鷲沢市長の進退問題に始まった9月市議会は、一般質問冒頭での「引退表明」を経て、鷲沢市政3期12年間の検証・評価をめぐる質問が相次ぎました。「持ち上げすぎでしょう」と苦笑せざるを得ない質問もありましたが…。
9月市議会の一般質問等から、論点となった事柄、今後チェックが必要な事柄を、行政側の答弁を中心に2回にわたりまとめてみました。誰が市長になろうとも、継続する長野市政にあって、直面する課題は整理をしておく必要があります。自分の問題意識に偏っているかもしれませんけど…。
私自身が一般質問で取り上げた課題については、この後にまとめて報告したいと思います。
◆第一庁舎・市民会館の建設…資材コストや工期へのしわ寄せ懸念
「職人等の人員確保には相当苦労していて、県外からも連れてこなければならない」状況にあり、「建設需給がひっ迫する中、資材コストや工期へのしわ寄せも懸念」されるとする。
「9社の工事業者が参加することから、工事業者、工事監理者及び市の間で施工調整会議を設置、定期的に関係者間の連携と情報交換を図り、工事が円滑に進められるよう努める」とともに「品質の確保、安全の確保を大前提に、工程管理等についても適切な指導・監督を行う」との考えを示す。
◆入札不調、8月末までに48件
「資材価格の大幅な上昇と労務単価の引き上げ要請による影響が主な要因」として考えられるとし、再入札の対応の他、「指名業者を増やすなどの対応を図る」
「国庫補助事業においては、単価の引き上げにより増加した事業費も国庫補助額の算定に含まれるとともに、地方交付税の算定基礎ともなり、国からの支援の対象となる」とも。
◆労務単価引き上げの影響…事業費増加は5%以内、既決予算内で対応可能
「(公共工事における)労務費率は請負額の20%程度。労務単価の上昇率が平均18%程度であることから、増加額は5%以内と見込む。既決の予算内で対応できると考える」
本当にそうだろうか。新市民会館の契約では13%事業費が増大しているし、サッカースタジアム建設事業費においても7%~8%の増加が粗試算されている。検証要である。
また、労務単価の引き上げが下請け事業者にまで適正に行き届かせるための行政の監督・指導が求められる。
◆防災訓練において、避難所運営ゲーム=HUGや、災害図上訓練=DIG、災害対応カードゲーム=クロスロードなどを有効に活用
◆公共施設白書…10月初旬公表へ
策定中の公共施設白書の公表は10月初旬になるとのこと。
「今回の公共施設白書は、固定資産台帳の整備を待たずして、施設所管から収集した施設情報を基に作成したものであり、将来、新公会計制度による固定資産台帳が整備された暁には、より精度の高いものになる」
◆公共施設再配置計画
「策定予定の公共施設再配置計画は最上位計画である総合計画と密接な関係にある」「総合計画と行政改革大綱と一体的に位置づけ、いわば三位一体の計画として、実効性と継続性を確保することが重要」
「現在、第5次総合計画基本構想に反映させるため、人口減少時代に対応した持続可能なまちづくり方針の素案作成に着手」
「4月策定の第6次行政改革大綱の中では、市有施設の総量縮小、施設の長寿命化、有効活用を含めたファシリティ・マネジメントの実施などの取り組みを市有施設の最適化と位置づけ、今後、個々の施設の統廃合などは、実施計画において進捗管理を行う」ことになるとの考えを示す。
◆放課後子どもプラン…施設配分金が削減
放課後子どもプラン施設である児童館・児童センター・子どもプラザの管理運営は市社会福祉協議会に委託されているが、今年度、児童の遊び道具や教材購入費などの保育材料費、職員研修費や旅費、施設消耗品費、施設修繕費など施設に配分する運営経費=配分金を減額していることが判明。児童館・児童センターで228万円、子どもプラザでは234万円の減額に及ぶ。
減額の理由は、「修繕等、予定外の経費から追加配分が必要となる施設が多く、これら対応する資金を事前に確保しておくため」とされるが、現場では減額された配分金の中で対応せざるを得ない状況が生まれている。
社協では配分金が不足する場合には施設の運営に支障とならないよう相談に応じているとしているが、市は子どもたちの活動に支障にならないよう、社協に対し趣旨を改めて徹底するとする。
また、児童センターにおける利用制限、施設の雨漏りなどの老朽化や冷暖房施設の整備、トイレの男女共同の問題なども指摘された。良好な環境で児童館・児童センターが運営できていない実態が改めて浮き彫りに。
長野市版放課後子どもプランの運営は課題が多い。老朽・狭隘な施設で児童館・児童センターの運営が行われていることを直視し、環境改善が求められるところである。改めて調査し対応を求めていきたい。
…(その2)に続く