議会の現行の仕組みである。
予算決算常任委員会は、全体会、理事会、分科会で構成される。付託される議案は、予算・決算の議案をはじめ、指定管理者指定議案など関連しかつ複数の分科会に関連するもの、基金の設置など予算の根幹にかかわるもの、手数料条例など歳入予算を伴うものとされる。
常任委員会にあたる分科会に分割送付され、議案に対する質疑のみを行い、全議員の全体会で、分科会委員長報告に対する総括質疑を行い、討論・採決する仕組みである。
議会事務局では、「分割付託解消による円滑な議案審査」を効果の一つとして挙げたが、採決こそ行わないものの、事実上、分科会という常任委員会で分割審査するものであり、「常任委員会ごとに表決が異なる事態の解消」という個別事情による効果といえるのかもしれない。
しかしながら、決算特別委員会の審査が、限られた議員による審査で、委員長報告も重要なエッセンスのみということを考えると、決算審査が議会全体のチェックとならない不十分性を内包している。また、決算審査における意見・要望等が予算にどのように反映されたのか、一体的に審査する上で課題を残していることから、常任委員会による予算決算の一体的審査の意義は大きいものと受け止める。
予算決算常任委員会での審査の在り方に関し、決算議案を常任委員会に分割付託し、常任委員会として一体的審査を図るという方法もチェック機能を相対的に強める上で有効なのではないかと考える。
2.議会報告会…1回につき5カ所で開催、参加者の固定化が課題
横須賀市議会の場合は、市民との意見交換の場を多様に設け、市民からの政策提案の機会の拡大を図ることを目的に、議会基本条例第13条「市民参加」に基づき、「横須賀市議会報告会及び市民との懇談会実施要領」を定め対応している。
H23年5月に施行された「実施要領」は、銀委報告会等準備会の設置、報告会は年1回以上とし、1回につき5カ所で原則4月に実施、全議員で任務分担し地区(会場)毎に班を編成することなどを定めている。ただし、市民との懇談会はいまだ開催実績がない。
運営組織である議会報告会等準備会は、常任委員会の副委員長4名と無会派を含む会派代表者8名で構成される。
議会報告会は、新年度の当初予算と主要事業について、その審議プロセスを報告する内容となっている。
2日間で5会場の設定で行う報告会は、H23年度129名、H24年度73名、H25年度は2会場を土曜日午後開催都とし88名だそうだ。
実施報告書はホームページに掲載し、回答を保留した質問については、市議会としての回答を調整し、ホームページに掲載している。
今後の課題として、参加者数が伸び悩み、特に若年層と女性の参加が少ないこと、参加者が固定化傾向にあること、議員のモチベーションの維持があげられる。対策として広報手段の充実を検討するそうだ。
3.委員会のインターネット中継…録画配信では会議録と映像がセットに
横須賀市議会では、本会議中継はH15年9月から、委員会中継はH20年2月から実施されている。中継は常任委員会及び特別委員会で、常任委員会は1日2委員会が開催される。
委員会中継に要する経費は、エンコードパソコン・カメラ・テロップ装置の購入費、システム構築委託料など1,417万円。毎年の運用経費は181万円だそうだ。初期投資には費用がかかる。
また、会議録検索システムに議会映像検索システムがリンクされ、映像とともに会議録を見ることができるシステムが構築されている。
一度のアクセス許容量は200アクセスが限界とされる。ダウンしたのは1回だけ。本会議で50~60アクセスで、委員会はそれよりも少ないとのことだ。
課題としては、会議録の修文基準の作成(中継内容と会議録の整合性)があげられる。また、試験中継から、質疑の長時間化の防止、傍聴者の事前承諾、個人情報や不適切発言への対応(録画中継における音声削除)、正副委員長采配の増大、庁内ネットワークの負担軽減(職員は庁内テレビ放送の視聴に切り替え)などを課題として対応が図られている。録画中継の配信は過去5年間分とされる。
長野市議会では、新庁舎建設にあわせ、委員会のインターネット中継の導入を検討課題としている。議会としての情報開示、開かれた市議会に向け、実現を準備したい。
4.市議会ネットワークの構築…長野市議会でも!しかし経費が課題か?
グループウェア(メール、掲示板、ファイル管理など)を利用し、議員には会議開催通知、議案等定例会資料等がネットを通じで情報伝達されるシステムが構築されている。一部議員にはFAX対応が残っているとのことだが、パソコン研修を通じて全議員の参加利用を図っている。
ただし、このシステムには初期構築経費が1,500万円(議員へのパソコン貸与費が含まれる)、運用経費に年790万円をかけている。
議員としては、構築してもらいたいシステムである。市販のグループウェアを活用することで(例えばFaceBook)で経費は抑えられるのではないか。導入を新たに検討したい。
5.その他…議員研修会の取り組みetc.
(1)議会広報誌は年1回の発行で、議会報告会の内容が主。他に“よこすか市議会なるほどガイド”「議会でゲンキ!」を市議会のガイドフックとして作成発行している。中学校3年生を対象に市議会の仕組みの理解を広げようとの狙いからスタートしたものと考えられる。全戸配布はされていない。ガイドブックは面白いと思うが、議会広報誌は長野市議会では定例会ごとに発行している。自負してよいであろう。
(2)議員研修会の取り組み。議会活性化答申に基づき、H12年度から、約年2回のペースで、広範な政策テーマで取り組まれている。講師の選定はなかなか難しいと思うのだが、会派を超えて市議会として取り組む研修は、長野市議会でも取り入れたいものである。